ドグラ・マグラ(下) (角川文庫 緑 366-4)

著者 :
  • KADOKAWA
3.70
  • (687)
  • (605)
  • (1107)
  • (123)
  • (36)
本棚登録 : 9570
感想 : 559
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041366042

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 長い長い怪奇な物語を読み切った高揚感からか
    幻惑でありながら何処か現実味のある内容に脳の整理が追いつかないのか

    読了したその日の夜、僕は何故か眠れなかった…

    読感:
    読中過程の感覚は推理小説
    読了後の余韻は純文学
    といった不思議な感覚


    こんな人にオススメ:
    ちょっと変わった推理小説が読みたくなった人
    ちょっと変わった純文学が読みたくなった人
    グジグジと頭の中で考察するのが好きな人
    長い物語を読んで達成感を得たい人

    逆にオススメしない人:
    手軽にサクッと作品を読みたい人
    後味の良いスカッとした作品を読みたい人

  • 一番好き

  • 上巻読み終えたら
    下巻も頑張ろうと思えるかも


    下巻は読み始めたら、早い
    のめりこみつつも、
    完全に飲み込まれないように読むのがコツ

  • 後半部分 前半に比べると探偵小説らしさがかなり増してくる
    前半に引き続き、正木博士の手記や新聞記事のまとめなどがたくさん出てくるが、文体が様々で読みづらく感じる部分もあるし、早く核心に触れてほしいという気持ちにもなってくる
    核心に近づいたあたりの、自殺したと思っていた正木博士が目の前に現れるシーンあたりから、何が本当で何が嘘なのかわからなくなってくる 結局若林はなんだったんだ?
    最後の最後はかなりグチャグチャしてきて分かりにくいけれど、主人公の頭の中もかなりごちゃごちゃしてきているのである意味シンクロしてるのかもしれない
    走馬灯のようにこれまでのことが駆け巡って、最後は最初の部屋で壁にぶつかって死ぬわけだけど(だよね?)、もうこういう終わり方しかないよな…と思って変な納得をした

  • 「キチガイ」「脳髄」「電球がタッタ一つ」など、言葉遣いが昭和前半(昭和10年だった)っぽいな。エログロではなかった。というか表紙の女の人だれ。
    古い事件や警察の考察や縁起や伝説の話が出てきて、四方八方から「呪いの絵巻物」「狂気の血筋」の全貌がわかっていく感じ。
    最後の最後でパタパタっと隠された事件がわかって闇に引きずられた。私、が誰だか分からないということはこれだけ不安で不安定なことなのか…

  • 日本三大奇書のひとつであるドグラ・マグラ。
    私の1番好きな作品です。

    下巻に於いては上巻で示された「私」の正体を暴くべく、また数々の謎の伏線を回収するべく、関係者の底の底それこそドン底の遺伝子レベルでの心理を先祖代々まで掘り下げていきます。
    下巻は特に大昔の話を古文漢文などで盛り込まれたり、
    事件関係者の聴取もあり遺言や絵巻物もありと
    多種多様な情報をここまで多岐に渡り描写していることだけでも夢野久作の類稀なる多彩さを感じることができます。

    結論としていえば、所謂探偵小説の如くいつ何処で「私」は誰なのかという物語の本筋である謎は明言されてはいません。
    ただ、私自身は読み進める内に深く深く思考を巡らせ、
    それこそ夢野久作の術中にまんまと嵌りドン底まで考えることを辞められませんでしたが、
    そうして自分なりの答えを見出した時の地獄からの離脱は何度読んでも気持ちの良いものです。
    思考中毒の地獄へ誘い果てしない知恵比べを経験させてくれた夢野久作には感服するばかりです。

  • 上下通して言えることは、とにかく読みにくくて何度も同じ行を行ったり来たり。
    上巻を読み終えたらすぐに下巻に入らないとだれる。
    そして下巻の前半はひたすらに少年の夢中遊行についての考察になり、さらにだれる。笑

    が、下巻の呉青秀の話からは物語のつながりを感じられて、読み入ることができた。
    呉家にまつわる謎の絵巻物ができた経緯、そしてその物語の中にある謎の呪い。
    それによって起こった博士同士の確執。
    単純におもしろいと思ってしまった私は、頭がおかしいのかもしれない。
    後から知ったのだけど、あの絵巻物に書かれていた死体が腐乱していく過程の絵たち、九相図ってやつみたい。
    海外にはあまりない概念のようで、やはり日本独特の雰囲気のあるものってすごく魅了させられるなーと思った。

    しかしこれ、もう一度読み返さないとわけが分かりませんな。

  • 初読みから、約四半世紀。
    前に読んだのから、約十年。
    久々の再読(×5以上)。
    ディテールについては、ずいぶんと忘れている部分があったし、今回も新しい発見があった。
    さらに、今回は、時系列をまとめる等々で、付箋貼って、少し戻ったりしながら読んでみた。おかげか、作者が約十年かけ、その頭の中だけで整理、構築した緻密さ(当然、PCなどなかった時代)には脱帽するより他にない。
    スッキリ、結論付けられるタイプの探偵小説ではないし、???とした部分を何度も読んだ後でも、拭いきれないところも確かにある。
    読了後も、いったい、何なの?で終ってしまう方も多いだろうし、万民ウケする類いの作品ではないだろう。
    しかし、中味は、序盤の回りくどい、W氏とのやりとりを抜けると、和、中、洋…etc、取り揃えた。とんでもない極上の品々で構成された、まるで、最高の無国籍コース料理のよう。論文引用や、社寺縁起…等々。含め、文体だけでも飽きさせないし、ドレもソレだけで、成立しうる構成。
    無限ループだったのか?呉家末裔の胎児の夢だったのか?読む度に感じるコトが変わって行く。

  • 現実と悪夢の途方もない螺旋。巡るうちに脳みそを掻き回される。胎児よ胎児よ……。

  • 後半の数十ページは一気に読まされた。上巻から下巻にかけての長い長い論文や遺書は興味深かったが、それらが後半にかけて繋がってきてなるほどそういうことかと納得したかと思うと、再び夢と現実の境がわからなくなるような感じで二転三転?最後は薄々想像していたような終わり方だったが、そこまでの持って行き方がなんとも強烈・・・。上巻よりも混乱させられ、そのまま終わってしまった。読み終えると確かにこれは「日本三大奇書」と言えるのかも。呼び方がどうであれ、ここまでの文章を人間が書き上げたというのに只々感心。ブウウウーンンー…

全559件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1889年福岡県に生まれ。1926年、雑誌『新青年』の懸賞小説に入選。九州を根拠に作品を発表する。「押絵の奇跡」が江戸川乱歩に激賞される。代表作「ドグラ・マグラ」「溢死体」「少女地獄」

「2018年 『あの極限の文学作品を美麗漫画で読む。―谷崎潤一郎『刺青』、夢野久作『溢死体』、太宰治『人間失格』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

夢野久作の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島由紀夫
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×