鬼のうで (赤羽末吉の絵本)

著者 :
  • 偕成社
4.07
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039641106

感想・レビュー・書評

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  • あああ~、面白い!
    まるで活劇を見るように胸を躍らせて読んでしまった。
    赤羽末吉さん挿絵の絵本て、開くたびに「これこそ最高傑作」と毎度思ってしまう(笑)。
    「鬼の赤羽」と呼ばれていたそうだけど、怖いという意味ではなく「鬼ばかり描いているから」という意味らしい。
    長年あたためた素材というだけに、とてもドラマチックに仕上がっている。

    どなたもよくご存知の、【羅生門の鬼退治】の伝説の絵本化である。
    「御伽草子」や「太平記」にも載っているし、歌舞伎の演目にもあると言う。
    とは言え、歌舞伎はちと敷居が高いし、古典を紐解くこともそうそうはない。
    なので、この絵本化は実にありがたい。
    なんと言っても、子供たちに読んで聞かせられるので、読者の幅もぐんと上がるというもの。
    受け止め方によっては活劇の場面がグロテスクなので、明るくちゃんちゃんと語りたい。
    上手いことに文章も実にさらりと調子が良く、「鬼と人間の知恵比べの話だよ~」と面白げに語りたい。
    ゆっくり読んで約12分。小学生くらいから、かな。

    主人公である渡辺の綱の名前さえ知らないという子も多いことだろう。
    鬼は「大江山の酒呑童子」で、これは前述した【鬼が出た】の本に詳しい解説があるので、出来ればそちらもカンニングして(笑)、お子たちが怖がらないように付け加えるともっと良いかもしれない。
    鬼たちと人間とは、昔は今より身近な存在だったんだね。
    【不思議】と【怖い】が消えたのは、果たして幸せなのかどうか。
    スピード感あふれる迫力満点の赤羽さんの挿絵とともに、どうぞ親子でお楽しみくださいな。

    • nejidonさん
      淳水堂さん、こんにちは♪
      ご訪問&コメントをいただき、ありがとうございます!
      まぁ!小学校で読み聞かせをなさっているのですね。
      こんな本棚で...
      淳水堂さん、こんにちは♪
      ご訪問&コメントをいただき、ありがとうございます!
      まぁ!小学校で読み聞かせをなさっているのですね。
      こんな本棚でも参考になれば嬉しいです。
      何年生で、何分間くらいでしょうか?
      私は大体、学童なら30分間で「絵本・素話・紙芝居」で組み合わせ、
      放課後教室なら20分間なので「絵本・素話」などで構成します。
      子供たちに喜んでもらえるのは、やりがいがありますよね。緊張もしますが(笑)。

      【鬼のうで】は確かに面白いですが、難しい面もあります。
      こんなレビューを載せてますが、私自身はまだ使ったことがありません。
      また色々お話しできたら嬉しいです!
      こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。
      2013/07/20
    • 淳水堂さん
      nejidonさん
      お返事ありがとうございます!
      私は読み聞かせは初めてで、まずは小学1年生で時間は15分~20分です。順番が二か月後なので...
      nejidonさん
      お返事ありがとうございます!
      私は読み聞かせは初めてで、まずは小学1年生で時間は15分~20分です。順番が二か月後なので本探し中。
      まずはこの辺で考えてますが、初めてなので距離感とかがよく分からずどうなることやらです。
      http://booklog.jp/item/1/4569685285
      http://booklog.jp/item/1/4591089444
      またお話しさせてくださいね。
      2013/07/21
    • nejidonさん
      淳水堂さん、こんにちは♪
      さっそく教えてくださってありがとうございます。
      二ヵ月後というと、じっくり探して練習できますね。
      二冊ともとても楽...
      淳水堂さん、こんにちは♪
      さっそく教えてくださってありがとうございます。
      二ヵ月後というと、じっくり探して練習できますね。
      二冊ともとても楽しい本で、喜ばれると思います。
      私はどちらも大好きです!
      選書って、難しいですよね。
      本さえ決まれば、あとは練習あるのみなので、気持ちも楽ですよね。
      一冊をメインにして(季節の本で、ストーリーになっているもの)もう一冊をサブにすると、選びやすいと思います。
      サブは、クイズ形式のものとか化学絵本とか。
      初めてですものね。緊張されるかもしれませんが頑張ってください。
      陰ながら応援しています!
      2013/07/21
  • 思ったより長いお話だけど、文章のリズムがいいので音読が気持ちいい!

