限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?

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制作 : 黒田 眞知 
  • KADOKAWA (2016年9月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041033890

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限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?の感想・レビュー・書評

  • 著者のマイケル・ブースは『英国一家、日本を食べる』を書いている。本を買う前には『英国一家~』の著者だと気づいていなかったので、日本のことよく知っているなと感心をしていたのだが、どうりで詳しいわけだ。

    あんなに寒くて住みづらそうなところに住む北欧の人々が、何故あれほど幸福で経済的にも成功しているのかという問いは、とても興味があるわけでもなく答えを探すでもないが、どうしてなんだろうなと思う程度の興味はあった。そして、平等な社会、同質な社会、高齢化社会、謙虚な人々という点で、北欧諸国と日本が似ているところが多いことにこの本を読んで気が付いた。北欧諸国を見ることが、日本にとってとても重要ではないのかというのが読後に強く持った感想だ。

    著者の奥さんがデンマーク人で、著者自身もデンマークにも住んでいたことがあり、デンマークが世界一幸福な国であるということに違和感を持ったのがこの本の出発点だ。そこからその他のいわゆる北欧諸国にまで探索の範囲を広げて、それぞれの違いと類似性について皮肉とユーモアを込めて解説している。限りなく完璧に近い人々(The Almost Nearly Perfect People)というタイトルからして相当の皮肉屋さんだ。

    それではまず、取り上げられたそれぞれの国について見ていく。

    <デンマーク>
    著者が住んだこともあるデンマークの章が当然ながら最も長い。ただ、近隣諸国と比べても深刻な問題を多く抱えていることも確かであり、この章が長くなった理由のひとつだ。さんざんに文句を言っても、子育てをする場所としてはすばらしい国だと最後はフォローはするのだが。

    デンマーク人は仕事をしない。夕方の四時か五時には仕事を終わるし、年次休暇は六週間もある。労働者の20%が失業手当や障害手当に頼って生活している。「フレキュリティ」と呼ばれる彼の地の制度によって、就労時の給与の最大90%が最長で二年間給付されるという。
    デンマークはイギリスやドイツに対する敗北の歴史があるが、そのことがデンマーク人の気質に影響を与えていると想像している。
    北欧諸国に共通する特徴としてデンマークも貧富の差が少ない国だ。狭い地域の中では、互いに知り合いであることが多いが、その狭い社会の中ではとても社交的である。これらのことから生まれる人々の間の信頼の存在が経済的成功にも貢献しているという。信頼があれば、官僚機構はより簡単で効果的になるし、企業間の取引コストも下げられるからだ。
    何よりも手厚い社会保障制度と高い税金がデンマークの特徴だ。税率は世界最高。所得税の基本税率が42%もある上、家や車の所有による税金も高い。色々あって直接税で60%もある。さらに付加価値税は25%。直間あわせて58%から72%にも達するらしい。税金が高い割には実は公共制度は特によいというわけではない。それでも税金が高いことに対する国民の不満は少ないし、選挙のときの論点に挙げられることも少ない。著者は、「集団的犠牲精神の究極のシンボル」と皮肉っている。実は、公務員が多いからというのも理由になっていて、成人の2/3以上が公共セクターで働いているというのが高率の税金が支持されているからくりでもある。また同時に、中小企業は脱税にいそしんでいる。税金の使われ方が実は明確ではないのだが、そのことを突っ込まれることも少ない。
    首都コペンハーゲン以外の地方がゆるやかな死を迎えているというのは日本とも共通するところがある。高齢化が進んで労働者人口が減っているのも日本とデンマークは同じだ。
    またデンマーク政府が進めた政策のおかげで世帯当たり収入に対する負債の割合は他の北欧諸国のどの国よりも高い。デンマーク人は、平均して年収の三倍以上の負債を抱えている。これはポルトガルやスペインの二倍以上... 続きを読む

