- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022950246
感想・レビュー・書評
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朝日の記者ということで構えてしまったが、戦後、両国間で何があったか、まさにルポしてくれて、生々しくて面白かった。
日本が悪かった、だから謙虚にしなければいけない、という史観が根底にあるのはちょっと引くが、全体に公平かな。
やっぱりムンジェインへの評価は厳しい。
現在の両国間がよくならないのは、両首脳が興味がないからというのはそうだろうな。
理由は各々違うだろうが。 -
前著「絶望の韓国」が良かったので、著者が昨今の韓国との関係をどう捉えているのかを知りたくて読んでみた。朝日新聞という左寄りの組織に所属していながら比較的バランスの取れた論調で、程度の低い嫌韓本とは一線を画す。
韓国人にとって反日は娯楽である、というのが自分の持論なのだが、その源流は李承晩の個人的な私怨に求められることを初めて知った。単なる娯楽なのだから相手にしたって無駄だし、好きにやらせておけばよいのだが、朝日がむやみに”隣国親善”を煽るものだから、中には勘違いする日本人が出てくる。実に罪深い組織だ。著者の牧野氏にはもっと本業で頑張ってほしい。我が家も20年来の朝日読者なのだから。 -
9年半、居をおいた著者でさえ、「理解していない」様、日本人が何冊の書物やメディアに流れる映像を見ても理解できないのだろうな。
「市民は日本が大好き」でも日本をスケープゴートにする、は全くわからない。
日本に旅行に押し寄せて、国に帰ると「反日」を叫ぶ。
わからない。
日本人の年配者は今韓国に行くことをためらうが、日本人でもメディアのニュース、新聞は見たこともないような若者は気にしない。文が辞職した後に若手が中堅になり新しい風が吹くのだろうか。 -
こじれにこじれる日韓関係。その原因やら遠因やらはネット上にも情報が溢れているが、やはりここは書物で確認しておきたい。その上、本書の著者は朝日新聞の論説委員であり、いわゆる右寄りのメディアの人よりも、この問題については客観的な見方をしているのではないか、という気がする。
というわけで読んでみたが、この著者にしても、韓国の最近の政権のやることは理解が難しいということが分かった。もちろん、日本側との考え方の違いや、細かなすれ違いや、日韓の首脳どうしの相性の良し悪しもあるのだろうが、日本に対しては何をしても許されるという韓国の基本的な考え方が改まらない限り、親密な日韓関係はもう来ないような気がしてしまう。
いずれにせよ、本書の執筆・出版後にも、日本が輸出手続きにおけるホワイト国扱いの取りやめを行ったり、韓国が同様の措置を採ろうとしたりしているわけだが、こういう状態になっている背景を概観するために、タイムリーな出版だったと思われる。 -
●旭日旗掲揚事件…済州島で行われた国際観艦式で、日本だけ自衛隊旗の自粛を要請され、 最後は不参加とされた。
●レーダー照射事件…場所は日本の排他経済水域内、漁船は国際チャンネルを使った救難信号を出していなかった。近辺にいた韓国漁船が、韓国専用チャンネルで救援を要請したらしい。
初めは捜索用だと言い、最後は日本の哨戒機が威嚇してきたからだという。更に安倍総理が支持率の為に政治的な意図を持っていたとまで言う。
●驚きの元徴用工判決…日韓請求権協定に含まれるのは、未払いの賃金や補償金であり、慰謝料の請求権は含まれてないと言う。
徴用工像の除幕式が行われたのがなんと国有地。式典を主導したのが、「民主労総」。朴槿恵政権を退陣に追い込んだ「ろうそくの灯集会」を主導するなど、過激なパフォーマンスで知られている労働団体だ。
●朴槿恵地震、日本に嫌悪感をもっていなかったが、大統領選で「親日派」と言うレッテルを貼られたこともあり、日本との関係をあげつらわれることを嫌がっていたと言う。
