- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041106044
感想・レビュー・書評
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清少納言の一人語り、とても読みやすくておもしろかった。政争と内裏の様子は現代のことのように生き生きとして感じられた。
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清少納言のことが好きになった。
人には様々な華がある、と言うのはすごく深いことだと感じる。
その華を失わず生きている人はどれだけいるだろうか。
持っていた華をいつの間にか失い、また違った次の華を咲かせる。しかし、できることなら咲いた華を持ち続け、また一つ違う華を咲かせてみたい。
年を重ねるにつれ気づかないうちに無くしてしまうものがある。そうして人は大人になるのかもしれないけれど、少し寂しいと感じてしまう。
清少納言の定子への愛は、清少納言にとっての一つの華なのかな。
深読みかも知れないけれど…
今度、枕草子を読んでみたいと思った。 -
冲方丁の作品というので期待が大きすぎたらしい。だいたいこの時代あまり得意じゃないし。
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良くも悪くも、枕草子の有名なエピソードを切り貼りしながらこの方なりの色づけをしているんだな…、という作品でした。
清少納言視点の小説というのは面白いし、展開や文体が悪いというわけではないのですが、なんというか薄いというか…。
勝手な想像なので、もし違ったら本当に申し訳ないのですが、なんとなく、この方は、小説の題材として清少納言と枕草子を選んだけど、過去の御自身の読書体験としては、(何でもいいから一作でも)平安文学を読んで胸を震わせた経験はしてこなかったんじゃないかという気がしました…。
このお話を書くにあたり枕草子を読んでそれを経験したのかもしれませんけど…。
でも、読みやすいので、若い方がこの作品をきっかけにしてこれまで読まなかった枕草子や源氏物語を読むきっかけになるといいなあ、と思います。 -
小学校で必ず習うであろう、清少納言の枕草紙に関する話ですが、学んだ時にはサラッと流していた(ほとんどですが)ことを、今さら「へぇ~」となりながら読みました。そして、読みながら教養というものの価値を少し感じた気がします。
男性と女性の立場が現代とはがらっと違う当時の価値観や生活と、だからこその「あるじ様」や清少納言の生き方の格好良さがありました。また、道隆公の風雅さはさすが時代一の権力者という感じ。
「女は己を愛する物のために化粧をし、男は己を知る物のために死ぬ」(P330)
今までは、文学も歴史もほとんど興味を持っていませんでしたが、本書を読み終わった今、ちょっと勉強してみたくなってます。 -
最初は退屈でどうしようかとおもったけど、
政局が絡んで動き始まってからは一気に。
どの程度史実に即しているのか気になるところではあるけれど、清少納言の人となりが多少わかった気がする。すてきなおばちゃんだったんだろうなあ。
紫式部の人生も読んでみたいなあ。
清少納言の話であり、
中宮定子のお話であり、一条天皇のお話でした。
彼女がみた華。世界。
-----道隆様だからこその華でした。中宮定子様だからこその華でした。わたしはおふたりの華を愛したのです。 -
ことばが難しい…
けど、清少納言がこんな人だとは思ってなかった!!
ちょっと、親近感湧くかも。笑 -
平安時代の雅さを感じさせる。定子さまは凛々しく、美しい。文中に散りばめられた和歌も物語に華を添えているようだ。
新聞に連載された小説ということで少々単調でもあるが、平安好きにはたまらない小説である。
一つ言うのなら、清少納言の定子さまラブは想像通りだが、こんなに謙虚な人だっけ?ともともと持っていたイメージが崩れた。 -
割と清少納言はさらっと。こういうおばちゃんが気のいいおばちゃんなんだろうなー
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清少納言の一人称で語られる、宮中と中宮定子、そして枕草子の物語。
読み出してまず思ったのは、言葉のやわらかさです。冲方さんの作品を読んだのはこれが初めてですが、『天地明察』をパラ見した時はもっと硬い文章だったような気がします。清少納言の言葉として書かれているので当たり前なのかもしれませんが、このやわらかさがまるで本当に平安仮名を読んでいるようで、物語の内容と相まって雅な雰囲気を感じさせてくれました。
『枕草子』やその他の古典は学校の授業で習った程度なので、この作品でどれくらいアレンジや脚色がされているのかは分かりません。でも登場する貴族や女房たちが人間くさく、身近に感じられる描かれ方をされていて、違和感無く読めました。教科書の現代語訳とは違って肉付けされていて、分かりやすい魅力があります。
日本の中世以前はあまり史料が無いせいか、小説や大河ドラマでも題材としてあまり取り上げられない印象があります。戦国~江戸時代のものばかりで。でもこういう話を読むと、やっぱり平安時代もいいなあと改めて感じました。風流を重んじる生き様がとても好きです。
何度も作中に出てくるのは、「華」という言葉。主に定子に対して使われており、定子の美しさや強さをよく表していると思います。そして定子の「一番の女房であり、ゆいいつの番人」であろうとした清少納言。清少納言の世界の中心にはいつも中宮定子がいて、この物語はまるでラブレターのようでした。
清少納言が見た、千年の都の華と夢。
史実が、少しでもこれに近いものであればいいなと思います。