はなとゆめ (単行本)

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  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041106044

感想・レビュー・書評

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  • 16:冲方さんの歴史シリーズ(?)3作目。平安時代の話、しかも語り手が女性とあって、「天地明察」「光圀伝」とはまったく違った作風になっています。清少納言の筆、という設定なので、あまり突っ込んだ時代背景の説明がなされず、日本史に明るくない私には少々つらかったです。
    また、時代柄、切ったはったの「熱さ」が前面に出ていないので、前半はちょっと退屈でした。
    ただ、清少納言もまた、中宮定子というひとに捧げた想いの一途さ、熱さは春海や光圀とまったく同じだったのだと、静かな筆致からも感じられる作品でした。

  • 清少納言の一人語りで『枕草子』が書かれた所以が語られるお話。あくまで清少納言の目線なので致し方ないのかもしれないけど、主である中宮定子をあまりにも称賛しすぎるので正直やや鬱陶しい(笑) 漢籍や和歌の教養と、それを瞬時に理解する頭の良さがないと女房勤めはできないのだなぁ…と、知識として知ってはいたけど、具体的にこういうことなのか~と分かったのはよかった。つくづく、貴族って頭でっかちなんだなと思った(笑)

  • 卒論も終わり高校生ぶりに再読。
    改めて読むと色々と時期が違くないか?と思う点がちらほらあることを発見。高校生の頃より枕の知識がついていることに個人的に喜びを覚える。
    一番気になったのは清少納言の里居。「道長側」と疑われての里居、時期が長くないか?作者は翌年の春説に従ってるのかな。
    あと、跋文と山吹が送られてきた時の経房の官位が異なるから、山吹の前に草稿が流布したと出てきて驚いたし、斉信が則光に居場所を教えるよう迫った話はこの里居を終えてからの里居だと思うから、そうきたかとこれまた驚いた。山吹→紙と畳の下賜→跋文の順かなと思っていたので、ありえるのかは置いといて作者の説も面白いなとは思った。
    清少納言の長徳の変後の長期的な里居は、未だに問題点が非常に多いようなので、首を傾げてしまうところがいくつかあった。参考文献が少ないから、なるほど仕方ないかと思ったけれど、忠実に書くには、集成と全集だけじゃなくて大系も目を通すべきだろうし、解環や論文も見なきゃ書けないと思う。それほど枕って難しい作品だと思う。その分とっても面白いんだよね。今読むと違うなーって思うところもあるんだけど、この本に出会ったから枕をより好きになったのは事実。出会えてよかった一冊。
    清少納言って本当に素晴らしい才能を持った、鋭敏で感受性豊かな女性だ。作者の清少納言像と少し異なるみたいで、清少納言の語り口が少し気になった。ここまでプライド高くないと思う(笑)それも含めて星二つで。

  • 「天地明察」では静かで熱いハートな男、
    「光圀伝」では荒々しく激しい殿様を描いたのが、
    今度は平安宮廷の才気溢れる女性。
    今までとは違う女性の語り口に驚きました。
    宮廷の複雑な人間模様と権力抗争の中に
    中宮の翻弄されつつも美しく生きる様がほの悲しい。
    新しい清少納言像というべきか。

  • 丁度授業で清少納言をやったばっかりで清少納言や定子の背景を知っていたけど、知らなくても当時の文化をさりげなく説明されていて十分楽しめると思う!授業の復習にもなったし知ってる知識があって嬉しかった~!ところどころ出てくる短歌に百人一首にあったようなのもあった!清少納言の人生も枕草子も楽しく理解できる本!!!

  • 何を思って買ったのか全く覚えておらず(おそらくサイン本だから)、積読を解消するために読みました。
    平安時代のことは特に興味もなく、そして、中宮に仕える女房、のこともほぼ初見。
    その中で話がすっと入ってくるのはやはり読ませる力なんでしょうね。
    枕草子も学校で習ったことすっかり忘れたなー。

  • 作者に対する私の期待が多すぎたかな、という感じ。
    清少納言は紫式部にコテンパンに貶されているイメージで、私も高慢ちきな人だと思っていたので、『はなとゆめ』を読んで、中宮様という華に魅了され、忠誠を尽くす、現代人に近い感覚の持ち主なのかな、と感じた。
    この本を読むことで、中高の古文で学んだ断片的な枕草子を、振り返ることができ、また、華を求め生きるという女性の在り方を考えさせられた。

  • 初読。図書館。冲方さんの歴史小説を読んでいつも感じるのは「勉強になるなあ」ということ。清少納言の視点から定子様への一途な愛が描かれおり、少し乙女チックかも。政争の部分は思ったほど粘着質には描かれていなかった。元の夫への心情のほうが辛辣かも。この時代の宮仕えの女性は、知識、教養、機転、感性、容色と求められるものが多かったんだなあ。現代と比較しても、豊かな文化です。

  • 清少納言と、定子のイメージが180°変わりました。優しい言葉で丁寧に綴られたお話に、心が少しずつゆったりとしていきました。
    どんどん窮地に追い込まれながらも華を失わない定子の姿や、周囲の華を開かせる姿はとても美しく、胸がときめきました。
    「だいすき」をキーワードにブログを毎日綴っているので、清少納言のようにいつでも明るく、美しく、これからも続けていきたいと思いました。
    2016.08.25

  • 内容はあの枕草子を書くに至った
    宮中の権力闘争の中での、
    人との出会い。
    とりわけ主となり、「清少納言」の名付け親ともなる
    一条天皇の妃『定子』中宮。
    美しさ、たおやかさ、聡明さと
    どれをとっても素晴らしい女性。
    初めて出会ったのが定子18歳。
    清少納言は、子を産んで離婚後。

    清少納言が枕草子を書くまでの
    立派な歌人の子として生まれながら、
    歌を詠む事へのコンプレックス。
    反面、多くの知識を持ちながら
    知識と美意識を楽しむ事ができなかった結婚生活。
    自分の容貌へのコンプレックス。

    清少納言はみたものを克明に覚える特技があったようで、
    殿上人の服装の色合いから、縫い目まで
    克明な描写は、周りの人も驚かせ
    見たものと、自然、名歌とのコラボなど
    聡明な中宮からも、愛されたようだ。

    枕と称した今でいうエッセイ。
    この形式を自分のものにした時の
    清少納言の喜び。

    人名や、役職名など、固有名詞がいささか読みにくさを
    残すが、全体には当時の男女の関係や、遊び、考え方
    いろいろわかる面白い一冊になっています。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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