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    むかしむかし…

    源頼光(みなもとのらいこう)は、強者の家来とともに、悪さをしていた鬼を退治した。

    それから三月(みつき)ほど経った頃、今度は羅生門のあたりで恐ろしい鬼が悪さをしているとの噂が広がった。

    源頼光の家来・渡辺綱(わたなべのつな)は、その鬼のうでをがじーんと切り落とした。

    ところがその後、源頼光が減員不明の病におかされてしまい…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    なかなか盛りだくさんなお話の流れで、渡辺綱は2回、鬼とマンツーマン対峙し、2回ともも鬼のうでを切り落としています。
    1冊の絵本に鬼のうでを切り落とすという迫力の場面が2回も登場するのには驚きました。
    ただ、そのくだりが2回続くことにより、お話が複雑化し、小3の娘は前半から後半にお話がうつる際、流れを整理・理解するのに少し時間を要しました。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    2回目に切り落とした鬼のうでを、鬼が取り返しにくるところでは、「いやその人、鬼だってば」「箱開けちゃダメだし」「ほら、鬼出てくる、出てくるから!」など小3娘のツッコミが合いの手のように入りました。

    わたしと娘のお気に入りのシーンは、渡辺綱や鬼が考え事をしている姿を描いたページです。
    渡辺綱や鬼が首を横にかしげて考えているのに合わせ、杯や灯りまで横にかしげている様子が、とてもユーモラスでおかしかったです。

    文章量は意外と多いので、読み聞かせには20分ほどかかります。
    読み聞かせでお話の流れを追えるのは、小学校低学年からかと思います。
    古典はなにかと難しく、嫌煙されがちですが、古典のおもしろさを味わえるこうした絵本はとても貴重だなと思いました。

  • 源頼光と5人の侍たちは大江山で赤鬼とその手下どもの鬼を退治した
    しかし、鬼が1匹逃げ出していたのだ

    羅生門に住みついた鬼が女をさらう

    渡辺綱が鬼退治に向かい、あわやというところで鬼の腕を引きちぎる
    鬼はちぎれた腕を取り返すと黒い雲とどこかへ消えてしまった

    こんどは源頼光が鬼の腕のたたりで病に伏せる
    ただすの森の鬼の噂を聞いた渡辺綱は今度こそと森へ向かった

    勝負の行方は?

    〇鬼の迫力とどこか憎みきれないユーモアのある顔
    最後、少しだけほっとした
    安心出来るわけではないけれど
    〇誰かに語ってもらいたい

  • 大江山の酒呑童子を源頼光がお酒を呑ませて退治する。
    ところがその三月後に羅生門に鬼が出て、頼光の家来の渡辺綱が出陣。
    鬼と綱との知恵比べになっていく。
    言葉がリズミカルで動きと表情が豊かな絵もあって、とても楽しい絵本。
    鬼も時にユーモラスで時に迫力ある展開。

  • 大江山の酒呑童子を退治した源頼光と四天王たち。
    しかし逃げ出した鬼が京の都へ迫る。
    鬼の腕を切り落とした渡辺綱は鬼の腕を切り落とす!
    腕を取り戻しにくる鬼と頼光たち!
     うおーん うおーん うおーん

