悪人(上) (朝日文庫 よ 16-1)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022645234

感想・レビュー・書評

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  • 吉田修一の長篇小説『悪人〈上〉〈下〉』を読みました。
    『日曜日たち』、『横道世之介』に続き、吉田修一の作品です。

    -----story-------------
    本当の悪人は誰なのか――。不朽の名作、登場!

    福岡市内に暮らす保険外交員の石橋佳乃が、携帯サイトで知り合った金髪の土木作業員に殺害された。
    二人が本当に会いたかった相手は誰だったのか?
    佐賀市内に双子の妹と暮らす馬込光代もまた、何もない平凡な生活から逃れるため、出会い系サイトへアクセスする。
    そこで運命の相手と確信できる男に出会えた光代だったが、彼は殺人を犯していた。
    彼女は自首しようとする男を止め、一緒にいたいと強く願う。光代を駆り立てるものは何か?
    その一方で、被害者と加害者に向けられた悪意と戦う家族たちがいた。
    誰がいったい悪人なのか?
    事件の果てに明かされる殺意の奥にあるものは?
    毎日出版文化賞と大佛次郎賞受賞した著者の最高傑作、待望の文庫化。
    -----------------------

    2006年(平成18年)3月24日から2007年(平成19年)1月29日まで『朝日新聞』に連載され、2007年(平成19年)に刊行された刊行された作品…… 
    2010年(平成22年)に妻夫木聡と深津絵里の主演で映画化もされています。

     ■第一章 彼女は誰に会いたかったか?
     ■第二章 彼は誰に会いたかったか?
     ■第三章 彼女は誰に出会ったか?
     ■第四章 彼は誰に出会ったか?
     ■最終章 私が出会った悪人

    九州地方に珍しく雪が降った夜、土木作業員の清水祐一は、携帯サイトで知り合った女性を殺害してしまう…… 母親に捨てられ、幼くして祖父母に引き取られ、ヘルス嬢を真剣に好きになり、祖父母の手伝いに明け暮れる日々、そんな彼を殺人に走らせたものとは、一体何か―。

    馬込光代は双子の妹と佐賀市内のアパートに住んでいた…… 携帯サイトで出会った清水祐一と男女の関係になり、殺人を告白される、、、

    彼女は自首しようとする祐一を止め、一緒にいたいと強く願う…… 光代を駆り立てるものは何か? 毎日出版文化賞と大佛次郎賞を受賞した傑作長編。

    犯罪や事件を通して人間の心理や社会の闇を描いたヒューマンミステリ作品でしたね…… 保険外交員の石橋佳乃が殺害された事件をきっかけに、加害者・清水祐一と被害者、それぞれの家族や関係者の境遇、心情を詳らかにしながら、人間模様が多角的に描かれており、その中で徐々に事件の全容か等が紐解かれていく展開、、、

    ルポルタージュを読んでいるようなリアリティがありましたねー 祐一を殺人に駆り立てたものは何だったのか、佳乃はなぜ殺されなければならなかったのか…… それぞれが多かれ少なかれ抱えている心の隙間へと掘り下げ、やがてはそれらを含めてひとつの事件として浮かび上がらせていく手腕は圧巻でした。

    読みながら、気持ちが物語の中に没入してしまい、登場人物たちの善と悪、愛と憎しみ、罪と罰が交錯する物語に強い衝撃と感動を覚えながら、登場人物たちの視点で事件を疑似体験しているような感覚に陥っていく感じでしたね…… 加害者と被害者、その家族や友人、一体誰が悪人なのか!?

    人間の複雑さや理不尽さを深く掘り下げた作品でもありましたね…… 何でか理由は説明できないのですが、読後に涙が出そうになりました、そんな素晴らしい作品でした。

  • 2008年(第5回)。4位。
    映画化されたみたい。長崎とか佐賀とかが舞台。
    土木作業員の清水祐一。出会い系で保険会社OLと出会う。OLはナンパされた大学生ボンボンに夢中だが相手にされてない。あまりおつむがよろしくなくて、祐一に殺されてしまう。大学生ボンボンに疑いがかかり、本人も逃走中。祐一はOLと出会う前は風俗の女性に恋に落ちていたようだが、このエピソードは何か意味があるのかな。あとは双子のOLの暮らし。 なんかね、どんどん読み進めてしまう。誰が悪人なんだろ

  •  著者の作品は肌で感じられるようなリアリティがあるように感じる。普段目にしていても意識していないことが描写されており、一気に読者の目線を登場人物たちと同じ所に引きずり込むような感覚だ。
     入社したての若い保険外交員女性が峠で殺されているのが発見され、失踪中の知人の大学生が犯人と見られ警察が行方を追っているところで上巻は終了。再読で内容を知っていても、早く読みたくてするする読める。

  • 下巻へ…

  • 面白い。
    先が読めない。
    そして吉田修一さんの世界観がやはり好き。
    早速下巻に入ります。

  • 構成やテーマが宮部みゆきに似てるなと思った。
    読むのが遅すぎたせいだけど、2000年代初め頃は、本作のような、現代社会の人間関係の希薄さとか、ネット社会の闇とかマルチ商法とかを描いた、暗い小説が多かったなあと。

  • 人を受け入れようとしないのに
    だけどどこかで、心のどこかで誰かと繋がっていたい・・・。
    そんな人物像がうまく描かれている。

  • 下巻読了後 記録

  • 読みやすい。
    ちょっと悲しい。

  • 久しぶりに読んだけど、内容に引き込まれ、一気に読めた。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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