夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫 も 19-2)
- 角川グループパブリッシング (2008年12月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043878024
感想・レビュー・書評
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・Amazonで、知り合いから紹介された内田百閒を探していたところ、Amazonにお勧めされた作品。
中村祐介のイラストが好きで、表紙の可愛さに思わずポチッと。
作中に、内田百閒の本を購入する場面もある。
・私にはとても読みやすい文体で、すらすら読んでしまいました。
先輩と黒髪の乙女が交互に語ってくれる。
初めて『あ〜、もう終わっちゃった〜』って思うくらい。
・想いを寄せる黒髪の乙女の情報を運良く(?)手に入れる先輩が、一生懸命彼女の外堀を埋める姿が面白い。
・とにかく黒髪の乙女が可愛い♡
計画的な先輩に対し「奇遇ですねえ!」と言い、
オモチロイ事が大好きな女の子。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こんなに読みやすくて面白い話だと思わなかった。虜になってしまったかも。森見さんの他の作品もどんどん読みたい。
先輩が、これぞ退廃的なこじらせ大学生という感じで、クスッと笑ってしまう。ロマンチストをこじらせてて、妄想が少々気持ち悪いけど、めちゃめちゃ真面目に彼女を追いかけることに向き合ってる誠実なやつ。
ヒロインの方は、こんなに魅力的ないじらしい女の子いる?ってくらい、素朴で純粋無垢で可愛らしい。でも芯を持っている感じに魅了されちゃう。
物語を語る人がどんどん変わっていって、場面がテンポよく移り変わっていくから、慣れたら読みやすかった。あと、妙に仰々しい言葉遣いと歯切れの良い文章なのが、すごく好き。なんでこんなに面白おかしい言い回しがポンポンと出てくるんだろう。語り方が面白いってだけで十分楽しめるのに、話もどんどん面白い方向に展開されていくから、物語に惹きこまれてしまった。いろんな布石が結びつくように、よくまとめられた作品だなと思った。
こんなに純粋に楽しめる、面白おかしいファンタジーを読んだのは小学生ぶりかも。シリアスさとは無縁だから、落ち込んだ時に読むと気分転換になるし、日常の合間に少しずつ読むのもワクワクしていいなと思った。 -
森見ワールド全開!先輩パートと黒髪の乙女パートとの行き来だけでなく、現実と幻想の行き来の妙。個性的すぎる登場人物たち、軽妙かつ重厚な言い回し、最後まで堪能させていただきました。アニメも観てみたいですね(こういう役は星野源になっちゃいますよね...)。
「こうして出逢ったのも、何かのご縁。」 -
AmazonUnlimitedで読了。昔流行ってなーと思いつつまだ読めていなかったので読みました。世界観が独特で読む人によってはハマらないかも。「ファンタジー」「青春」「京都」のミックスした内容で、わたしは舞台である京都大学近辺に住んだ経験があるため面白く読めました。登場人物はクセのある人間ばかりで、自分にはない感性を披露してくれています。こんなふうに日常を感じられたらいいなーと少し羨ましくなりました。
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めまぐるしく展開が移り変わって楽しい。
ひとつひとつの文章すべてがユーモアに溢れている。
先輩と黒髪の乙女をはじめ、樋口さんやパンツ総番長や李白爺などのキャラも良かった!
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いつも通りの森見登美彦でした。なんとなくつかみどころのない話だった気がする。黒髪の乙女のポジティブさはある意味羨ましく思う笑。
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四畳半シリーズの登場人物も登場し、嬉しかった。
四つの話から構成されており、ややファンタジー色も強めだったが、読後感は心が暖まり良かった。 -
ポップな語り口だったので、読んでいるこっちも楽しくなって、いつのまにか読み終わっていた。
登場人物の個性や躍動感が自分の脳に植え付けられて、自分も体験しているかのように感じた。
素直に好きな作品です。 -
「一期一会という言葉を知っているか。それが偶然のすれ違いになるか、それとも運命の出逢いになるか、すべては己にかかっている。」
"黒髪の乙女"に思いを寄せる"私"は、春の先斗町で、夏の古本市で、秋の学園祭で、焼け焦げるほど彼女の後頭部を見つめ続けて外堀を埋めに埋めんと奔走する。
一方彼女は"オモチロイこと"に無我夢中、先輩と神様の御都合主義の如くあらゆる場面にて遭遇しても「奇遇ですね」の一言で終わりである。
はたして彼らの出会いは"偶然のすれ違い"で終わるのか、"運命の出逢い"となるのか。
それにしても、第四章は現在の私たちの世界のよう。
いま、あたりに蔓延しているものが李白風邪であったなら。"黒髪の乙女"が李白さんのもとへ行き、看病してくれないかしらん、なんて夢想してしまう。
「自分にとっての幸せとは何か、それを問うことこそが前向きな悩み方だ。そしてそれをつねに問い続けるのさえ忘れなければ、人生は有意義なものになる」
「我々は無意識のうちに本との出会いを選んでいるのでしょうし、あるいは我々が偶然だと思っていても、それはたんに錯綜する因果の糸が見えないにすぎないのかもしれません。そう頭で分かっていても、本を巡る偶然に出くわした時、私は何か運命のようなものを感じてしまうのです。そして、私はそれを信じたい人間なのです」 -
先輩と彼女の掛け合いのような視点の移り変わりで語られる、現実のような幻想のような世界。
その線引きはいかにも曖昧で、それだからこそ難しいと感じる人もいるかもしれない。しかしその曖昧さは、二人の関係を見事に表している。
現実と幻想の曖昧な境界の中で、特に一種ファンタジーな世界でのみ語られる二人の現実的な繋がりは、二人の日常における互いの曖昧な繋がり(先輩にとっての恋い焦がれる人、彼女にとっての奇遇に会う人)と強く対比される。
物語の最後には現実的に描かれた世界で、やっと二人が出会う。この描きかたは上手いなぁと思う。