    かっこいいです!
    女を攫う強くて悪い鬼、対するは源頼光と四天王。
    最近の童話だと鬼は優しかったり人間と仲良しになりたがったりしている話しが多いですが、やっぱり鬼とは強くて悪いのが本来。
    挿絵は迫力があり文体はリズミカル、展開はどきどきするしところどころユーモラス。
    「なむさん、頼光は おいつめられた
    じりっと そでが こげた
    うーがっぱと はじけた。とんだ
    や! 鬼めの首は、ざっくり わきざしで えぐられ、
    どばっと 血をふいた。
    『ばけもの きえうせろ!』と、とびこむ綱(※渡辺綱のこと)も
    鬼めの くびめがけて 大刀で つきあげた。
    うおーん うおーん うおーん」
    絶版なのが残念。子供は「難しくてよくわかんない」と言っていますが自分が楽しみたい絵本。

  • 声に出して読むと語感が面白い。読み聞かせなどで楽しめるのかなと思う(子供がいないので子供がどんなのを好むのか憶測でしかないのですが)。
    途中にコマワリのようにページを区切って描写を分けてるので、一場面一場面が想像しやすい。

  • 9'00"

    鬼退治のお話

    侍が何度も強い鬼に立ち向かうだけの話なのだが
    古い言い回しの言葉が並び
    情景が目に浮かぶ
    THE昔話
    絵もお話に合った水墨画風

  • (実家本棚、赤羽末吉展をみた余韻にひたりながらあらためて読み返した)

    源頼光と四天王による大江山酒呑童子の鬼退治の後日譚。
    羅生門に出て悪さをするにげのびた鬼(調べてみると茨木童子か?)と渡辺綱の知恵比べ、丁々発止の対決は語りもリズムよくおもしろい。

    わたしの赤羽末吉との出会いは、この本とこどものとも「くわずにょうぼう」でどちらも幼稚園の購読でわがやに来た。くわずにょうぼうは暗く無性にこわかった。こっちは痛快でふしぎとひきつけられる忘れがたい作品だった。今あらためて読み返してみれば、レイアウトや構図など洗練されていて、映画的ですごくよくできている。

  • 何回読んでもこわい話だった。
    らい光が、酒てん童子をころすときに、上に立っていてすごいなと思った。おれだったらこわくてできない。おにが火をふいているのも、こわかった。
    らい光のお母さんに化けたおにが、生ぬるい風がふいたところは、つなが羅生門に行ったときと同じだった。おにが来るときは、生ぬるい風がふくのかな。おれはどこかにかくれちゃうかも。
    行ったことのあるただすの森が出てきておどろいた。本当におにはいるかな。ら生門にも行ってみたい。
    絵にはく力がある。ほのおとか着物とかはカラフルで、人の身体とかは白黒になっている。きれい。一番始めと一番後ろがまっくろなのがこわい。(小3)

  • 酒呑童子、源頼光、羅生門、渡辺綱
    面白い⁉️

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著者プロフィール

赤羽末吉 1910年東京に生まれた。1959年、日本童画会展で茂田井賞受賞。1965年、『ももたろう』(福音館書店)、『白いりゅう黒いりゅう』(岩波書店)、1968年、『スーホの白い馬』(福音館書店)で、それぞれサンケイ児童出版文化賞。1973年、講談社出版文化賞。1975年、小学館絵画賞と国際アンデルセン賞特別賞、またブルックリン美術館絵本賞。1980年、それまでの絵本の業績に対して、国際アンデルセン賞画家賞を受賞。1982年には、東ドイツのライプチッヒ国際図書デザイン展で教育大臣賞および金メダル賞受賞。1983年にはイギリスのダイヤモンド・パーソナリティ賞を受賞した。ほかに『つるにょうぼう』『したきりすずめ』(福音館書店)、『源平絵巻物語・全十巻』『絵本よもやま話』(偕成社)などがある。1990年没。

「2020年 『おへそがえる・ごんセット(3冊)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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