総理大臣暗殺クラブ (単行本)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.18
  • (3)
  • (20)
  • (25)
  • (9)
  • (3)
本棚登録 : 173
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041014820

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いまいち入り込めなかった。

  • 新入生の三重子が立ち上げた謎の部活〈総理大臣暗殺クラブ〉。
    メンバーは一風変わった者ばかり。
    総理大臣暗殺というバカげた目標のために青春の日々を楽しく、
    そして必死に費やす若者たちの真実は! ?

  • タイトルが少々不安だったが…

    ラノベ書いても白河三兎らしさたっぷり、この本の直前に読んだ「鉄のしぶきがはねる」がちょっと変わった素材で直球勝負なスポ根青春小説だったの対して、こっちはちょっと変わった素材で間合いを外す変化球な青春小説。主要登場人物からして「妙なの揃えてきたなぁ」って素材なら、部活の目的も「そんな理由で総理大臣を殺ってまうの?」な味の付け方。

    物語後半、顧問の先生云々のあたりから不穏な空気が流れだし、オーラスで「今まで読んできたん、なんなん?」な、見事な序・破・急。で、「あぁ、なるほど間違いなく白河作品やわ、これ」って頷かされて、不穏なまま物語が終わる。
    気持ちがゾワゾワ落ち着かないままの終わり方は、俺の好みではないけど、ケツの座りが悪い余韻を楽しむのもエンタメの一手法。やっぱ上手いわ白河三兎。

    で、タイトルなんだけど、やっぱ不安やわ。これでエエのん?(笑

  • 「ぶっちゃけ、総理大臣を暗殺しようと思っているんだけど」


    『世間は子供や老人に『なのに』を付けて持て囃したがる。成人に『なのに』を付ける時は大抵悪い意味だ。』

    『少なくとも私には命の重さがわからない。私は父の死に間近で触れたけれど、『こんな簡単に死んじゃうんだ。なんか軽いな』としか感じられなかった。』

    「俺が悪かったよ。体重計に乗るから。だからボタンを留めろ」
    「私をがっかりさせないで。声高に平等を訴えたものだから、柏木くんは男女の身体的特徴の差異など気にしない懐の深い人なんだな、と感服したばかりだった」
    「どんだけ自分の体に自信があるか知らねーけど、男でも女でも自分から脱ぎたがる奴なんて、自惚れ屋のド変態なんだからな。このナルシストがっ!」
    「正確には『ナルシシスト』です。言葉を知らないのなら、口を閉じていなさい。黙っていれば、少しは利口に見えるわ」

    「この世界は金がなければスタートラインに立つことすらできない。そのことを知らないのなら、おまえは恵まれているんだよ。親と神に感謝しな」

    「私が預金している銀行のATMは音声であれこれ指示してくれる親切なATMです。ATMは嘘をつきませんし、言葉遣いも丁寧です。柏木くんは見習うべきところがあるのでは?」

    『大人が『色々あって』を言い訳に使う時は、大抵『何もない』時だ。』

    「領土問題のことはさっぱりだけど、日本は無視していればいいんじゃないか」
    「勝手に占拠されても黙っているんですか? 横暴な振る舞いを見て見ぬふりしていたら、相手は付け上がるだけですよ」
    「でもな、他国に横暴なことをする国は、自国にはもっと横暴なことをするもんだ。いつかは国民が怒りだして内側から崩壊する。だから日本は自滅するのを待っていればいい」
    「先生は隣の国で行われている反日教育を知らないんですか? 国民の怒りの矛先を日本へ向けさせるための思想教育です。領土問題もその一環です。反日教育が存続する限り自滅することは有り得ません」
    「お隣さんでは、学校に通えないために読み書きができない子供がごまんといる。そういう子たちにとって反日教育なんて夢のまた夢だ。純粋に自国の政府を憎む。国防にばっか金を注ぎ込んで、教育と福祉を疎かにしたツケはいつの日か払うことになる。すでに自滅に向かっているんだよ」

