望郷 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 202
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (510ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041013366

感想・レビュー・書評

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  • 『ヒゲのウヰスキー誕生す』を読んで、リタから見た竹鶴夫妻の歩みを知りたいなあと思ったので、ずっと読んでみたかったこの本を購入。
    分厚いけど、夢中になって一晩で読み終えた。

    リタの最初の婚約者のこと、竹鶴との出会い、妹エラとの確執、日本での戸惑いなど、リタ側から見た生活ぶりがたっぷり描かれていた。特に幼少期~大学まで、どんだけひ弱な女の子だったかというのもよくわかった。それなのに日本に行くと決心して、日本人になりきって、よくそこまで頑張れたもんだなと感心。それだけ竹鶴のことを信頼してついていったんだろう。リタのお母さんが夫をうまくたてる人だから、そういう育ちも影響していると思う。
    ただ、サラを養女に迎えたという展開は「ヒゲの・・・」にはなかったのでびっくり!でもこっちはリタの伝記がもとになってるので、こっちのほうがより正確なのか?
    でもリタが年をとればとるほど頑固というかこだわりすぎの性格になっていって、それは自分が子どもを産めなくてサラに愛を注ぎすぎるからか?と思った。最後はちょっとリタが怖かった・・・笑

    でも、こんなに愛せる・信頼できる夫と生涯一緒にいられてリタは幸せだったんだろうと思う。なかなかリタのようには振る舞えへんな~(*_*;

  • マッサンの妻、リタさんのお話し

    すごいな~とは思ったけど、
    魅力的な人って感じじゃなかったな
    でも、外国人なんて見たことない人ばっかりの時代に日本に嫁に来て
    太平洋戦争があって…
    うーん、やっぱすごい。強いな。
    リタさんもマッサンも強い。
    ニッカウヰスキーは、二人の愛の力が生んだんだろうな

    そう思ったら、の余市蒸留所には行ってみたくなった!^^

  • 昔から大好きだった森瑤子さんが、竹鶴リタさんを主人公にした小説を書いていたと知り、どうしても読みたくなり探して購入しました。朝ドラ「マッサン」のエリーちゃんとは印象の違うヒロインでしたが、あの時代に国際結婚をしたカップルの決意と厳しい現実を知ることができました。竹鶴夫妻が日本に帰国した後の夫の変化や、夫婦間のちょっとした違和感をとてもリアルに感じられたのは、森さんご自身も国際結婚をしていらした経験からなのかな…など想像してしまいました。

  • 初読

    マッサンのエマとは人物もストーリーも結構違うな〜
    と思いながら読みました。

    第1章のカウン家の三姉妹が丁寧で瑞々しくて
    「西洋への憧れ」を持って見つめていた時代というのは
    徐々に遠くなっているのかもしれないけど、かつてのあの高揚感を
    思い出させる森瑤子の筆致によって少女時代と共に懐かしいような
    とても良い読書体験だった。

    リタが日本に来て歳を重ねていくあたりは
    ダイジェストというかサラッと描かれていたけど、
    ラスト付近の女としての立場、それに伴う心情の変化(森さんの筆に力が入るところだ)も心にじんとする。

    とはいえ、私自身がリタの急な変化であった
    威が歌子を守ろうとした一瞬でリタから弾けた何か、
    を本当にきちんと読み取れていないようで
    自分が不甲斐ないのでした。

  • 「マッサン」のモデルになったリタさんのことを知りたくなりまして。ドラマが始まる前に書店に並んでいた関連本の中から森瑶子さんのものを選びました。女性視点ならリタの正直な気持ちがわかるだろうと。
    なぜリタが選んだのがマッサンだったのか。ただ好きというだけで、故郷の風のたよりも届かないはるか遠い日本に嫁げるものだろうか。経緯を聞けばそれが一番自然だったようにも思えてきます。マッサンはウィスキーづくりに熱心で帰宅しない日も多く、寂しさを募らせたリタは子供を欲しがり、でも子供は産めない体で…と、国籍の違いだけじゃない困難もあって、そういうことも含めてこの二人の人生は他になかったんだろうと感じられる。お互いが生きてこられたのはお互いがいたからで、そこがしっかりしていたからきっと夫婦でいられたのでしょう。こうなると一時の感情なんて小さなものですよね。
    ふるさとを懐かしむ一方、ふるさとを新しく作っていく。夫婦の関係も同じなのかもしれません。

