ムーンライト・イン

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 918
感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041110782

感想・レビュー・書評

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  • 2021 7/29

  • とまあ、人生ひとそれぞれ、色々あるわけです。ほかに表しようがない。その昔『マディソン郡の橋』を読んだけど・・・あれと比べようもないか。これは血縁のない者たちが、成り行きで共同生活するわけだし。それにしても、彼らはみな、なんだか逃げ腰で地に足のつかない人生だ。辛い過去を背負ってるったって、誰しもが抱いてるほどのもんでしょ。結局、やけに含みを持たせたまま物語は終わり、皆さんどうなっていくんだろう。虹さんのとこにかおるが戻り、塔子が二人を介助する?拓海はマリーを日本に連れ戻し、島根県で暮らす?フツーにめでたい。

  • 言わなければ伝わらない。

  • かおるさんは間違いなく帰って来る、息子の嫁に帰される。

  • 一時的に避難できても、逃げていては生ききれない
    「家族」や「社会」と完全には離反できないのだから、辛いところだ

    一歩が踏み出せない葛藤は人それぞれあるけど、安全に身の置ける場所で、自分を取り戻すほんの少しの時間があれば、俯いてても前を見られる心の隙間ができるかもしれず、たとえ受け身な自分でも何かしらの変化があるかもしれない

    言葉の端には鋭いけれど思いやりがあってとても良い

    しかし青年よ、それはいかんなあ
    ちょっともやもや

  • 2021.6.28

  • 親子ほど、やっかいなものはない。

    「冬野菜を収穫して戻ってきて、暖炉に火を入れて、煮込み料理やら、白菜の鍋なんかを作ってると、しーんとした季節がほんとうに暖かく感じられるんだよ。寒くないと、暖かさはわからないでしょう」

    「マリー・ジョイ、わかっちゃったんだよ!なんで、でかおるさんが帰っちゃったか。虹サンが、変な話、するからだよ! 虹サン、かおるさんの息子にも話そうとしてたよ、絶対。だけど、あんなの聞いたら、びっくりするよ。 虹サンには、すてきな小説みたいな話かもしれないけど、かおるさんが話したことのほうが、ずっとシンブルでしょ。 葬式、病気、空気のいいとこで治療、わかりやすいよ。そう。はっきり、わかりやすい。いちばんいい」

  • *だいじょうぶ。何かにつまずいた時、 あなたを待っている場所がある。
    職を失い、自転車旅行の最中に雨に降られた青年・栗田拓海は、年季の入った一軒の建物を訪れる。穏やかな老人がかつてペンションを営んでいた「ムーンライト・イン」には、年代がバラバラの三人の女性が、それぞれ事情を抱えて過ごしていた。拓海は頼まれた屋根の修理中に足を怪我してしまい、治るまでそこにとどまることになるが――。
    人生の曲がり角、遅れてやってきた夏休みのような時間に巡り合った男女の、奇妙な共同生活が始まる*

    施設入居から逃げてきた、車椅子のかおるさん。
    まだ見ぬ実の父を探す27歳のマリー・ジョイ。
    不慮の事故から逃げてきた塔子さん。
    3人の女性のキャラが立っていて、飽きさせません。オーナーの虹之助さんの優しさも素敵。
    最後のかおるさんの決断は呑み込めないけど…明るい明日を思わせる読後感も心地いい。全てが一体化された優しい世界観、お見事です。

  • みんなが受け身で、流れるままに。ヤキモキした。

  • 夜逃げのことをムーンライト・フリットというらしい。
    それぞれ何かから逃げてきた男女が共に住む屋敷。
    そこにまた一人の青年がたどり着く。

    人を殺してしまったかおるさん、自分を捨てた実父との出会いを望みながら恐れるマリージョイ、老人施設への入居から逃げ出した塔子さん。屋敷は塔子さんの元不倫相手、虹之介さんがかつて経営していたペンションだった。
    夢のような楽しい同居生活は、塔子さんの息子の急な帰国によって終止符をうたれる。

    威張りたがり屋で思いやりのない塔子さんの息子。
    でも、彼がムーンライトインにやってきて幼いころに宿泊したことを思い出すシーンは泣ける。
    犬がらみの話だからなおさら泣ける。
    ずっと我慢してきた塔子さんが、夫と息子によって車椅子に押し込められてしまったことに怒るシーンも胸が詰まる。
    でも別れた不倫相手の経営する宿に夫と息子と一緒に毎年訪れるって、相当に面の顔が厚いよね。
    この母にしてこの子ありき、なんじゃねーのどーなの。

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著者プロフィール

1964 年東京都杉並生まれ。小説家、エッセイスト。出版社勤務、フリーライターを経て、2003 年『FUTON』でデビュー。2010 年『小さいおうち』で第143 回直木三十五賞受賞。同作品は山田洋次監督により映画化。『かたづの!』で第3 回河合隼雄物語賞・第4 回歴史時代作家クラブ作品賞・第28 回柴田錬三郎賞を、『長いお別れ』で第10 回中央公論文芸賞・第5 回日本医療小説大賞を、『夢見る帝国図書館』で第30 回紫式部文学賞を受賞。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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