  • いやあ、面白かったなあ。デンマーク語が堪能な英国人から見た北欧。統計データやデンマーク語に関するちょっとしたネタ、歴史的事実を踏まえた考察が満載。訳もとっても素晴らしく、言葉選びがすごくよいせいか、切れ味のよさに何度も唸らされた。
    例 43ページより
    (新聞の)片方のページには中国人ビジネスマンが世界地図を見ているところが描かれている。一人が「デンマーク? 正確な場所はどこだ? 眼鏡を取ってくれ」と言っている。(中略)一方、反対側のページには「トーリング首相、中国に圧力をかける」という見出しがある。こちらはデンマークの首相が、近々訪問する予定の北京で、中国の首脳に人権問題について物申してくるという記事だ。北京は震え上がっていたに違いない。

    他にも何度も笑わされた。個人的には同じ著者の『英国一家~』以上によく書けてると思うけど、テーマが北欧ってのはニッチかな? 幸せをはかれるのか、幸福度調査についてが主な読みどころか。

  • 英国人からみた北欧、というのが面白かった。
    日本人が北欧をみると良いところは礼賛、違和感は「これが北欧ね」と違いとして納得するパターンからなかなか抜け出せないよう。その点、英国はそこまで地政学的に遠くなくて、昔のひそやかな因縁もあったりして、こういうところホントやだ! なんでそうなの? と言えてしまうのがいいんだと思う。
    デンマークと和解せよ。

  • デンマーク、アイスランド、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン。なんとなく「北欧」としか理解していなかったが、国によって大いに違う国民性を、実際に移住して味わった著者の実感とインタビューから明らかにしていく。

    世界一幸せな国民=喪失と敗北の歴史から、足ることを知っていることというデンマーク人。いまだにバイキング気質をたぶんに持っている「無茶しやがって」島民であるアイスランド人。石油で大当たりしちゃってとまどっている大いなる田舎者のノルウェー人。スウェーデンとロシアに挟まれて苦労した寡黙で信頼できるフィンランド人。シャイでかたくるしく退屈な全体主義者のスウェーデン人。

    スウェーデン人、デンマーク人、ノルウェー人の3人が難破して無人島にいるというシチュエーションのジョークが紹介されている。ひとりにひとつ願いを叶えてくれる魔法の貝が見つかったとき、スウェーデン人は「ボルボとビデオとおしゃれなイケアの家具がある、大きくて快適な家に帰してください」と願い、デンマーク人は「コペンハーゲンの居心地の良いアパートに帰って、柔らかいソファーに座ってテーブルに足をのせ、セクシーなガールフレンドと一緒にラガービールを飲みたい」と願った。2人が去ったあとノルウェー人は「すごく寂しいから、さっきの二人をここに戻してください」。あー、なんとなくわかりやすい。

    なかなかおもしろかったが、もうすこし短くまとまっていると読みやすいんだけどなぁとちょっとこぼしてみる。いや、なかなかおもしろかったですよ。

  • 結構理論的な部分が多い本で、気軽に読む本ではなくじっくりと腰据えて読むタイプの本。
    訳は読みやすく内容も分かりやすい。
    ななめ読みになってしまったが、北欧は北欧で色々あるということは何となくわかった。

  • 書き口が面白いです。タイトルから想像していた内容と違い、絶賛するような内容というより事実を列挙しつつ手厳しく書いてある内容。
    少々読みづらく飽きる部分もありました。

    こういうった本を読む度、近代以降の日本の闇を感じてしまいます。
    日本は裕福な国であるはずなのに、日本人の幸福度が低い。
    江戸時代までは妖精の国と呼ばれ、清貧という言葉があったのに、
    豊かになったはずが幸せだと思う人が少なくなった。
    豊かさとは、幸せとはなにかと考えてしまいます。

    北欧は一度も行ったことがないので、是非行ってみたいなと思います。

  • 限りなく完璧に近い人々...。皮肉...。面白かった。

  • なんとなくリベラルでおしゃれでイケアで…じゃなくて、北欧の国々で実際に生きている人々や社会を、ちょっと毒のあるユーモア感覚で真剣に書いている本。
    世界は興味深い人で満ちているわ。

