死呪の島

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041022511

感想・レビュー・書評

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  • 以下、今年の読み初めとなった。

    第21回ホラー小説大賞受賞作、孤島が舞台の民俗学ホラー、帯には選考者の貴志祐介、宮部みゆき、綾辻行人の推薦文が踊る。否応なしに楽しみな一冊だった。

    読後は、ジュブナイルファンタジーとして一層光っている作品だと感じた。小学生の頃に読めたら、一層楽しめた気がする。

    実際、総じてエンターテインメント小説として巧く、あっと言う間に読んでしまった。次から次に畳み掛けながらも伏線を丁寧に拾っていく物語、平易で読みやすい語り口は時に描写の凄惨さを和らげ、また時に登場人物の心象をこちらに委ね余韻を残す。各章1時間程度で読める短篇集的な構成も個人的に良かった。

    ただ読みざわり滑らかであるが故、ホラー小説に欲しい「間」や「おどろおどろしさ」に物足りなさも感じたのも事実。物語の主軸も、島の因習と運命に翻弄されつつも立ち向かう主人公たちの葛藤ということで、そう考えると本書は良質なジュブナイルファンタジーという方が適当な気がする。

    カテゴライズはさておき、年初からいい作家さんを知ることが出来たのは嬉しく、次回作に期待が膨らんだ。

  • 須栄島で打保椰々子に関わる人が次々と殺される.町長の息子の白波杜弥が中心になって解決する物語だが、「顔取り」には度肝を抜かれる感じだ.「亡者の海」で椰々子の生い立ちが判明するが、オカルト過ぎる.新任警官の田所が意外な役割をしているのには、気が付かなかった.楽しめる.

  • 水準以上の作品であることに異論はないが
    過去の日本ホラー小説大賞のような
    カタルシスを得られたかというと
    明確にノーと言わざるを得ない。

    一言で言うと、ぬるいし、新味に欠ける。

    高校生の甘酸っぱい恋愛模様を終始散りばめて、
    最後は高校生がお互いを強く抱きしめあって、
    甘く見つめ合いながら終わる。

    私の考えるホラー小説は、こんな終わり方しない。

  • 日本ホラー小説大賞受賞作品。
    うわー、もういかにも!といった雰囲気全開のばりばりホラー。こういうの大好きです。たまらない!
    かなりいろんな要素がいっぱいいっぱい詰め込まれて、ややごちゃっとした印象も受けるけれど。どの要素も魅力的なので、満足満足♪ 中でも補陀落渡海のエピソードが邪悪で素晴らしい。あの人の悲惨な末路が予感させられるのにも絶句。まああまり同情はできないんですが。
    ラストの怒涛の展開も圧巻。個人的にはこういうホラー、後味悪い方が好きなんですが(苦笑)。こういう爽やかな読後感ってのも意外でいいかも。

  • 初めは次々に起こる事件を解決していくのかと思ったが、途中から呪いの根源のはなしになり、日本だけでなく外国の話が出始めたあたりからは?が強くなった。
    できれば日本の古い風習や後味の悪い話で進めて欲しかった。

  • 途中までは面白かった
    謎の多い島、美少女、伝説。わくわく

    後半、ゾンビ、人ばんばん死ぬ、ファンタジー??
    人間の奥深い怖さとか期待したが、おや?こういうお話?
    ついていけなくなった。

  • ちょっと詰め込みすぎ感。
    この一冊で終わっちゃうかな…

  • 伊豆諸島の島を舞台にしたホラー小説。突然流れついた沈没したはずの客船、頭部の欠けた死体、島の洞窟に流れつく死体、人食い鮫の出現。島民から村八分的な扱いを受け続け、16年前に流れついたとされる高校生の椰々子の謎と彼女の関係者の死。同級生の杜弥は椰々子に思いを寄せるとともに、謎を解くミステリー性も感じられたが、ブードゥー教や島に伝わる怨念話はしんどかった。ルネと椰々子との関わりは理解し難かった。さかなの怨念が死者に乗り移って島民を襲う場面はゾンビを彷彿。最後の椰々子と杜弥の再会の場面は良かった。

