- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022645234
感想・レビュー・書評
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九州地方に珍しく雪が降った夜、土木作業員の清水祐一は、携帯サイトで知り合った女性を殺害してしまう。母親に捨てられ、幼くして祖父母に引き取られた。ヘルス嬢を真剣に好きになり、祖父母の手伝いに明け暮れる日々。そんな彼を殺人に走らせたものとは、一体何か―。
佳乃や祐一と関わる人たちの視点が入れ替わり立ち替わりしながら、物語は進行していく。
読みやすい文体と、引き込まれる描写に、あっという間に読んだ。
自分の親戚がみんな九州にいるので、本書の博多や長崎の方言が懐かしい。
下巻も早く読みたい!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
上下巻読んでの感想
登場人物の多くが寂しくて哀しい人間だ。
優越感を味わいたいから人を見下す。そのくせ、取り入りたい相手には媚びを売る。
人がどんなに傷つこうと、そんなことは考えようともしない。
だから思い切り残酷になれる。
転落のきっかけなんて、もしかしたら日常の中にあたりまえのように転がっているのかもしれない。
そして、愛に出会うきっかけも、幸せになるきっかけも、同じように日常の中に眠っているのかもしれない。
つまづいて転落していくか、見つけ出して幸せになるか。
ほんの小さな偶然が人生を変えてしまう。
転落の真っ最中に知り合った二人。
最後まで悪人になりきれなかった祐一は、極悪非道な犯罪者として生きていく道を選ぶ。
それが彼にとっての幸せだったのだろうか?
誰もが幸せになりたいと願う。
祐一が選んだ道は、彼にとって本当に幸せな道だったのだろうか? -
引きこまれて一気に読みました!
文章に情緒的な表現(センチメンタルな表現)がこもっていなくて無駄がないからでしょうか?かえって引き込まれる文章なのかな。。と感じます。
場面はけっこう変わるのに、不思議と状況がすぐに理解できるし、読んでてまったくそういった苦痛がなく、とても読みやすいところも大変気に入っています。吉田修一の作品をこの感じでどんどんと読み進めたいと思っています!
早く下巻を読まなくちゃ!気になります~ -
親が理解している佳乃、友人が思う佳乃、実際の被害者となった佳乃が少しずつずれている。それは加害者祐一とて同じ。そのずれが一人の人間を悪人にしていく。 発する言葉、感情から出る言葉、それを受け止められない人圭吾と対照的な祐一、各々のズレを増幅していくあたりが、ゾクっとする。
下巻も読了 -
2014.2.11読了。
いろんな人がいろんなところで繋がっている。頭の中でも半信半疑ながら、犯人を決めているんだけど、(上)の最後まで読むと…はやくっ!はやく下巻読まなきゃ!でもところで。眞子が警察に言えなかったもう一人の男性って誰だろ。
気になるなぁ。スッキリするかなぁ。
まいいや、これからすぐ下巻読みます! -
映画館の予告を見て興味を持ちました。
殺人を犯した男と、その男を愛した女の話…
なのですが、そんな単純に説明出来ない。
人物描写がたまらない。
あの人の、この人の、切なさが痛い程伝わる。
久々に一気読み。
果たして結末は? -
映画を観てから、ずっと読みたかった本。
ストーリーの流れはもうわかってるんですが、それでも小説だと自分の中で一つひとつのことばを咀嚼する時間があって、自分のペースで読めるからいいですね。
なかなか主人公の祐一の姿っていうのは見えてこない。
そのまわりのいろんな人々、いろんな人生、いろんな立場の視点から物語が進んでいきます。
それぞれに一生懸命生きてるんやけど、そこで事件が起きてしまう。
地方の若者の世界って、都会で育ったわたしには理解しきれないものがあると思うけど、その狭い世界で生きていかなければいけないことのしんどさって、なんかわかる気がした。
それにしても…なんかやりきれない思い。
続きが気になるので早く下巻読みます。