- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041310069
感想・レビュー・書評
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経済小説?
否、生き様を活写した小説である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりに驚くほど引き込まれ、一気に読んでしまった一作であった。
価格破壊というタイトルからは想像できないような奥深さ。主人公のモノ売りにかける執念は、並々ならぬものがあったと思う。
少しずつ店が大きくなっていく様子も見ていて爽快であった。
社会に反抗する主人公の姿が今でも心に焼き付いている。 -
今でこそ、薬品の安売りはめずらしくなくなったが、昔は定価というものが存在していた。主人公は流通機構や再販価格にまっこうから風穴を空けようとする旗手である。
メーカーや弱小小売店を敵にしても、最後は消費者のニーズに答えるために自分の信じた道を突き進むのは、読んでいて胸がスカっとする思いである。
この本で学んだこと
1.どんなに追いつめられても諦めない。
この本にも出ている「あと、もうイーチャン」という姿勢は見習いたい。
2.自分の信念を曲げない
自分たちの売るものは自分たちで値段を決める!買収されそうになっても、自分の信念を曲げなかった。
3.買った瞬間からくさりはじめる
妻の「くさらないものはないの」という質問に
主人公の矢口は「動いているもの、流れているものは、くさらない。くさるより早く流れてしまう。人生だって、絶えず流れて走っていなくちゃ」と答えている。 -
これは、ダイエーの創始者の中内功氏の伝記的小説となっていると思う
確かに、現代の歴史の中では価格破壊的商法は一時代を築いたのだと思うし
現在もそのモデルに則って行われているビジネスがあるのだろうが
その場合、果たしてみんなが幸せになるモデルなのだろうか?
フェアトレードを最近聴くようなったが、多くの場合
貧困国からの搾取を言っているようだが
国内を見渡しても搾取の割合がおかしくなっているのではないだろうか(利益の再配分の方法といってもいい)
それの一因として価格破壊のような正当な価格を引き下げる方向の力が働いていることがあるのではないかと考える -
中内ダイエー。
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久々にレビュー書きます。
城山三郎氏の著作を読んだことなかったので、時間があって古本屋で見てたらこちらを発見。思わず購入。
モデルは、ダイエーの中内氏といわれています。
戦時経験、薬からはじめていろんな軋轢を乗り越えながら価格破壊にひたすら突っ走る。といった点は確かにモデルどおりなのかなと。
小説としては、一気に読了でき、面白かった。
よく、経済小説の開拓者といわれるが、思ったよりは経済経済してなかった。そういう意味ではちょっと期待はずれ。
でも、流通について、背景知識がない中でも読みやすく、
主人公の価格破壊への執着、のめりこみ方は、一人の社会人として参考になるし、それがあるおかげで面白い小説だった。
ヒロインも上手く面白さを演出している。 -
名前からして、おもしろくなさそう。経済小説?なんてジャンル、聞くからに興味なかったのですが、一気に読めました。
城山三郎氏は、やっぱり戦時の荒波にもまれた人なのでしょう。主人公は戦時中の地獄生活に比べればすべて天国だと、逆境に打ち向かっていきます。
しかし、価格破壊にそこまで入れ込まなくてよくない?と思うけど、一生懸命だからこそ、話がおもしろくなります。
やはり、おもしろいのは尾頭家との関係。美人で聡明なのに若くして、いろんな判断と苦労を強いられます。
最後には、主人公がすごい大成功を収めて終わるハリウッド的なハッピーエンド物語。 -
081109読了