- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022645234
感想・レビュー・書評
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読みやすい
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第127回芥川賞作家にして山本周五郎賞作家でもある吉田修一を初読。本作品は毎日出版文化賞と大佛次郎賞を受賞。
2002年1月6日、長崎市郊外に住む若い土木作業員の清水祐一が、
福岡市内に暮らす短大卒21才の保険外交員の石橋佳乃を絞殺し、その死体を遺棄した容疑で長崎県警に逮捕された。
容疑者・清水祐一は、幼い頃に母親に捨てられ、祖父母に引き取られていた。
性格は非常に大人しく、悪く言えば暗い。彼の興味は車にのみ注がれ、
普段の暮らしは祖父母の手伝いに多くの時間を割かれていた。
しかし、彼は何かを求めて出会い系サイトに登録し、そこで出会った女性に尽くすようになる。
一方の被害者・石橋佳乃は、自分の価値観が絶対だと信じ、
出会い系サイト経由で男から送られてくるメールの数が一つのステータスだと思っていた。
そんな二人が、ある日の夜に会う約束をしていたのだが。。。
非常に期待して読み始めたのだが、とても普通だった。
もちろん、まだ上巻なので結論を出すには早過ぎるのだが、もっとグイグイ引き込まれたかったのだろう。
物語は非常に淡々と進んでいく。
あるシーンでは佳乃がメインとなり、他のシーンでは祐一がメインとなり、
違うシーンでは彼らの友人・知人などがメインとなる。
こうして色々な角度から事件の周辺が理解できるようになっているのだが、
一方でなかなか進展しない物語に若干もどかしさも感じる。
舞台が九州である為、基本的に皆九州弁で喋る。
なので、少し理解しずらい部分もある。(逆に九州出身の人なら馴染みやすいのかも)
ともあれ、地方における若者の娯楽の少なさが感じられ、
そういう背景の元に出会い系サイトが繁盛するのも少しわかる気がした。
あと、佳乃のような女の人は正直ウザい。
自分が望んでいる物を常に相手に求めている部分や、
自分が常に他人よりも上に位置していないと気が済まない部分が。
下巻でこの淡々とした物語がどう動くのか、楽しみではある。
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主に被害者側、とにかく房枝がかわいそうで泣きそうになる
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もう何度も読んでいる本です。映画化もされていますが、やはり本はじっくり読めて面白いです。
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今年、短大を卒業したばかりの保険外交員の石橋佳乃が、長崎と福岡を結ぶ三瀬峠で絞殺された。犯人は若い土木作業の清水祐一。
出合い系サイトで知り合った2人に、一体何があり事件は起きてしまったのか。
被害者・加害者やその家族、友人知人と様々な視点から語られていく。描かれる事件背景は、どこにでもある日常なのに、どこか人の嫌な面が浮き彫りにされている。 -
もっと早く会っていたら。切ない物語。ラストの供述に愛を感じました。
祖母の、孫への逃げるなの思い。クソ野郎どもに笑われてたまるかの思い。泣けました。
だけど、娘を殺された親の気持ちを思うと、くるしくなります。やっぱり、もっと早く合わせてあげたいと思いました。 -
後半に続く、序章。
周囲の語り口で、主人公という人間が切り取られていく形。 -
出会い系サイトで男を漁る
保険外交員の石橋佳乃が殺された。
容疑者は裕福な大学生の増尾圭吾。
彼は数日前から行方不明になっていた。
前半の上巻は登場人物の紹介的なところが大きく
事件についてはあまり多くは語られない。
土木作業員の清水祐一が
この事件にどう絡んでくるのか?
そして、『悪人』の意味するところは?
後半を期待して読みたいと思います。 -
感想は下巻で