- Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043583010
感想・レビュー・書評
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明治三年。脱疽のため右足に続き左足を切断した名女形、沢村田之助の復帰舞台に江戸は沸いた。ところが、その公演中に主治医が惨殺され、さらには、狂画師・河鍋狂斎が描いた一枚の幽霊画が新たな殺人を引き起こす。戯作者河竹新七の弟子・峯は捜査に乗りだすが、事件の裏には歌舞伎界の根底をゆるがす呪われた秘密が隠されていた……。
(1995年)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
デビュー作
江戸と明治が微妙に混じりあった時代の雰囲気が
なんかすごくいいです。
活気と、もの悲しさとが同居してる感じがたまらない。
そして、今後シリーズものとして世に出される作品の形や
エッセンスみたいなものが垣間見える。
少しドキドキしながら、微妙な時代背景と相まって、
歌舞伎の世界は知らないけれども楽しめました。
デビュー作でこれだけ描けるんだもの、やはりスゴイです。
ちなみに、狂斎幽霊画考というデビュー作の原型となった
作品が収録されてますが、間違ってもこちらを
先に読まないように! -
談話室で紹介してもらった作品。
歌舞伎の世界の裏側と執拗なまでに歌舞伎に捕らわれる田之助。すごく面白かった。
また、北森鴻氏の作品を読んでみようと思う。 -
読み終わってため息。
ここから始まって、暁英 贋説・鹿鳴館で終わったんだなぁ…。
これで未読はあと2~3作。
惜しいような、でも何度でも読み返そう。楽しみに。 -
一気読み!面白すぎる!!これがデビュー作とは~~!!! 実在した人物が、これまた魅力的!堪能しました!!いや~、素晴らしい!!傑作時代ミステリーというに相応しい!!久々に歌舞伎も観てみたくなった!河鍋暁斎展も観に行っちゃいます!!んも~~!めっちゃ、おススメですっっ!!!
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デビュー作。(たしか・・・)
勢いで書いている感も無きにしも非ず。でも、史実上の人物とミステリをよく組み合わせてあるなあと感心する。歌舞伎を題材にまるで歌舞伎のようなことをしているのだと思う。そのやっちゃった感じがとても好ましい。だから★×3つ。 -
付録のようにある原作を先に読まないことを作者も進めているが、同館です。
絶対に先に読まない方がいいと思います。 -
北森鴻のデビュー作ということもあり、「狐罠」や「那智」シリーズなどの「北森鴻らしさ」があまり感じられなかったのが新鮮だった。前述シリーズのような説明臭さが全くない描写に比べると、本作はそのあたりが甘いのは仕方がない。とにかくもし前知識が全くない状況で読んだのならば、北森鴻の作品だとは思わなかっただろう。
だが良くできている。新人で明治初期を舞台にしてこんな魅力的で複雑な話を書ききった「巧い作家」としての片りんを感じさせる出来だった。四つ星には届かないが3.5星はある。絵の隠された趣向、というのがまた北森さんらしいではないか。時代設定や歌舞伎を舞台にし、尚且つ当時の時代背景をおさえ、新しさを加える。こんなチャレンジャーな新人の意欲はそのまま彼の人気シリーズに繋がっていく、と思うとなんか納得できるし嬉しくなる。あの北森鴻にもそれでも初々しい時代があったのか、と。
そしてあとがき。なんていうかこの人の人の良さを感じさせるユーモラスで誠実な言葉に、心が温かくなった。「巧い作家」で個人的に連想するのが池波正太郎と北森鴻なのだが、まさか北森さんが池波正太郎を心の師匠としていたとは…!文中に「根深汁」と出てきた時に池波正太郎の「梅安」を思い浮かべたのだが(シリーズ2冊目に確か登場する)間違っていなかった…!
なんていうかますます北森鴻が好きになった。