  • 北欧5ヶ国(スウェーデン・デンマーク・ノルウェー・フィンランド・アイスランド)について、おそれながら今まで少しごっちゃになっていた面が自分の中であったことを認識した次第。。それぞれの国の特徴を、ユーモアを交えて描いていて読みやすいです。(500ページもあるけど!)
    昔、京成高砂あたりで話しかけられたスウェーデンの人(この本を読むと、話しかけてもらったことは奇跡に思えました。まぁそんな盛り上がった会話ではなかった気がしますが)に「スオミって言うんですっけ?」的な質問をして「それはフィンランド」とあっさり返された情けない思い出があるのですが、この本を読んでいればそんなコトにはならなかったに違いない。

    日本では常々「北欧をお手本に」的なコトが言われていますが、この本を読んでみると、良い指標だけをつまみ食いせず、その背景に目を向けないといけないと思わされます。
    例えば、女性の社会参加が進んでいるスウェーデン。出産後早くに子どもが託児所に預けられていることが、比較的少年の犯罪率・青年の軽犯罪率が高い理由の一部になっているのでは?と著者は問題を提起しています。
    他にも、最も幸福度が高い国(デンマーク)や最も教育水準の高い国(フィンランド)も、それってどういうコトなの?的な探りを著者が入れているのが面白いところです。

    北欧にも、日本の全体主義っぽい、忖度しちゃう国民性と一部似通った部分があるようで。成功した社会主義国なんて表現は日本だけだと思ってたのですが、スウェーデンもなかなかのものでした。

    北欧への旅行前に読んでみるのも楽しいかも。ガイドブックよりも国民性について結構突っ込んだ感じなので望ましいふるまいの参考になるかと。(行くモチベーションに影響が出て旅行が中止にならないことを祈ります)

  • 読みづらくて10pで断念。

  • デンマークには「仕事が生きがい」という人はほとんどいない。みな5時には仕事を上がる。年次休暇は6週間あり、7月は国全体が休み。労働人口の2割が手厚い失業手当で生活している。税率は高いが充実した社会保障制度。社会的団結力」人同士の結びつきが強く、集団主義であること。経済的平等性が高い。

  • めちゃくちゃ長いです。北欧の歴史から政治、風習まで網羅してなぜそう完璧に思われるのかということをひたすら書かれています。
    税率を高くして、公共系を充実させている国々だそうです

  • タイトルに反して、ポジ3割ネガ7割ぐらいの内容。個人的にはフィンランドに行きたい。

  • 英国人目線で北欧のいい面、悪い面を整理した本。北欧の入門書として最適。サブタイトル「なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?」は 皮肉が含まれている気がする


    重税&手厚い福祉により 国民間の経済的平等を目指す 北欧モデルが 日本の目指すべき幸福モデルかもしれないが、北欧それぞれの国に 問題があり、日本の方が バランス いい と思った

  • イギリス人の北欧論なんだけれど。おそらくイギリスと北欧の距離って近いんだろうなあ。特にスコットランドとか。
    面白がれるかというとちょっと難しいのが残念。

  • 北欧諸国が幸福なのは、なりたい自分になる自由、やりたい事をやる自由といった社会的流動性が高いから(米英よりも高い)。それは教育の機会均等がベースとなっている。
    ただし、移民との融和は上手くいっていない。移民の収入は-36%。移民に対する恐怖と偏見がある。との事。
    幸福や満足は主観的なモノで統計が全てではないが、経済的成長こそが幸せと思い込んでいる人々にとっては色々と参考になる部分が多いと思う。が、かなり冗長で翻訳ならではの読みにくさは仕方ないのか。

  • よくある北欧素晴らしい!論ではなく、少しウイットの利いた、北欧の国の真実が語られている。一般的に北欧で括られがちな5つの国の特徴もよくわかる。
    スウェーデンで著者が行なった社会実験はスウェーデン人の特徴が現れていて面白い。また、国家統制主義的個人主義という概念に驚いた。

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限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?の作品紹介

デンマークが世界一幸福? 世界一税金が高いのに? 高齢化、社会保障、移民、格差、地方衰退。北欧諸国も私たちと同じ問題を抱えている。なのになぜ? 『英国一家、日本を食べる』の著者が幸福度の秘密に迫る!

限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?のKindle版

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