八つ墓村 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304013

感想・レビュー・書評

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  • #読了 子供の頃から映像では何度も見たはずなのに話の展開をほとんど覚えていなかったもので、ハラハラしながら読み進められた。思ったより全然読みやすいし、何より面白い。八つ墓村の由来や、二十八年前の大量殺人、因習深い村など、ゾクゾクするような導入。
    それにしても、作中でも言及されてるけど、この物語で金田一耕助はビックリするほど出てこないし、活躍しない。あまつさえ「犯人最初から知ってた」とまで言い出して驚いた。それについてもちゃんと理由があったから、ええええ???ってなったけど納得でした。金田一耕助が関わることによって解決の一助にはなっているんだろうなってのはあるけど、手記を認めた辰弥さんホント頑張ったよね。辰弥目線で話がずっと進むから、つい感情移入してしまって、ちゃんとハッピーエンドで良かったです。
    金田一耕助シリーズ、他のお話も楽しみ。

  • 表紙をめくると、金田一耕助ファイル1とかいてあるが、この物語において金田一耕助は登場人物の一人に過ぎず、これといって活躍するわけでもない。一つ目のファイルなのに、これでいいのか…? 映画だとホラー色が強かったように思うが、原作はホラー色もミステリ色も薄い。サスペンス?かな? 印象に残っているのは、濃茶の尼や田治見家の双子婆さんなど不気味な魅力のあるキャラとときにハラハラする地下洞窟の冒険シーン。村人に追われて洞窟内で辰弥が籠城する場面は手に汗握る。最後はハッピーエンドだが、映画の炎上エンドの方が好み。

  • 子供の頃、夏休みになるとTVで横溝正史の怖い映画やってました。それを布団の中から怖ごわ見て震え上がった記憶があります。んで、夏なので読んでみました、原作読むのん初めてでした。ドリフのコントになってた『祟りじゃ〜八つ墓村の祟りじゃぁあ』ておどろおどろしく登場する婆ちゃん(爺ちゃんだったか?)いないわね。そして金田一耕助はちっとも活躍しないし。それでも面白かった。
    映像で見るより文章のほうが不気味で怖い、って凄いわ。

  • 渥美清ヴァージョンの映画では怪奇譚の色が強かったが、原作では地方の土着性を隠れ蓑にしたロジカルなミステリーだった。
    文章は読みやすい。また、田舎特有のしめった隠微な質感もうまく表現されている。名家の大きな屋敷と粘着的な人間関係、無知な村民、古くからの因習と伝説。そして漂う近親相姦や白痴といった退廃的なエロス。典子は手塚の「奇子」に影響を与えたこと、間違いないだろう。旧き悪しき田舎像が広く膾炙したのも、もしかしたら横溝正史の手柄とするものかもしれない。
    ともかく、旧習はびこる舞台においては、自意識高い近代的な人間は悪である。連綿と続く秩序を破壊しかねないからだ。共同体の秩序こそが、そこに住む人々にとっても唯一のアイデンティティである。だから、己を持ち、知性を持つ美也子は悪である。あるいは、主人公もまた悪である。だから、美也子は死に、辰也もまたこの土地を去る。神のような妻を連れて。否、連れられて。社会構造的・民俗学的にもよくできている物語だ。
    推理モノとしては、登場人物も多いが破綻はない。ただ、欠点は金田一耕助の無能。ほとんど何の用もなしていないい。そして英泉が辰也の父とは、やや乱暴か。仮に辰也が気づかずとも、村民がかつての隣人を分からぬはずがない。

  • 事件に巻き込まれた青年辰弥が語り手。
    過去の事件を回顧し、書き記すという形をとる。

    閉鎖的な村、集団ヒステリー的熱狂、落武者伝説、村の地下に続く鍾乳洞、黄金伝説。双子の老婆。
    怪しい要素がたくさん出てきて、面白かったです。
    語り手の辰弥は、大変な立場で気の毒なのですが、なんやかんや好き放題やっていなーと思います。

    後半、実は多治見家の財産に結構魅力を感じていたとか、頼りにしていた姉が倒れた途端に、むしろ手間だと言い出したり、可憐ではないと評価していた典子と逃避行するとか。

    春代さんが不憫すぎて、同情せずにはいられない…。

  • 知らない言葉がたくさん出てきて、調べながら読みました。
    トリックうんぬんより、言葉に出会う驚きと喜びが大きかったです。
    小股の切れ上がった、という表現がものすごく印象的でした。

  • 有名な話ですが、読んだことない人は読んでみては。普通に面白いし、色んな意味で閉鎖空間の世界観が凄い。

  • 再読だけどやっぱりおもろいのよな~~~久々にガッツリ読書した。私は明智と違って結局事件を防ぎきれない金田一が好きですね

  • 子供の頃にドリフのコントで「八つ墓村の祟りじゃ〜」というセリフを聞いた記憶があるが、はっきりとストーリーを理解したのは本書で初めてだった。こんなに恐ろしいストーリーだったとは知らなかったが、楽しく最後まで読めたところはさすがは横溝正史だ。

  • 有名なので一度は読んでみたかった作品。ですが!
    怖かった…夜、独りで、読んじゃダメ!
    前半は殺人事件が起こるミステリー、後半はロマンスとアドベンチャーが主です。金田一耕助は登場しますが存在感がない!

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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