男役 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 338
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041057063

作品紹介・あらすじ

トップになって二日目に舞台事故で亡くなった50年前の伝説の男役スター・扇乙矢。以後、大劇場の奈落に棲みつく宝塚の守護神ファントムさんとして語り継がれてきた。大劇場では月組トップスター如月すみれのサヨナラ公演の幕が開き、その新人公演の主役に大抜擢された永遠ひかるの前にあらわれた奇跡とは―。男役という稀有な芸への熱いオマージュを込めて中山可穂が情感豊かに描く、悲しく切ない恋愛幻想譚。

感想・レビュー・書評

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  • 「男役は男役に惚れるものであり、娘役にではない。それが宝塚における正しい異性愛のあり方である。」
    この一文だけでもこの本を読んで良かった。ストーリーよりも、文庫版あとがき、がささる。
    「一体なんでこんなにも好きになってしまったのか理屈では説明できない全くわけがわからない。」「もう恋人なんかはいらないが、ヅカ友が欲しい。」

  • ボロ泣きだよう

  • 宝塚で如月すみれのサヨナラ公演が行われる。その新人公演に抜擢された永遠ひかると、その祖母である元トップ娘役のチャメ。そのチャメと共にスターだったファントムさん、の話。
    ひかるがファントムさんやすみれに導かれて成長していく。すみれはサヨナラ公演に向けて自分を仕上げていく。ファントムさんはどうにかしてチャメに会えないかとひかるに交渉する。
    最後、サヨナラ公演ですみれがファントムのように死んでしまうのではないかと思ったが特に死んだりすることはなくてよかった。ただ、サヨナラ公演そのものがすみれにとっては葬式だったので、死んだのとそんなに変わらないとも言えるのかもしれない。
    チャメとファントムさんが50年の時を経て、孫の初めてのトップ役公演で再会できてよかったなと思った。

  • 宝塚ファンが読めば、あるある~な話が詰まってて、
    「ファントム」の伝説を主軸したものがたり。
    宝塚ファンとしては、ありそーな話が出てきてそこまで面白味は感じなかっけど、宝塚知らない人が読んだら、あの特殊な世界に触れられて楽しめるだろうなーって思った。でも、読むのにも苦戦するくらい幻想的な「美」な表現は素晴らしかった。『娘役』『銀橋』もぜひ読んでみたい。

  • 実在する宝塚歌劇団に劇場に50年もの間魂として存在し続ける悲劇のトップスター。劇場公演のリアルな様子を描きつつもファンタジー(ホラー?)の要素が見事に混ざり合い、宝塚という舞台の特殊性も相まって見事に悲しくも美しい物語になっていると感じた。

  • 宝塚を見始めて約10年程になりますが、こちらの作品は宝塚の世界の"リアルとファンタジーの狭間くらいの世界観"として十分に楽しませてもらいました。幾度となく読み返しています。宝塚ファンとしては、あるよねーわかるわかる、と言うことと、それはちょっとないかなーということの混じり具合が、あまりリアルすぎずに"お話"として楽しませてもらえる良いところだと思っています。それでいて、私個人としてはファンが思い描く宝塚の世界の理想像のような一部を小説の中を通して垣間見ることができて楽しかったりもします。この本に出会えてよかったです。

  • 2021/12/01-12/04

  • 宝塚初心者の私にはわからない専門用語もおおく、調べながら読んだ。ストーリーも文章も登場人物もただただ美しく綺麗。私はまだ宝塚をみたことがないがきっと宝塚の舞台を実際にみたらこのような感じなんだろうと思った。宝塚への興味が増した。続編もぜひ読みたい。

  • テレビで見たバラエティで、急に宝塚に興味が湧き3部作一気に購入。
    本は分厚ければ分厚いほど、テンションが上がるので本作の薄さと価格にびっくり。銀橋にはさらに驚きを越し引いてしまった。
    それはさておき、ちょっとファンタジー感はあったけど、宝塚を舞台としてるうえで納得というか、無知の私にはありそうかも!と思える設定で良かった。トップが故の孤独なども丁寧に描かれており魅力される。
    うーん、みたいぞ宝塚!東京公演ではなく宝塚に行って舞台を見たくなってしまった!

  • 借り本。

    舞台は宝塚歌劇団。
    私は詳しくはないものの、去年、DVDで何作か観て用語や雰囲気はある程度わかっている状態で読んだので、状況は想像しやすかった。

    DVDを貸してくれたのは宝塚を愛する先輩で、ひとつの作品のために皆がどれだけ心血を注いでいるかを何度も語ってくれていたのだけれど、この作品を読んで『ああ本当にそうなんだなあ』と、より実感できた。

    たくさんの人の情熱と想いが込められた舞台。ひかるやほかの出演者たちだけでなく、周りで見守るひとたち、家族、観客、みんなの念が強くて濃い。これも、素晴らしい舞台のひとつの要素になっているのかも。

    ファントムさんという存在は現実にはいない(はずだ)けれど、いてもおかしくないように感じた。一度宝塚にかかわったら、きっともう離れられない。心も体も宝塚に捧げずにはいられないんだろう。すごい世界だな、宝塚って。

    ひかるが健気に頑張っていて、この舞台を実際に観たいなーと思ってしまった。作品は三部作のようだから、ひかるがトップになる姿も読めるといいな。

    後半は切なかった。ファントムさんもチャメさんもパッパさんも。引き際が本当に美しいけれど、ただただ切ない。



    10ベージ3行目
    『アドリブではすみれコードをたびたび無視したが、』→『すみれは』?
    それとも、○○コードという言い方があるのかな

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。

「2022年 『感情教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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