家出のすすめ (角川文庫 て 1-1)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041315231

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらず寺山修司の独特な世界観が展開されていて、とっても面白い青春論だった。サザエさん一家を「家」の構造と性的関係をもとに解き明かす部分は痛快である。

    家出に対する彼の考え方はとても急進的であるように思えて、若者はもっと親からの精神的独立に努めるべきだという教えは現代にも生かせるものであると感じた。もちろん時代は変わり、多くの若者は都会で育つのが主流になってきたのだが、「家から出よ」という彼のメッセージは的を射ている。出ていったところですでに都会にいるというのが難しいところだが。

  • 寺山修司氏の1963年の著作を、1972年に文庫化したもの。
    文庫化の際に改稿されているようで、1963年と1972年が(例えば戦後歌謡の真木不二夫とフォークシンガー三上寛が)同時代として描かれていて、ちょっと不思議な雰囲気になってます。

    「家出のすすめ」「悪徳のすすめ」「反俗のすすめ」「自力のすすめ」の全四章ですが、それぞれ寺山氏は明確な答えを提示する訳ではなく、家出とは?悪徳とは?反俗とは?自力とは?と、読者に思考させるような内容になっております。

    書かれた時代はだいぶ違うため、現代では通じない表現も多々ありますが、思考を止めることの危険性は、より現代の若者にこそ当てはまる内容ではないでしょうか。

  • 寺山修司の青春論。初版は1972年。当時としては、おそらく「毒」のような書物。ただ、いまは、家出するほどの“家”はないのかもしれない……。

  • 家出、悪徳、反俗、自立の4つの概念に関するエッセイ。

    基本的には日本社会のレガシーな部分やステレオタイプドされた家庭などへの認識について、頭ごなしにぶっ壊していこうぜという内容。
    ちょくちょく現れるジャズや映画評論への言及から、寺山修司のエッジの効いた文化人としての教養の深さが伺えて面白かった。(ただサザエさんの話は途中で何これ?となった)

    悪徳のすすめー鼻論 では、人の悪口を言うことは当人に対する1つの有効な批評なのでどんどん言っていこう、的なことが書かれていて興味深いなと思った。というのも、20代も後半に差し掛かってきたこの頃、たまに社会的に良しとされることに異論を唱えることの大切さや良さみたいなのをよく読んだり聞いたりするからだ。

    こういった目線が人生の思わぬスパイスになったり、(自分自身は変わらないとしても)一見ん?となるような目線をもった人と出会った時に、何かの手がかりになりそう。

  • 「望郷の歌をうたうことができるのは、故郷を捨てた者だけである。そして、母情をうたうこともまた、同じではないでしょうか」
    わたしの感想はこの一節に集約。初めて読んだ寺山修司作品だったが、「〜〜するのがよろしい。」というような語のリズムが読み易くて楽しい。「まず、親を捨てましょう。」といった妙に快活な言い切りも良かった。

  • 自由で明朗な論の展開が面白かった。

  • 「書を捨てよ、町へ出よう」―若者の未来の自由は、親を切り捨て、古い家族関係を崩すことから始まる―。愛情過多の父母、精神的に乳離れできない子どもにとって、ほんとうに必要なことは何なのか?「家出のすすめ」「悪徳のすすめ」「反俗のすすめ」「自立のすすめ」と4章にわたって、現代の矛盾を鋭く告発する寺山流青春論。

  • 寺山修司にもっと早く出会いたかった。
    いや、逆に、若い頃に出会っていなくて良かったとも言える。
    どちらにしても、この人は
    愛すべき変態。

  • こんな本を長年読まずにいたなんて( i _ i )

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著者プロフィール

詩人、歌人、劇作家、シナリオライター、映画監督。昭和10年12月10日青森県に生まれる。早稲田大学教育学部国文科中退。青森高校時代に俳句雑誌『牧羊神』を創刊、中村草田男らの知遇を得て1953年(昭和28)に全国学生俳句会議を組織。翌1954年早大に入学、『チェホフ祭』50首で『短歌研究』第2回新人賞を受賞、その若々しい叙情性と大胆な表現により大きな反響をよんだ。この年(1954)ネフローゼを発病。1959年谷川俊太郎の勧めでラジオドラマを書き始め、1960年には篠田正浩監督『乾いた湖』のシナリオを担当、同年戯曲『血は立ったまま眠っている』が劇団四季で上演され、脱領域的な前衛芸術家として注目を浴びた。1967年から演劇実験室「天井桟敷」を組織して旺盛な前衛劇活動を展開し続けたが、昭和58年5月4日47歳で死去。多くの分野に前衛的秀作を残し、既成の価値にとらわれない生き方を貫いた。

「2024年 『混声合唱とピアノのための どんな鳥も…』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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