  • ホラー小説大賞受賞作


    すごーく、すなおーな、ジャパンパニックホラーです。作者さんすごい好きなんだなぁというのが溢れ返ってます。このまま映画にできそう(演出如何ではB級ホラーになりそうだけどw)。映画にしたら緩急つけてめっちゃ怖くなりそうですが、小説では怖いの苦手な人も大丈夫と思います。
    あとは作者さんが日本大学生物資源科学部卒業だそうなので、せっかく島嶼を舞台にしているのだからちょっと作中にその知識を(情景とかうんちく的なものでもいいので)入れればいいのになと思いました。
    あと、助教に一番気の毒でした大賞を…

  • できればブードゥー教なしの和風一本で行って欲しかったです

  • 島という孤立した空間で巻き起こる数々の災いにハラハラしながら読み進めていったが、災いの原因があまりに突飛すぎてついて行けなかった。日本を舞台にした話かと思えばいつの間にかブードゥー教が出てきて混乱した。最後は綺麗に終わったとは思う。

  • 後半がなんだかな・・・

  • 絶海の孤島で起こる怪異、不気味すぎる託宣、呪われた美少女女子高生巫女…etc
    “いかにも”なオカルト臭がぷんぷん漂ってくる、日本ホラー小説大賞受賞作です。
    怖さよりもオカルティックな印象が強かったかな。後半の壮大な展開なんかには驚かされましたね。
    ヒロインの性格はもっと悪くてもよかった気がするけど…それは個人的な好みか。

  • 2018.1.27読了 8冊目

  • ジャンルとしてはホラーになるが、綾辻行人氏の「アナザー」などと同じで、起きている事柄の多くは現実(科学的)では解明できないことだが、そのそれぞれの因縁や要因は謎として提示され、全てラストまでに解き明かされる。そういう意味ではサスペンス的な要素も強い。

    顔無し、結界、人食い鮫、謎の客船、クルーザーに乗った一団、何もないところを向いた鳥居、篝火、呪術・・・etc、様々な謎が、伊豆沖の孤島で繰り広げられる。
    これらを高校生の主人公の眼を通して描くだけでなく、島の因習的で閉鎖的な日常を背景として、謎を解いていこうとする視点で描かれることでサスペンスとして読み易くなり、ホラー的な部分も受け入れやすくなった。

    ガジェットが豊富であるだけでなく、バックボーンとなるストーリーが良く練りこんであるし、”誰が?”という部分もあって一級のエンターテイメントになった。

  • 神がかってるのかか、ホラーか?私は苦手だ。でも、ハッピーエンドは大好きです。

  • 全てを敵、味方に分けてやっつけてハッピーエンドにするのではなく、「巡り合わせが悪かった」「仕方ない」で済ませるのが、日本的ホラーだと思った。
    ちょっとブードゥーが便利すぎたり、あっけなく重要登場人物が死にすぎたりするところはちょっと気になったが、トータル的には面白かった。

  • 顔取りなど前半は楽しく読めたが、内容が盛りだくさんすぎて回収するのに疲れた。

  • どろどろのホラーと爽やかな青春小説がうまく調和したバランス感がよかった。
    運命の力には誰も抗うことはできない。
    ボタン一つ掛け違えただけなのに本来生きられるはずの幸福な生活とは真逆の怖ろしい闇が待っている。
    赤子だった椰々子が閉鎖的な島に漂着してから始まる呪いの力、顔とり、続く身近な人の死、スピード感もあり早く先が読みたくてページを捲る手が止まらない。
    死をもって呪から開放されたルネも運命に翻弄された被害者でありただただ安らかに眠ってほしいと願った。

  • ある島で起こる怪奇な事件と呪いの話。
    結末が安易すぎるんじゃないかな、でちょっと残念。

  • ホラーだわ。島民はしっかり死ぬし、ワケもなく殺されることもあるし、閉じ込められた設定で助けはこないし
    いいねぇ、コレ
    オカルトで少年と少女が困ってて、身近な人を疑っちゃうヤツ
    章立てで恐ろしいことが立て続けに起こるっての?
    やっぱ、連続しないとね、身の毛もよだつ出来事は
    コレでデビューでしょ?スゴイね
    ほかにナニ書いてんだろ、スゴく気になる

    (6/06/'15)

