四畳半タイムマシンブルース (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041119860

作品紹介・あらすじ

8月12日、クーラーのリモコンが壊れて絶望していた「私」の目の前にタイムマシンが現れた。後輩の明石さんたちと涼しさを取り戻す計画を立て、悪友どもを昨日へ送り出したところでふと気づく。過去を改変したら、この世界は消滅してしまうのでは……!? 辻褄合わせに奔走する彼らは宇宙を救えるのか。そして「私」のひそかな恋の行方は。
小説『四畳半神話大系』と舞台「サマータイムマシン・ブルース」の奇跡のコラボが実現!

感想・レビュー・書評

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  • とことんバカバカしく
    クダラナイ。

    でも、これぞ青春なの
    かもね。

    昨日と同じ今日、今日
    と同じ明日─

    時空の彼方まで延々と
    連なる代わり映えない
    日々の大行列。

    どんな人生を歩んでる
    のだろうか?

    十年後二十年後の私や
    如何に。

    今の生活の延長線上に
    輝く未来は成立するか。

    いろいろ危うい予感も
    否めない。

    タイムマシンを駆って
    ほんのちょこっとだけ、

    のぞき見したいような
    したら後悔するような
    ・・・(@_@;)・・・

  • 設定と登場人物の個性が、あたまを混乱させる。不思議な世界、ほかにないストーリー。青春の苦さも感じる。

  • 森見さんの小説「四畳半神話大系」と、上田誠さんの戯曲「サマータイムマシン・ブルース」のコラボレーション作品だそうだ。

    タイムマシンとほのかな恋の行方をめぐるドタバタ青春劇。
    ばかばかしいけど、楽しくなりたい時に読みたい。
    時空の整理で頭の体操にもなる。

    それにしても、いつか、タイムトラベルってほんとにできるようになるのかな?

  • 大学生活三度目の夏、八月十二日の昼下がり。
    下鴨幽水荘というおんぼろアパートに居残っているのは、小津と私と樋口清太郎という万年学生。
    そして、学内映画サークル「みそぎ」に所属する、一年後輩の明石さん。
    サークルボスの城ケ崎氏。歯科衛生士の羽貫さん。
    「四畳半神話大系」に登場した懐かしい面々にまた出会えました。

    有意義な学生生活を送りたいと焦る矢先に、クーラーのリモコンが壊れてしまい、
    廊下に突然現れた「タイムマシン」で昨日へ行き、壊れる前のリモコンを持ってくるという、相変わらずのハチャメチャな展開に、終始笑いが止まりません。

    「タイムマシンによって生じる矛盾」に気づき、「今日」から「昨日」へ、「昨日」から「今日」へと、辻褄合わせにみんなが大奮闘します。
    やはりこの物語には、小津は不可欠な存在です。面倒臭くて面白すぎます。
    そして、愛は宇宙を救う的な結末に安堵しました。

    四畳半をさまよい、明石さんに一途に思いを寄せる「私」の大学生活はまさに青春そのものですよね。

  • 【感想】
    ポンコツ大学生たちが織りなす、ポンコツ青春コメディ。タイトルに「タイムマシン」とある通りタイムリープものなのだが、ここまでくだらなく中身のないタイムトラベルのお話は初めてで、思わずほっこりしてしまった。

    本書を読むと、「ああ、大学時代って、こんなふうにくだらないことに時間を費やしたなぁ」と郷愁にかられてしまう。ただでさえ怠惰に過ごしがちな大学生の夏休み。登場人物たちは常に行き当たりばったりで、「今年こそは変わらないと」と思いながらまた一日を無駄に過ごしていく。それもこれも、腐れ縁の仲間と腐ったような生活をするのが最高に楽しいからだ。それは「タイムマシン」という最高の武器を手に入れても同じで、せっかく過去に行けるのに戻ったのは一日前で、出会うのはいつもと同じメンツ。ただ日々の生活が少しドタバタするだけで、あとは普段と変わらないまま、また元の日常に戻っていく。

    過去に行って出来事を変えようとしても、結局今を変えることはできなかったように、本書には「変わらない日常」というテーマがあるのかもしれない。
    しかし、過去は変わらなかったけれども、未来は変えることができた。それは他のタイムリープものにありがちな「人生の根本を揺るがす大変革」ではなく、あくまで恋が実る可能性の、そのまたきっかけという小さい芽だ。けど、そんな「小さな事件」で終わらせたのが、この小説らしいオチじゃないかと思った。肩肘張らない青春群像劇の〆は、日常の延長線上で終わるぐらいが、きっとちょうどいいのだ。

  • 凄く読みやすい。ドタバタ感が滲み出ていて、忘れかけた大学生活を少し思い出させてくれた。
    構成も上手くぐるぐると回っている感じがすごく良かった。
    タイムマシーンが実際登場したのは初。
    面白かった!

  • 大好きな森見さんの代表作。
    壊れたクーラーのリモコンを救うために、タイムマシーンに乗ってドタバタ劇を繰り広げる様が、非常に馬鹿馬鹿しくも面白すぎる。森見さんならではの文体が心地よく読み進められる作品でした。

  • めちゃくちゃ面白かったです!
    物語の色々な布石が、キッチリ回収され、さらに「四畳半神話大系」との繋がりもあり、とてもよかったです。
    四畳半神話大系を読んでからの本作!で読むのが、間違いないです。
    ぜひぜひ読んでみてください!!

  • またあの皆さんに会えて感激です。
    相変わらず自由奔放で、めちゃくちゃで、奇想天外で、そんな彼らに振り回される主人公のヘタレっぷりも毎回吹き出してしまいます。
    最後の一行に事の顛末が全て詰まっていて、かっこよかったです。そして、2人の未来を祝福します!
    私もドキドキハラハラな夏休みを共に味わった気分です。

  • 『四畳半神話体系』の登場人物たちが、今作ではタイムマシンを使ってコミカルに描かれる内容は、前作以上に面白かったです。

    せっかくのタイムマシンの使い方がとてもお粗末すぎて、そんなお粗末な使い方でも宇宙崩壊の危機をもたらすタイムパラドックスを引き起こしてしまうかもというドタバタ劇に、久しぶりに小説を読んでいて声をだして笑いました。

    お気楽な登場人物たちも、キャラが立っていてわかりやすく『四畳半神話体系』を読んでいなくても楽しめる内容です。

    途中、日にちや行動が前後している関係で、分からなくなりかけても、読み進めていくと徐々に辻褄が合っていき、伏線も回収されて心地よかったです。

    舞台が京都ということもあり、独特な語り口調の古めかしい文体が良く合っていましたが、それだけに、最後の一文が際立って思えるのが、なんとも心憎いですね。

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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