- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041084335
感想・レビュー・書評
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血の匂いのプンプンする翻訳ミステリーばかり読んだ後だっただけに、きれいな日本語で書かれた、優しく、激しく、美しく、あまりにも哀しく、不器用な人たちの物語に心が洗われました。
邪魔くさく、理不尽なことばかりの時代だったはずなのに、どこかでその時代に憧れている自分がいます…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
幕末を舞台に、会津の少女と薩摩青年の恋愛とは違う結びつきの話、歴史小説のそれとは違う死の匂いが最後まで付き纏う。ラスト、やっぱりそうなってしまうのか…
須賀しのぶさんのいつもの歴史を扱った小説とは一線を画す気もするし、いやいや、いつも通りじゃんって気もするし、ああそうだなぁ、私が中高くらいの頃のコバルトでこれやってくれてたらもっと素直に読めたのかもしれない。これは少女小説からの流れからきた作品だと感じた。うまくいえない。
歴史を扱っているんだけど、もしかしたらあったかもしれないよねっていうフィクションなところが好きなんだった。須賀作品の。 -
歴史ファンタジーかと思って手に取ったらしっかりした幕末物。
歴史が苦手だった私には取っつきにくかったけど、読むにつれ加速度的に引き込まれた。
胸中に「無の獣」を飼う二人が、惹かれつつ交わらない。
炎の中、死にのみ魅せられる。面白かった! -
2.7かな
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01月-20。3.0点。
幕末、会津藩江戸屋敷に生まれた主人公女児、大地震時に薩摩藩の若手と出会う。倒幕となり、敵味方に分かれた二人は。。
うーん、読みやすいのだが、根底に流れているテーマが自分には少し理解できなかった。 -
会津戦争の最中の緊張感…幕末の話は時々混乱してしまうが鏡子と伊織の心(を2人とも最期まで掴みかねていたが)の通いが とても切なかった。
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終末を待ち望む人生。
長かった。そして少しばかり疲れた。 -
幕末、薩摩藩士と会津藩士の娘。安政地震を機に結び付けられた二人の運命。幕末の時代に翻弄される男女を描いた大河小説。
「また、桜の国で」を読んで以来の筆者のファン。今回の舞台は幕末。会津藩と薩摩藩。運命的な男女の出会い。ひとつ間違えれば通俗的なストーリーになりそうな設定なのだが、筆者な筆力には感嘆する。壮大なテーマに全く負けない描写力と人物設定。誰しも持つであろう、他人に対する劣等感、滅びの美学。二人が互いに互いに惹かれるところの説得力が何より本書の成功のキーであろう。
大きな時代の流れ、清河八郎であったり実在の人物をうまく配置しており、かつ薩摩、会津から見た幕末の激動を簡潔に説明しつつのストーリー展開も素晴らしい。
炎や血の持つ悪魔的な魅力。カタストロフィには恐怖感とは別にどこか恍惚感があるように思う。そんな人間の感情の恐ろしい部分、そして他人と決して同化できない違和感。自分の中にいるまだ見ぬ根源的な生の感情、そんなものが見事に表現された衝撃作でした。 -
須賀さんの本は何冊か読んでいて、とても好きな作家さんです。
しかし今回は鏡子や伊織の心情をなかなか理解できず、終わりかたも寂しく感じられ、星三つにしました。
戦国や幕末の話はあまり関心がないので(人がたくさん殺しあうのが苦手で…)、そういった時代が好きな方はもっと楽しめるかもしれません。
しかし知識があまりないからこそ、不意にでてくる有名な登場人物やエピソードにわくわくしました。有名な人物ではなく、一般の人から見た幕末というのが、面白い視点でした。 -
ちょっと話題だったし歴史ものだったので積読リストに入れてましたが、ラノベっぽい表紙だったので正直あまり期待はしてませんでした。
はじめての作家さんでしたし。。
が、予想外に会津の女と薩摩の男の目線から幕末の動乱を丁寧に描いた作品で、とても面白かったです。
尊王攘夷とひと口に言わず、いろんな思惑の上で尊王があって、開国があって、攘夷がある。
この時代って、藩主とか将軍とか皇室とかの上の人が作ったのではなくて、世論の熱によって時代が動いてたんだ、と実感しました。
そんな世の中で、同類と出会ってしまったことで、お互い自分の本質に気づいてしまった二人。虚無の心を隠しながら生きる息苦しさ、ゆえに求めてしまうの魂のつながり、だけど現実には敵対関係にある会津と薩摩という大きな壁・・・
悲恋に終わる恋愛小説、なんでしょうけど、恋愛よりも藩の総意に、熱に乗れない彼らの異様さが哀しい物語でした。