- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041323397
作品紹介・あらすじ
囲碁の口論から父を惨殺した笠原孫七郎を追って三十年。信州松本藩の夏目半介は仇討ち費用を人に貸して生計を立てる江戸暮らし。ふとなじんだ娼家のお君の、熟れた体に激しく溺れた。そのお君が悪事を犯しただんなと江戸を出奔、半介は後を追うが、その男こそ…。「うんぷてんぷ」以下、江戸時代の仇討ちをテーマとする八編を収録。仇討ち制度の非人間性と、それに翻弄される人間たちの運命を鮮やかに描く珠玉作品集。
感想・レビュー・書評
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変化にとんだ8っの仇討ちを書いた物語です。
日の本の国は、江戸時代。徳川幕府のもとで、多くの国(藩)に別れていました。国が違えば法も制度も違います。他国で罪をおかしても、隣の国へ逃げれば罪人ではありません。このため、他国へ逃げた罪人を求めて仇討ちが行われます。
すぐに仇を討てればいいですが、ここに書かれている物語は、多くが長い旅路の末に、仇を討てずに死ぬ武士の物語が書かれています。8話全てがそうではありませんが、なかには、見事本懐を遂げて家族のもとに帰って来る幸福な者もいます。
一番悲惨なのは、仇である者がつまらないことで殺され、埋められて、それを知らずに何十年と仇を追い求める「熊田十兵衛の仇討ち」です。また、仇と追われる恐怖から逃れるために、たまたま出合って死に水を取った者になりすまして旅をしていて、その者が仇持ちで、間違って仇討ちされる「あばた又十郎」は、こんな仇討ちもあるのかと驚きます。
【読後】
時代小説を多く書かれた池波正太郎さんならではの引き出しの多さと、多くの資料を集めて創造たくましく描かれています。展開が早く、読んでいて飽きず、驚きがありと、楽しく読む事が出来ました。
【音読】
2021年12月03日から12月10日まで、大活字本を音読で読みました。この大活字本の底本は、2007年08月発行の角川文庫「仇討ち」です。本の登録は、角川文庫で行います。埼玉福祉会発行の大活字本は、上下巻です。
仇討ち
2010.11埼玉福祉会発行。字の大きさは…大活字本。2021.12.03~10音読で読了。★★★☆☆
うんぷてんぷ、仇討ち七之助、顔、仇討ち狂い、金ちゃん弱虫、熊田十兵衛の仇討ち、あばた又十郎、出刃打ちお玉、の超短編8話。
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【バックナンバー】
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2019年8月25日、読み始め。
153頁で読んで、返却。-
seiyan36さん
おはようございます。
いいね!有難うございます。
いまは、真っ暗ですが、きょうはいい天気になるようです。
やまseiyan36さん
おはようございます。
いいね!有難うございます。
いまは、真っ暗ですが、きょうはいい天気になるようです。
やま2019/11/21
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池波正太郎(1923-1990)も没後三十年。時蠅は矢を好む。短篇集『仇討ち』の登場であります。テエマはそのものずばり「仇討ち」。
日本人は曽我兄弟の仇討(1193)や鍵屋辻の決闘(1634)、さらには忠臣蔵・赤穂事件(1703)など、仇討物語が好きであると言はれてゐますが、本当の所は分かりません。Wikipediaなら、「要出典」「誰によって?」などと書かれるかも。ただ、歴史上の事情が関係してゐるとは言へさうです。
仇討制度について、池波正太郎自身が、作中で解説してゐますので、引用しますと―
さむらいがさむらいを斬殺すれば、その場において、自分も腹を切る、自決する。これが武士の心得である。相手を殺して逃げたとあれば、殺された者の子か、弟妹かが敵討ちの旅にのぼらねばならない。/同時に殺した者の実家や身寄りの者にまで迷惑がかかる。/封建の時代(ころ)は、つまり日本がいくつもの国々にわかれてい、それぞれに大名がこれをおさめていたわけだから、A国で殺人を侵してB国へ逃げこんでしまえば、一応、A国の法律は適用されぬことになる。/ここに、武家の[敵討ち]がおこなわれる。/いわば法の〔代行〕ということだ。
迷惑な事です。仇討の旅立ちに当つては、親族一同から励まされ意気揚々として出立しても、簡単に仇は見つからず、見つかつても彼我の力量差から返り討ちに遭う事もあります。大概は仇は見つからず、かといつて里にも帰れず、放浪の旅になる事が多かつたやうです。
本書にも仇討に出ざるを得なくなつた物語が八篇収録されてゐます。例へば「うんぷてんぷ」は、長年の仇討の旅に疲れた男が、もう諦めて女と所帯を持たうとした途端に、嫉妬から斬つた男が仇だつたといふ、文字通り運否天賦の話。
例へば「仇討ち七之助」。仇が強すぎて敵はぬ相手で、逆に返り討ちが怖くて名を変へてゐたが、その名を借りた男が兇状持ちで、見知らぬ男から斬られるといふ理不尽な物語であります。
ほかに「顔」「仇討ち狂い」「金ちゃん弱虫」「熊田十兵衛の仇討ち」「あばた又十郎」「出刃打お玉」を収録。当時の宮仕へとは、現代のサラリーマン以上に悲哀を含んだものだ喃と感じた次第であります。 -
短編小説で気楽に読めた。仇討ちというテーマだけど、そんなにどろどろ生臭い感じはしないので、よかった。
仇討ちを題材に全部違う構成、展開の話になっているので面白い。
それにしても仇討ちというシステムは恐ろしい。もし自分が親を殺されたとしたら、自分の足でその犯人を探して、首をとってこなければ地元に帰ることを許されないなんて厳しすぎる。日本狭しと言えども、電車もなければ、車もない時代に1人の人間を探して歩き回るなんて、途方もない所業だなぁ、と思った。 -
いかにも池波正太郎と言う感じ。
巡る世の中、良い悪いもの人それぞれ。
教訓めいた話もあり。
気軽な一冊かな。 -
2010/12/23完讀
江戸時代,各大名的土地都擁有不同法律。當一個人在此國犯罪,逃到他國之後未必能夠咎責,因此產生了替代方案的「仇討制度」ー當父/兄被殺害,男性卑親屬就必須殺掉仇人,成功之後才可以回到原職、繼任家督之位。報仇的過程,往往必須流浪諸國尋找仇人。剛開始家人可能會幫忙寄生活費,也會有幫手來助陣;但大多數情況常常是花了數十年卻找不到仇家,或者反而被仇家所殺,或者因為沒錢失意鬱鬱而終,甚至有人放下兩刀做起小生意。被追殺者也惶惶不可終日,在不安中度過餘生…
這本小說集收錄了8篇報仇的小故事。在仇討制度下許多人的人生因此而變形扭曲,更彰顯池波大師所喜愛的主題:人生的意外與離奇。
◎うんぷてんぷ
◎仇討ち七之助
◎顔
◎仇討ち狂い
◎金ちゃん弱虫
◎熊田十兵衛の仇討ち
◎あばた又十郎
◎出刃打お玉
(301page) -
短編の中でも仇討ちにテーマを絞ったもの。池波流の見事な切り口でまとめられている。
しかし、このテーマだけで一冊できてしまうとはさすが。読後感もいいんですよね。
テレビの時代劇も、最後のお定まりのあれ、がなくっちゃ〜。ってところがあると思うんだけど、池波小説はえ?と裏切られても読後感はいいんですよね。そこがやっぱりすごいところかも