  • リタの芯の強さが伝わってくる。ドラマとは違うまっさんとリタが見えてくるかも。エリーは可愛らしい中にも母性とか芯の強さを感じる本当に可憐で素敵な女性

  • 竹鶴リタの物語、読み終わりました。森瑤子ワールドの中のリタはなんだか悲しいなあ。一生懸命生きて、愛する夫はきっと労わってくれた、でもそれ以上に日本に同化しようとすごく努力した、だけど完全にはなれなかった、それを「望郷」という題名で表したのではないか。

    「望郷」ではリタの戦死した婚約者への感情の動きから描くことで、よりリタという人間の根っこのところへの理解が深まる。。子供を流産してしまい、自分の血の入った分身との生活が叶わなくなって、「初めてニッポン人にならなければならないと悟った」と描いている。そしてリマという養女との行き違いの生活を森瑤子は想像たくましく描く。ここのところがこの物語を読んで悲しく感じるところなのだ。

    夫の姓になって夫の家族と住み、自分の育った土地を離れたいわゆる「お嫁さん」になった日本人の妻の場合でも、いくつになっても実家をなつかしく思いだす、というのはあるだろう。でも子供を産むことで、夫の家の跡取りの「母」となることで、新しい”夫の側の”土地での地位が確定される、という構図がある。リタはそれが叶わなかった。そこのところじゃないかな。リマとの別れの後の、威氏とも孫ともいい関係だったようだが、森瑤子は威に、「僕は何人子供がいても養子には出すまいと思う」と語らせている。

    ただ、威氏のニッカのHPでのエッセイを読むと、10代後半で納得の上での養子縁組でもあったので、何も違和感はなかったと書いている。おじの会社を継ぐためのもの、であって、「リタおふくろ」「政孝おやじ」と書いているように、実父母は別に厳然として存在し、ニッカという会社、いわば大名の家督相続、仕事と養子縁組は一体、というように見える。

    ともかく、この森瑤子ワールドの中のリタはけなげにスコットランド人として日本人として、精一杯その生を終えた、といえます。

  • 朝ドラ「マッサン」のモデル竹鶴正孝と妻リタの話。
    リタ視点での恋愛小説。
    朝ドラとは関係なくずっと前の本らしい。
    あの時代遠く異国に嫁ぐリタの強さと正孝のあの時代にしては愛を素直に表す男らしさが素敵だった。

  • どこまでが事実で、フィクションなのかわからないが、大変な時代に異国で恋に落ち、暮らし、日本国産のウィスキーを造った夫婦の物語。
    のめり込んで読む感じはなく、淡々とした文章。
    もっと人物に感情移入したかったので、少し残念。

  • NHKの朝ドラのモデルにもなった作品?というのでしょうか。なかなか興味深いです。リタさんってこういう人だったのかしら?ってちょっと思うような・・。

    朝ドラが?いろいろと違う展開のようで、今後の朝ドラ展開が気になります。

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著者プロフィール

森瑤子(もり ようこ)
1940年11月4日 - 1993年7月6日
静岡県伊東市生まれの小説家。本名、伊藤雅代。
幼い頃からヴァイオリンを習い始め、東京藝術大学器楽科入学。この時フランス文学にのめりこんだうえ、様々な人々と積極的に交流し、卒業後に就職。結婚と育児に追われる。1977年に池田満寿夫が『エーゲ海に捧ぐ』で芥川賞を受賞したことを機に、初の作品『情事』を書き、すばる文学賞を受賞しデビュー。
37歳でデビューしてから52歳で没するまで、小説、エッセイ、翻訳など100冊を超える著作を生んだ。作品の多くがテレビドラマ化されている。代表作に、『スカーレット』『夜ごとの揺り籠、舟、あるいは戦場』など。

森瑤子の作品

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