    『一見、「誰が得するんだよ」と言いたくなるものでも、誰かはこっそり得をしているもので、哀れなことに「誰得?」と騒ぐ人たちは蚊帳の外なのだ。』

    『時に、想像力の欠けた人間が勇敢に見えることがある。チーターは勇者なのか、愚者なのか判断つかない。』

    『自分の心に浸透し易い物語を作り上げていることなど考えもしない。滑稽だ。でも私にも覚えがある。愛する人を失った時、人はその欠落を癒すために物語を描く。』

    「私は頭脳明晰でもあるし、スポーツ万能で、乳首の色と形も申し分ない。欠点のない私がいちいち自分の力をひけらかす必要はないんです」

    『でも不平不満を言ってもなんにもならない。自分が手にしているものが一つでもあるうちは、それに感謝していたい。神様を恨むのは、死ぬ間際でいい」

    『人の気持ちはその人そのものだ。他人にはわからない。相手のことが理解できた、というのは思い込みだ。思い上がりだ。相手を理解したいと自分が思っているから、そう感じたいのだ。』

    「先ずは自分の弱さを認めること。そうすれば景色が違って見える」

    『人に優しさを感じさせないよう配慮して、周囲にも当人にも気付かれずにそっと優しくできる三重子が眩しかった。』

    「そう。不可能じゃないよ ー 知らないことを知るのは、自分を変えることへ繋がる」
    「世の中を変える初めの一歩は、自分を変えることからってこと?」
    「そうよ」

  • 総理大臣暗殺のためにクラブ活動を立ち上げた双子の妹と,阻止するべく入部した双子の姉と,集まってきた個性豊かな面子の青春特攻野郎Aチーム劇。
    設定はいいが,やたらモスキート音と利き足のすり減りネタで引っ張って単調に感じるところもあった。

  •  とんでも話かと思いきや、仲間を増やし体験を通して成長するやつです。
     茂子がトムクルーズ並みの身体能力です。話を大きく広げた割に、最後が残念。でも、面白かったです。

  • 仰々しいタイトルではあるが実際のところは青春小説である。うーん、なんだかわからないけれどなかなかページが進まなかった。。。登場人物に魅力を感じられなかったからだろうか。特にムセン。オッサンは唯一人間味のある高校生らしいキャラクターだったけれど他は高校生にしてはすれすぎている。それぞれ家庭環境に薄暗いものがあるにせよ。

  • すごいプロフェッショナル。やっかいな高校生たち。

  • 一卵性双生児の姉・茂子は父の死をきっかけとする家庭崩壊で大切な妹・三重子に嫌われてしまう。
    父方の祖父母の元へ身を寄せる三重子に接触するため同じ高校に進学。ギャルになった三重子は教師の川上に恋をして、政治部を作り総理大臣暗殺を目指して活動をはじめる。
    茂子は妹の暴走を抑えるために入部し活動に巻き込まれていく。

    珍妙な始まりなのだが、中身は青春学園ミステリ調。
    暗殺クラブの活動を描いた連作短編で、万引きしたギャルにイタズラするコンビニ店員の悪行を暴いたり、生徒会長選挙に奔走したり、スリの手ほどきを受けたり。

    ミステリにしては伏線もトリックもないに等しいし、学園モノにしては展開がトロすぎる。
    登場人物が魅力的じゃないのが致命的で、会話が多い割にテンポがよくないし地の文が説明的だったり無駄な喩え話が多くてダレる。

    文体に作品の雰囲気が合ってないのだろうか。
    フォントもなんか読み悪く感じるのも全体の印象を悪化させている気がする。

  • 個性的なキャラクターたちの心の内には複雑な心情が秘められており、総理大臣暗殺という目的の過程で芽生える不思議な絆…
    設定はあれだが青春を感じる一冊でした。

全29件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

2009年『プールの底に眠る』で第42回メフィスト賞を受賞しデビュー。『私を知らないで』が「本の雑誌」増刊『おすすめ文庫王国2013』にてオリジナル文庫大賞BEST1に選ばれ、ベストセラーに。他の著書に『ふたえ』(祥伝社文庫)『ケシゴムは嘘を消せない』『もしもし、還る。』『小人の巣』『田嶋春にはなりたくない』『十五歳の課外授業』『計画結婚』『無事に返してほしければ』などがある。

「2020年 『他に好きな人がいるから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

白河三兎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×