紙屋ふじさき記念館 麻の葉のカード (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041087527

感想・レビュー・書評

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  • 紙こもの市のような、手作りの作品が並ぶイベントが好きなので読んでいてとてもわくわくしました。
    今まで何気なく見ていた和紙にもたくさんの種類があること、たくさんの工程があることなど勉強にもなって楽しかったです。やっぱり紙っていいなあ…!
    ふじさき記念館がどうなっていくのか、続きも読みたいと思います。

  • 和紙を始めとした紙の知識は深く広いが無愛想でそれを広める気持ちの乏しい藤崎と、引っ込み思案だけど紙小物が大好きでそれらを企画広報する才のある女子大生百花。当人たちは気乗りしないまま周りの後押しで、紙の記念館の館長とバイトという関係になった二人。最初はギクシャクしてたものの、新たな紙小物製品や館内の展示の仕方、SNSでの宣伝などを通して、藤崎の百花に対する評価も変わり…と。専門家側からと素人側からのアプローチがいい具合にうまく合わさって、善き方向に展開しそうな予感。それにしても和紙の世界は奥が深い!◆「あんまり紙をおもちゃにしたくないんだよね。紙はね、もっと…」「記録のための紙、なにかを包んで守る紙、家具としての紙。紙はむかしから強い力を宿すものだった。できれば敬意を持って扱いたいんですよ」(藤崎さん p.266)◆やっぱり紙っていいなあ。小さくても、持っているとしあわせになる。これであの人に手紙を書こう、とか、あの本にはさもう、とか、「これから」を考えるのが楽しい。実際に使っても、使わなくても。小さな可能性、小さな未来を手に入れたみたいに。p.108-109◆

  • どんな人にも思い出と共にあるものがある。
    その手触りや温もり、そうした色々な感触と共に
    綴じ込められた思いが、そのものには込められている気がする。

    それは数年前から子供時代まで、時を越えて私たちには
    時間軸に囚われずに大切なものとして、存在する。

    読みはじめから、どこか柔らかな時が流れている小説だった。
    ゆっくりと、踏みしめるように、少しずつ。
    そんな勢いにのって読むものとは違う、ゆるやかな優しい小説。

    全ての紙が好きな人、そして何か「物」に惹かれるひとに、
    本が好きな人にお勧めしたくなるような、そんな一冊でした。

  • 百花は叔母と紙製品市を訪れ、出店していた藤崎産業の記念館館長と知り合う。叔母と館長は仕事上のつながりがあり、百花の作った紙小物の商品化などを通じて記念館でバイトすることにある。紙に対する熱意や造詣は深いが、記念館の運営には投げやりな館長。紙の世界に引き込まれていく百花の働きかけもあって、記念館は動き出す。紙小物の世界、和紙の世界。文章なので想像するしかないが、それでも十分に魅力的な世界が描かれている。

  • 和紙の魅力を小説仕立てで伝える作品。特に若い人たちに和紙ばかりでなく、その他の日本の伝統文化、今は廃れかけている日本の伝統文化を伝えようとする姿勢を感じる。
    和紙に関することがメインになっているが、若者は和紙の原料、製造方法等、基本的なことも知らないのだろうかと、この作品の登場人物たちの会話で少々驚かされた。
    一方、東京日本橋の伝統建築などの紹介もあり、まるで東京伝統文化紹介小説とも言える。小説でこれらのことをテーマにしているので、登場人物描写があまいところもあるが、日本固有の和紙文化の魅力を感じる作品だ。

  • 手作り系が好きなので紙小物が色々出てきて嬉しい。創作から販売までの過程を読んでいるだけでも楽しいですが、一成との関係や記念館を盛り立てようとする流れもしっかり書かれていて良かったです。

  • 興味があるので、紙や他の工芸の説明はたのしい。
    ストーリーは軽め。

  • 自分はこの主人公のようにクリエイティブでも器用でもないし、紙や文具にも興味がないし、和紙に対する思い入れもないけれど、この記念館がこの後どうなるのかが気になる。

  •  紙好きの女子大生が、和紙の世界に魅了されていくハートウォーミングストーリー。
     主人公は、紙の小物市をきっかけに、老舗製紙会社の〈紙の記念館〉に出入りし始め、和紙を用いた商品開発に関わるようになる。
     内向的で人見知りだが、雑貨作りのセンスに長けた少女と、不愛想ながら和紙のスペシャリストである記念館の若き館長は、少しずつ親交を深め、やがて同志として、和紙の魅力を巷間へ広めるべく協力していく。
     紙工作の過程についての描写が若干冗長に感じるのがやや難だが、ヒロインが製作した紙雑貨を挿絵イラストや巻末レシピなどで紹介できると、より解りやすくなるかと思われる。
     また、衰退の途にある和紙の復興に懸ける人々の想いが熱く、ほのぼのとした優しい物語となっている。

  • 活版印刷三日月堂シリーズから派生した感じの新しいシリーズでした。
    紙の話はすてきだなあと思いました。
    仕事ができるといっても、こういう悠長な仕事ぶりが許されるのは創業者一族だからだよね。という部分は一般人の僻み目線もあって少し微妙な気持ちになりますが……。

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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