- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041310069
感想・レビュー・書評
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本棚の整理中に手に取り読んでしまった。今から見ると古く当たり前なところがあったりはするし現実を脚色してるんだろうなというところもあるが、とはいえそれ以前と比較すると大きな契機が描かれているしまあそこそこ。城山三郎にしてはもったいないかなあとは思う。
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子供の頃にNHKのドラマで観た記憶があったので古本屋の店頭で見つけて即買いしました。
時代はグルグルグルグル回りますが、そこに生きている人たちも巻き込まれて右往左往して大変だ。
巻き込まれるより巻き込みたい。
独立した一本どっこの渦になりたいのです。 -
ダイエー
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おもしろ!
「急がなけりゃ、くさってしまう」「何がくさるの」「なんでもくさる。食料もくさる、家もくさる、人間だってくさる」 -
ダイエー創業者・中内功をモデルに描いた小説。
経済小説を拓いた城山三郎の真骨頂。
流通革命、価格破壊を目指した中内は、日本中を安い物で満たすことを目指した。そのルーツは戦争にある。日本は物量でアメリカに負けた。戦友がバタバタと死んでいく中、それでも、中内は生き残った。
戦後、中内は価格破壊を掲げ、流通革命を起こしていく。そして、一代でダイエーを築いたそのパワーに圧倒される。
この小説は、ダイエーの基礎をどうやって築いていったかの軌跡がよく分かる。家族も省みず、ひたすら仕事に打ち込み、社会のひずみと戦った。
いかに安く消費者に提供するか。いかに安く提供する仕組みを作るか。そのために、松下電器とも戦った。プライベートブランドも作った。
メーカーではなく小売が値段を決める今の社会は、中内が拓いたものに他ならない。 -
中学生だったかそれくらいの時に父親からもらって初読。
何かの折に何回か読み返していたけど、今回は結構久しぶり。
(モデルとされている)中内功氏の話に触れる機会があったので再読。
装丁が変わっていることにちょっと驚き。
(従前はもうすこし劣情をそそる感じの装丁でした)
また中身も記憶にあるほどバイオレンス的(例えば「週刊大衆」のような)ではありませんでした。昭和のお父さんが好みそうな描写も若干ありますが。
今回読み直して思ったこと。
・主人公は戦地で死にかけたので、「死ぬことより辛いことはない」「青春は鍛えるためにある」というロジックでどこまでも「メーカー希望(指定)価格」という暗黒大陸に陽を灯すべく、突き進む。
消費意欲はどこまでも高く、給料が上がり続けた、モーレツな昭和。良いか悪いかはわかりませんが、こういう時代もあったということ。
・また、組織の求心力や突破力を高めるためには、志や信念が必要、ということも再認識。信念のない安売りは永続せず。
というか改めてこれを子供に読ませる、草葉の陰のお父上もお父上だけど、読んでる方も相当なマセガキだな。おかげで流通にハマることができました。 -
主人公がえらく自己中心的に思える。流通業に風穴を開けるといっても、やってることはつまり他人を犠牲にしての自己利益の追求。それが資本主義のビジネスの世界だと言われればそれまでだが、あまり読んでていい気はしなかった。そんな自分はやはり保守的な人間なのだと思わされた。
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いただいた小説、読了。「マージャンで負けても、なおマージャンで押していけばよいのに、他のゲームにのりかえた。あれでは、せっかくの工夫も努力も中途半端にしか実らない。」という最後の一節を、思いのほか重く感じた。