●韓国司法記者は語った「悲しいことだが請求権協定で徴用工問題も全て解決されたとか、そんな細かな法理は、普通の韓国人理解していない。それよりも昔から韓日基本条約は不法、不平等だったと言う意識が強い。そういうニュースや本を読んで育ったから。それも徴用工判決への支持につながっているんだよ」
●文政権には70年代から80年代にかけて民主化運動に参加した関係者が多い。大統領府は反日運動をやってきた延長線で仕事をしている。
■李承晩は1952年、公海上に「李承晩ライン」を設定し、日本漁船を次々に拿捕した。一方日本では、従来から根強かった朝鮮人蔑視の感情が絡み合い、多くの日本人は70年代初めまでは韓国と呼ばず、朝鮮と呼んでいた。韓国と言う国を認めていなかった。
■60年9月。まだソウルは、戦争直後の日本のようだったと言う。ビルと言えば日本統治時代に作られた政府中央庁舎とソウル市庁、明洞聖堂だった。 -
著者の意図した方向には☆1
著者の意図しない方向には☆4
総合で☆3
どれだけ現地で情報収集を重ねていても、イデオロギーで曇ったら何も見えないと言うことが、著者の牧野愛博氏や、町田貢元駐韓公使の発言からは哀しいほどよくわかる。
賛同できないまでも、理解しなければならないのはわかるし、実践したいのだが「日本相手には何をしても良い」「合意も協定も国際法も守る必要が無い」を正当化できるロジック(感情では無く、ロジックが存在しなければならない)というのは、正直理解できない。
「日本の軍国主義」を主張しながら、自衛隊機に火器管制レーダーを照射するような連中に一貫した思考は本当にあるのだろうか?(本当に軍国主義だったら、どう反応すると思っているのか?)
であるならば、「日韓」は「断絶」するのが自然だし、「最終的解決」なのだろう。
何しろ、先方は国際法も条約も合意も「日本相手には守らなくて良い」と考えているのだから。
そして、我々も、帝国をやめて70年以上が経過し、二度と朝鮮半島の面倒を見るつもりは無いので。
「日本相手には何をしても良い」という韓国の言動が尖鋭化、過激化しているのが、「民間交流」とやらが盛んになってからだというのは留意する必要がある。つまり、著者の結びとは逆に、「民間交流」とやらは、日韓関係の正常化には何一つ影響して来なかったと言うことだから。
韓国の言動を養護する際に昔多用された「昼は反日、夜は親日」の今風の表現に過ぎないなと<「民間交流という光明」
そして、著者が紹介している町田貢 元駐韓公使や後藤田正晴 元官房長官の発言からは、
彼等のような、韓国に「おもねた」人達が、現在の「日本相手には何をしても良い」と考え、そのまま行動する大韓民国の生みの親と言うことがよくわかる。
日韓関係を「正常化」するためには、韓国に「おもねた」人達が存在し、影響力を行使してしまった過去を反省することが一番重要であると再確認できた。 -
2/3強は最近の日韓関係と韓国の国内問題、残りは町田貢元公使からの聞き取りを主にした1950年代以降の日韓関係。
最近の日韓関係については、レーダー照射(「韓国軍迷走」とある)・観艦式・徴用工・慰安婦問題それぞれの経緯がよく分かる。また過去については、残留日本人妻、文世光事件、金大中拉致事件、大韓航空機撃墜事件など、その時々ごとの町田氏が語る裏話が生々しく、また面白くもある。著者は金鍾泌・朴泰俊を、町田氏の言葉も借りて「思考は全く日本人と一緒」「まるで日本人と会っているような錯覚」と書いているが、今の韓国要人にはない感覚だろう。
本書から感じるのが、文在寅・大統領府による、徴用工判決への認識や3.1演説に見る日韓関係への無関心と、「外交官アレルギー」とすら書いている外交部への冷遇。観艦式に見られるような韓国世論の強さとこれを重視する韓国現政権(盧武鉉政権では世論が反対するイラク派兵と米韓FTAを実施していたのに)。そして国内問題も含めた韓国現政権への著者の厳しい視線。
著者が大統領府に「無期限立ち入り禁止」を食らったことや当局からの尾行も書いているが、そんな個人的恨みだけでもないだろう。日本の「嫌韓派」に本書が利用されないか心配になるぐらいだ。著者は「嫌韓派」の問題点も指摘しているのだが。