切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人 (角川文庫)
- KADOKAWA/角川書店 (2014年12月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041020517
感想・レビュー・書評
-
いつものことながら予期せぬ結末に驚かされたが、今回は成長した古手川刑事の嗅覚が鋭さをみせたかな。
それにしても真犯人の動機は勝手極まりないものだが、最後までその動機はつかめなかった、残念。
ま、その動機を知りたいために眠い目をこすってでも、読了してしまうのが中山作品の魅力ですね。
あと、脇役の麻生班長はええ味出してるわ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中山七里作品は初でした。
電子図書館で無料でしたので。
読めてよかった!
ミステリーという点では、容易に犯人がわかると思いますが、内容が濃く、勉強にもなります。
シリーズ本のようですので、次を追ってみたいのと、別シリーズも読んでみてたいと思います。 -
警視庁の敏腕刑事犬養と、埼玉県警の若手ホープ古手川が現代の切り裂きジャックに挑む。臓器移植問題を扱った社会派ミステリー。
深川警察署目の前の公園で、若い女性が殺された上、内蔵を全て切り取られるという猟奇殺人事件が発生した。ジャックを名乗る犯人からマスコミに犯行声明も届いた。必死に捜査する捜査陣を尻目に、第2第3の猟奇殺人も実行されてしまう。
事件は核心に迫るのは、犬養・古手川の黄金コンビ。犬養は「名前の通り嗅覚が鋭い。おまけに女はともかく野郎の嘘を見抜く名人」、そしてバツニ。古手川も、口は悪いが渡瀬班長の薫陶を受けた使える男で独身。
容疑者が次々に変わっていく展開。ラストのどんでん返しは意表を突くものじゃなかったけど、テンポが良かったので一気読みした。面白かった! -
切り裂きジャックを名乗る犯人の犯罪と、臓器移植問題を絡ませた社会派ミステリー。
脳死に全般的なコンセンサスが与えられていない日本。
臓器移植の推進派と慎重派の論戦に8頁も費やした著者の、この問題に対する並々ならぬ意気込みを感じる。
捜査一課のエース犬飼刑事が担当するが、バディを組むのは埼玉県古手川刑事。
娘の臓器移植問題を抱える犬養は、事件にともすると公私混同の意識が入るが、古手川がその能力を存分に発揮し、事件を解決に導く。あの渡瀬刑事に鍛えられた故か。 -
臓器移植をベースにしたストーリー。
すごくテンポもいいし、最後まで飽きさせずどんでん返しもあり、面白かった。
それとともになんだか臓器移植の闇、とは言い過ぎかもだけど、他人から命をもらったから頑張ってきちんと生きなきゃいけないとか、
善意のクラウドファンディング、善意の押し付けとか、怖いなあと思った。 -
今年読む機会が増えた中山七里作品の私にとっての6冊目は「切り裂きジャックの告白」でした。
臓器移植がメインテーマと感じました。助けられる命なら助けたい移植推進派の考えにも共鳴できるし、そもそも脳死状態は本当に「死」と判断していいのかという反対派の考えにも理解できるところもあります。
もし、私自身や家族が臓器移植しなければ助からないとしたら、迷わず移植を望むのだと思いますが、果たしてそれがその後の人生にどのような影響があるのか想像もつきません。難しいテーマなのだと改めて感じました。
中山作品の特徴として「どんでん返し」がありますが、今回も見事にしてやられました。終盤の終盤にやっと犯人が確定したかと思いきや...殺人の理由についても本当の最後まで読まないとわかりませんでした。
犬養隼人と古手川和也のコンビはいいですね。たぶん二人の名前は今後読む作品でも目にすると思いますが、活躍がすごく楽しみです。相手をお互いに理解し、リスペクトしあえる相棒ほど強力なものはないですね。
それから、自業自得とは言えすっかり離れてしまった犬養刑事の娘との距離が、少しずつでも縮まることを祈っています。 -
一八八八年の夏から秋にかけ、ロンドンの貧困層の居住区で世界史における最も有名な事件が起こった。
犯行はいずれも売春婦が標的となり、遺体は刃物でばらばらにされた状態で発見され、少なくとも五人以上が犠牲になった。一人目の事件の一か月後に、通信社に手紙(犯行声明)が届いたことにより、この事件が明るみになり、劇場型犯罪の元祖になった。しかも犯人は逮捕されることなく未解決のままである。この事件を題材にした映画・ドラマ・小説も多く謎に包まれたままになっている。
ヒッチコック、コナン・ドイル、エラリー・クイーン等々。
流石にゲームは頂けない。
さて物語は大胆にも東京・深川署前の公園で、早朝都民の通報より遺体が発見された。警視庁と所轄署による捜査が進む中、ジャックと名乗る手紙がテレビ局に届いたところから始まります。
被害者は、元祖と違い一般の方です。
この作品が興味深いのは、単純に過去のジャックの模倣事件ではなく、社会問題となっている臓器移植法の是非を問うものである。捜査担当の刑事で主人公の犬養隼人は、娘(沙耶香)との確執も然りだが、娘もまたドナーからの臓器提供を待つ身で、彼と娘の焦燥と苦悩が窺える。
勿論、物語も急転直下するようなエンタメも読みどころだと思う。
最後に、この作品のヒントを書いてペンを置きます。ジョークと受取って頂きたい。
『犯人は、男性ですか?それとも…?』
『いえ、メスです!』、思わすクスリと笑った。
既にお読みになった方は、クククッと笑うことでしょう。