  • 海神信仰が残る須栄島。島では沈没客船が漂着したことを皮切りに謎の怪異が次々と起こり、死者がでてしまう。島の高校生・杜弥は被害者すべてが、好意を寄せる同級生・椰々子の関係者だと気づき…。

    恒川光太郎や朱川湊人を生んだ日本ホラー小説大賞の2014年受賞作。梗概に「謎の怪異が次々と起こり」とあるが、起こり過ぎてゴチャゴチャしてしまった感は否めない。でも読ませる力はかなりあると思うので、作者のこれからの作品に期待。
    (C)

  • 新人作家さんとは思えない出来の良さだと思います。
    面白かったです。

  • 伊豆諸島の東端の小島で起こる怪奇現象の数々。読み始めは島に伝わる不可思議な伝説が蘇っては解決→また起こるの繰り返しがありつつ、伏線で繋がっていくお話かと思ってたら…突然ブードゥーの呪いが出てきてビックリ!日本古来の昔話を絡めてあったので違和感満載。
    でもそれを補って余りあるテンポの良さと躍動感。私は結構怖かったかなー。

    最後はキレイにまとめ過ぎな感は否めないけど、この作家さんの別の作品も読んでみたいと思える良作でした♡

  • 伊豆諸島の一部である須栄島。
    そこに赤子のときに流されて育てられた女子高生は島民から村八分の扱いを受け孤独に生きている。
    彼女は秘かに巫女のような仕事を託され「災いがくる」という預言をうける。
    それ以来、島は謎と狂気があふれ出る。

    ストーリーがしっかりしてて続きが気になった。
    面白くて細かな疑問も吹っ飛ぶ。

  • ホラー小説大賞〈大賞〉受賞作品に相応しい、豪壮な舞台設定。小さな島の中に、よくこれだけの怖いものを詰め込んだものだなぁ、と感心しました(^-^)
    そんなわけで、確かに贅沢なのですが、すべてのネタが、どれもやや食い散らかしている感があります。キレイに片付けてから次に行くか、後からでもいいから、もう少し整理して欲しかった(^^;
    私も賢い人間ではないので、終盤には頭の中がグチャグチャになりました(笑)
    顔取りから始まって、アレとかアレとか、登場する発想は、想像すると怖いものばかりですが、文章から醸し出される臨場感、生理描写、比喩表現などからは、怖さはあまり伝わってきませんでした。素朴で読みやすいのですが、その為に、あまり凝った文章はなく、特に気になったのは、約10ページの間に3回も「釈然としなかった」り、5ページの間に2回も「涙がこめかみに落ちていった」り……あとは、痺れたり、焼けたり、と、とにかく同じ表現ばかり使われているのです。読み飛ばしてもいいかな、という箇所がかなりありました。
    小説なのに、文章にこだわっていないのは、非常にもったいないなぁ、と思うのでした。

  • 帯文:”狂気を宿すのは、島か少女か?本年度最恐の新人が放つ戦慄のホラー・ミステリ!”

    目次:序、顔取り、和邇、補陀落、咒、亡者の海、楽土、第21回日本ホラー小説大賞選評

  • 中盤辺りまではグイグイ引き込まれていったけど、徐々におかしな方向へ…盛り込みすぎてちょっと無理がある感じ。島の中で始まって島の中で終わらせて欲しかったかも。予想とは違う展開だった。

  • ホラー大賞。
    スピード感があってさくさく進む。いろんなネタが混じって、それぞれのシーンを想像すると、あまりの馬鹿らしさにびっくり。つまらないかどうかより、丹波哲郎の映画を文字で見てる感じ。
    ホラー大賞はばかばかしくて当たり前と思えば楽しいです。

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著者プロフィール

ゆきとみ ちあき愛知県出身。日本大学生物資源科学部卒業。2014年、『死呪の島』(受賞時タイトルは「死咒の島」)で第21回日本ホラー小説大賞“大賞”を受賞。同作は『死と呪いの島で、僕らは』と改題ののち文庫化。みずみずしい青春ホラーとして話題となった。他著作として『黄泉がえりの町で、君と』(角川ホラー文庫)がある。

「2022年 『ALIVE 10人の漂流者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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