価格破壊 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 373
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041310069

感想・レビュー・書評

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  • 本棚の整理中に手に取り読んでしまった。今から見ると古く当たり前なところがあったりはするし現実を脚色してるんだろうなというところもあるが、とはいえそれ以前と比較すると大きな契機が描かれているしまあそこそこ。城山三郎にしてはもったいないかなあとは思う。

  • 子供の頃にNHKのドラマで観た記憶があったので古本屋の店頭で見つけて即買いしました。
    時代はグルグルグルグル回りますが、そこに生きている人たちも巻き込まれて右往左往して大変だ。
    巻き込まれるより巻き込みたい。
    独立した一本どっこの渦になりたいのです。

  • ダイエー

  • おもしろ!
    「急がなけりゃ、くさってしまう」「何がくさるの」「なんでもくさる。食料もくさる、家もくさる、人間だってくさる」

  • ダイエー創業者・中内功をモデルに描いた小説。
    経済小説を拓いた城山三郎の真骨頂。
    流通革命、価格破壊を目指した中内は、日本中を安い物で満たすことを目指した。そのルーツは戦争にある。日本は物量でアメリカに負けた。戦友がバタバタと死んでいく中、それでも、中内は生き残った。
    戦後、中内は価格破壊を掲げ、流通革命を起こしていく。そして、一代でダイエーを築いたそのパワーに圧倒される。
    この小説は、ダイエーの基礎をどうやって築いていったかの軌跡がよく分かる。家族も省みず、ひたすら仕事に打ち込み、社会のひずみと戦った。
    いかに安く消費者に提供するか。いかに安く提供する仕組みを作るか。そのために、松下電器とも戦った。プライベートブランドも作った。
    メーカーではなく小売が値段を決める今の社会は、中内が拓いたものに他ならない。

  • 中学生だったかそれくらいの時に父親からもらって初読。
    何かの折に何回か読み返していたけど、今回は結構久しぶり。
    (モデルとされている)中内功氏の話に触れる機会があったので再読。

    装丁が変わっていることにちょっと驚き。
    (従前はもうすこし劣情をそそる感じの装丁でした)
    また中身も記憶にあるほどバイオレンス的(例えば「週刊大衆」のような)ではありませんでした。昭和のお父さんが好みそうな描写も若干ありますが。

    今回読み直して思ったこと。

    ・主人公は戦地で死にかけたので、「死ぬことより辛いことはない」「青春は鍛えるためにある」というロジックでどこまでも「メーカー希望(指定)価格」という暗黒大陸に陽を灯すべく、突き進む。
    消費意欲はどこまでも高く、給料が上がり続けた、モーレツな昭和。良いか悪いかはわかりませんが、こういう時代もあったということ。

    ・また、組織の求心力や突破力を高めるためには、志や信念が必要、ということも再認識。信念のない安売りは永続せず。

    というか改めてこれを子供に読ませる、草葉の陰のお父上もお父上だけど、読んでる方も相当なマセガキだな。おかげで流通にハマることができました。

  • 主人公がえらく自己中心的に思える。流通業に風穴を開けるといっても、やってることはつまり他人を犠牲にしての自己利益の追求。それが資本主義のビジネスの世界だと言われればそれまでだが、あまり読んでていい気はしなかった。そんな自分はやはり保守的な人間なのだと思わされた。

  • いただいた小説、読了。「マージャンで負けても、なおマージャンで押していけばよいのに、他のゲームにのりかえた。あれでは、せっかくの工夫も努力も中途半端にしか実らない。」という最後の一節を、思いのほか重く感じた。

  • 経済法の教授がオススメしていたので、少しでも経済法の理解の足しになれば…と思い、読んでみました。

    簡単にいうと、独占禁止法の「不当廉売」の話です。不当廉売からのし上がっていく主人公と、それを阻止しようとする大企業との闘い。講義を聞いたり、法律の条文を目で追ったりするだけでは、決して分からない当事者(被害者・加害者)の心情・息遣いが伝わってきます。

    個人的には、「経済法の理解」に重点を置いていたので、その点では物足りなかったので、この評価です。しかし、小説に「経済法の理解」を求めすぎるのも筋違いかなとも思っています。
    物語としても面白いと思います。自分のように勉強の理解のために…と欲張るのでなければ(笑)オススメです。

  • フィリピン、ルソン島で地獄を経験した矢口は日本に帰り、「どうせ一度は死んだ体」と割り切って会社を辞め、「価格破壊」を標榜しスーパーマーケットを立ち上げる。

    従来のメーカー⇒卸⇒小売という商流の中にあった慣れ合いや癒着を一切排除し、次々と常識を打ち破っていく矢口の言葉・行動は力強くて圧巻。
    常識を打ち破る姿が痛快で、文章の歯切れはいつもの城山三郎のように非常に良く、読んでいて本当に気持ちがいい。

    モデルは誰だろうと思って調べるとやはりダイエーの中内功であった。
    原体験のある人は強い。自分にはそんな強烈な原体験はないけれど、この本だって原体験になりうる。だから小説でも読書はやめられない。

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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