夜明けのパトロール (角川文庫 ウ 16-8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042823087

感想・レビュー・書評

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  •  ドン・ウィンズローならではの軽妙なハードボイルド、として楽しく読めました。ニール・ケアリーシリーズのファンなもので。ミステリ的に見るとあまり大きなヒネリも無く、割とシンプル。そのこともあって、ウィンズローならではの語り口を楽しめます。

     主人公のブーン・ダニエルズはサンディエゴの近くの町Pacific Beachに住む生まれつきのサーファー(で、元警官の探偵)。私自身はサーフィンをやったことは無いのですが、自然を相手にしたスポーツというのはいろいろな意味で生活と結びついた楽しみがあるのはわかります。日頃から天気や風の具合を感じるようになったり。本書ではサーフィンについてもいろいろな話が語られていて、そういう点も心地よい。特に、「大波がくる!」的な盛り上がりも本書の見どころの一つで、読んでいる側も「来た~!」と熱くなりましたね。

     物語の舞台となるサンディエゴに関する記載も盛りだくさん。サンディエゴは会社の出張で一度だけ近くまで行ったことがあるのですが、見て回ることができず、一度観光したい!と思っていた場所。「水族館」「軍艦」「お天気!」という印象の街です。サーフィンが盛んという印象は無かったのですが、本書にはサンディエゴの歴史のような部分もあって(どこまで本当なのか、よくわかってませんが)その部分も興味深い。

  • つまらなかった。ただのキャラクター小説で、ミステリでもハードボイルドでもない。

    主人公と、彼を取り巻くメンバーについて、筆致はあっさりしているが、かなりくどくどと描写してある。過去、現在のエピソードやらサーフィンとの繋がりなど、サイドストーリーの枝葉は際限なく拡がっていく。もしくはメインがこっちで、事件がサイドストーリーなのか?

    私のような、最近の作品からファンになった人にはとてもお勧めできない。軽くて甘くて明るい。陰謀や裏切りもなく、友情とサーフィンがすべてを収束させていく。無駄に長いから余計に疲れたなあ。

  • 簡単であったかい読み物でした。

  • サンディエゴを舞台に、サーファー探偵が癖のある仲間たちの力を借りながら巨悪に立ち向かうお話。サーフィン、保険金詐欺、メキシコの貧困、バイオレンス、過去の失敗を引きずる探偵、とエッセンスを取り出したら『カリフォルニアの炎』と『犬の力』を足して2で割った感じだけど、まさにその通り。なんか見覚えのあるシーンもチラホラ。面白くなくはないし、読後の爽快感もあるので、特に前の二つを読んでない人にお薦めかな。

  • 気に入った。

    主人公とその仲間たちはサーファー。シリーズものになるようだ。

    個人的には<ニール・ケアリー>シリーズよりいい。主人公がサーファーという設定は面白いし、人物造形もいい。そして、ちょっと捻ったストーリーも巧みだ。
    サーファーというと単純明解な人々を想像しがちだが、実は皆それぞれに悩みを抱えている。そんな悩みは彼らに翳を落とすものの、人物像を立体的に映し出す効果も生んでいるようだ。

    ドン・ウィンズロウ作品の底に流れているもの。本書を読み、このところ続けて読んできた作品群と合わせて思い起こせば、やはり一貫したものを感じずにいられない。
    この一貫したものをウィンズロウがどう扱うか? 
    今後の作品を面白くできるかどうかを大きく左右するところだと思う。

  • ドン・ウィンズロウの新作。
    サーファー・ノワールということで、元警官でサーフィンが日常となっている探偵が主人公。
    この人の作品の特徴は、主要な登場人物がほとんど、明確な行動原理(あるいはそこに至る過去を)を持っているということ。それによりキャラクター造形が荒唐無稽な表現であっても確かに存在しそうな気がするという点。

    シリーズものの1冊目ということで次が楽しみ。(この人のシリーズものはニール・ケアリー以来かな。)

  • いいですねえ、ウィンズロウ。期待に満ち満ちて読んで、その通りきっちり面白い。SF以外の翻訳物ではイチ押し。「ストリート・キッズ」のニールは少年だが、本作のブーンはおじさんで、その分(?)陰翳が深い。ニールをこよなく愛することにかけては人後に落ちない私だけれど、読んで面白いのはこっちかも。いつものことながら、脇役陣が個性的。シリーズになっているようだ。次作が楽しみ!

    • diver0620さん
      こんにちは。今読んでいるところですが、めちゃめちゃ面白いです。シリーズ、期待です。
      こんにちは。今読んでいるところですが、めちゃめちゃ面白いです。シリーズ、期待です。
      2011/09/18
    • たまもひさん
      diverさんはスキューバをされるんですね。じゃあ、このシリーズはまさにツボでは?サーフィンする人とはまた違うんでしょうか。まったくの門外漢...
      diverさんはスキューバをされるんですね。じゃあ、このシリーズはまさにツボでは?サーフィンする人とはまた違うんでしょうか。まったくの門外漢なので、頓珍漢なこと言ってたらスミマセン。非アウトドア派の私にもすごく魅力的なお話でした。
      2011/09/18
  • 著者のサンディエゴ近郊への愛着がよくわかり、その描写から風景が浮かんでくるようでした。が、仲間との絆が描きたかったのか、事件を描きたかったのか、なんとなくまとまりに欠ける気がしました。

  • 職場にて借りた。
    中盤までちょっとダラダラした感じだったが、後半はテンポよく読めた。
    主人公、ちょっとカッコつけすぎ?ペトラとどうして惹かれあうのか意味がわからないし、出てくる美人さんはみんな主人公と恋愛関係になる、っていうのは永遠の男のロマンなのかしらね?
    そうなると作者の希望の投影に付き合わされたみたいで、内容の魅力も半減する。残念。

  •  「犬の力」は血なまぐさすぎて好きな本じゃなかったので一抹の不安を抱きつつも、やはり波乗り物は外せない、と、いうことで手にとる。

    ウィンズロウは2冊目なのだがストーリーの流れで読ませる作家ということのようだ。

    本作は出血量は激減しつつストーリーの方はウィンズロウらしく、最後の決着まで停滞がなかった。

    加えて馴染みのないサンディエゴという街の歴史や、主要登場人物ごとの経歴やらが、本筋同様面白い。

    続編もあるらしいのでこうした寄り道も楽しみだ。

    主人公グループが大切に思っている事柄の中に「ビッグウェンズデー」が。
    おおいに共感。ある年代には間違いなく思い出の名画。

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著者プロフィール

ニューヨークをはじめとする全米各地やロンドンで私立探偵として働き、法律事務所や保険会社のコンサルタントとして15年以上の経験を持つ。

「2016年 『ザ・カルテル 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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