- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041049105
感想・レビュー・書評
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人間は自分がされてきたことしかできない。
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屈折した家族の物語
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漫画であれ、小説であれ、
自ら何かを作り出すことは
生半可なことじゃない。
父と娘。
私も自分の人生と重ねて読んだ。
この一文が好き
「私と父の間には、ある一時期、とても美しい花が咲いていた。」
きれいごとじゃなく、時間がかかるかもしれないけど
共感できた。 -
著者の特徴である生々しい表現やファンタジー要素は薄く、むしろ漫画家が主人公という自身を投影したかのような現実的な設定。そこで描かれるのは家族という呪い。家族の在り方が変わりつつある現代日本において“正しい家族”なんて概念は成立するのか?坂元裕二や是枝裕和に通じるテーマを感じた。
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書き下ろし
漫画家の明日香は、父母の離婚後二十数年会っていなかった父親が亡くなって、病院だった家屋敷を遺産として受け取ることになり、屋敷内の片づけをするうちに自分と父親との関係、祖父母のもとでの家族関係、母や兄との関係、恋人との関係を見つめ直すことになる。
祖父や父が兄を選んで自分を選ばなかったことに鬱屈を感じ続けてきたが、凡庸な父もそうだったのではないかと思い至る。また面倒を見ていた年下の恋人が自分のもとを出ていこうとしたときに暴力をふるったことで父親の血を意識する。父が自分の作品を読んでいたこともわかり、最初は拒絶感を持っていた屋敷が慕わしいものへと変わっていく。
自分が書いてきた作品も、「私みたいな大人や子供を一人にしないために漫画を描いていたんだ。」と気づき、「愛を手放すことについて、ただ悲しい以外の感情にたどり着きたい。」とああたな境地を目指していく。
このあたりは作者と重なるのかな。 -
不在の存在感。そんな不思議な感じのする本でした。
三つ子の魂百までが当てはまるのかな。
主人公の行動にイラついてしまうのは、自分が主人公に共感しているから?似た性格だから?
だから読むのが辛かった。
自分に当てはめながら読んでしまうところが、この作品の良いところでもあると思う。