金魚姫

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041025284

感想・レビュー・書評

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  • ブラックで働く青年と金魚の化身である美女との不思議な同居生活。リュウと潤のやりとりが愛おしくていつまでも続いて欲しいと思った。千年以上の因縁云々。復讐の連鎖の結末が切なかった。


    引用
    「男は泣くな。女の涙の値打ちが下がる。」
    かっこいいセリフ。
    この傲慢さがいいね。
    美人しか言えなさそうだけどね。

    2016.1.1

  • 切ないけれどこれでよかったんだと思う。もしリュウが人間の姿に戻れて、晴れて恋人同士、そして二人は結婚を考える、めでたしめでたし・・・とかなったら、どうしようかと思った。現実問題として困るよね、金魚だったリュウには戸籍がないでしょ?社会保障はどうする?とか。(小説なのに、それは考えすぎか・・・。)

    リュウ、時空を越えた恨みは消して潤の子供を温かく見守る?それとも潤を恨めないから息子を恨みのターゲットにする?恨みを持つ霊って、対象者が人生の絶好調にいるときに、ポーンと不幸のどん底に落とすらしいから、もしかしてその機会を狙ってるとか、まさかそんなことはしないよね、ね?

    古めかしい言葉遣いで少し威圧感のあるリュウとCMの愛らしい女優のマネするリュウ。すごいギャップ。一日中テレビ見ながら一生懸命覚えたんだね、可愛らしい。

  • 現代社会に生きる男性が仕事で悩み苦しんでいる時、自分の今後をかけてお祭りで一匹の金魚をすくう。それは古来中国から生きており、金魚が突然美しい女性に変身しそこから一気にファンタジーの世界へと惹き込まれる。一緒に暮らしていくうちに、それぞれ抱えている問題はお互いを知ることによって良い方向に進んでいくが・・・互いに相手を思いやる気持ちや愛情がページをめくる度に伝わり、切ないラストでした。

  • 古の中国で美しい女性の悲恋。

    現代の日本でブラック企業に勤める青年の悩める毎日。

    そんな冒頭から始まる物語には、現代の屈託があり、笑があり、ほんわかと暖かくも、寂しさもあり。
    恋愛ものかファンタジーか怖いお話か、生き方を問うストーリーか・・・とにかく一気読み。
    大変好みの一冊でした。

    この作家さんだと、「押入れのちよ」とか少し似たイメージかもしれません。


    多分、再読するだろうなぁと思える、読んで良かった!な1冊です。

  • リュウは魅力的。

    潤の結婚相手の吉枝はリュウが選んだ。
    この世での父と息子のお世話係。
    潤の命が尽きるとき
    きっとリュウが迎えに来るよ。
    愛し合う二人は永遠に!

    なんてね。ちょっと妄想。

  • ブラック企業での仏具販売の営業のストレスと同棲していた彼女に去られ鬱っぽい江沢潤。夏祭りの金魚すくいで琉金をすくって飼い始めてから不思議なものが見え、好転しはじめる−

    ◆琉金「リュウ」がTVに夢中で言葉覚えるの、ダリルハンナの「スプラッシュ」みたいで可愛かった♪ずっとずっと昔から愛しい人と裂かれた怨みを、血脈を根絶やしにするまで抱いて長く長く生きてきたのに…大事に愛されて自分のしてきた意味を問う。すべては繋がっている、頂天眼の言葉の意味がわかるラストに泣ける。


    【ネタバレ】くぷくぷ笑う、えびせん好き、「新麦冷えてるから」「もうにんぐしょっく」。魚類にわかるまいと吐き出した「恋に破れた」「鯉に敗れた、と」コイ違いのくだりが面白いけどやり直せると思ってた潤への「愚かな。女と燕の子は一度飛び立てば同じ巣には戻らん。千年の古からの理だ」とはなるほどいい得て妙。そのままずっと一緒に。確かにずっと一緒に…。だけど…。「なぜお前なのだ」長く長く生きてきた彼女の命に限りができたのは きっと 怨みが浄化されたから、だと思いたい

  • 良かった。私的には本屋大賞候補です。

    「うる星やつら」のラムちゃんとは全然違うんだけど、なんだかそんなような感じがした。

  • 失恋して仕事もうまくいかない人生崖っぷちの営業マンが、人間と金魚の姿を行き来する女性と出会う。あり得ないはずの現実を受け入れて、共に生活するうちに、主人公は生きがいを取り戻していくのだが…。

    ブラック企業の非人間的なパワハラは深刻で、主人公の苦悩がリアルに伝わってくる。そこに女性がホラーがかった様子で登場するのだが、2人のちぐはぐなやり取りがくすりと笑えて、主人公の心がときほぐされていくとともに、読み手も和やかな気持ちになれる。
    時おり、遠い昔から生き続けてきた金魚の(というよりも女性の)過去が、おどろおどろしい怪談のように差し込まれていく。そして、なぜ彼女が現代にいるのか、謎は終盤で一気に解き明かされる。

    オカルトのような突拍子もない設定と、二重構造の仕掛けがうまく物語を盛り上げているのは、主人公が苦悩する生活がリアルだからこそ。作者の力量を感じる。
    過去と現在がつながったときの切ない哀しみが、大きな余韻として残る作品だった。

  • 違う時間軸の話の挿入が絶妙、とほうもない話をどう終わらせるのかと思ったが、満足のいくラストだった。リュウの擬音好き!

  • うわ、これは面白い!ファンタジー設定ではあるんだけど違和感なく小説の世界に入っていけるこの感じ。万城目学以来な感じ!映像化出来そう。ドラマになってたりして?って検索したらやっぱりなってたー。後で見てみよう。
    でも、映像にしたらやっぱり作り物めいてしまうのかな。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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