夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

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著者 : 森見登美彦
  • 角川グループパブリッシング (2008年12月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043878024

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夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

  • いやぁ〜まんまとハマりました(笑)(^_^;)


    本当に愛しくて、
    胸がキュイ〜ンとする
    ザッツ・エンターテイメント小説です(o^-^o)



    同じ場所の同じ時間を、
    先輩目線で語られる
    ダメ男の妄想全開な視点と、

    黒髪の乙女からの
    純真無垢な視点と

    交互に語り手が変わる構成で
    魅力的な物語は
    サクサク進んでいきます。


    告白などできるハズのないアホウな先輩は
    外堀を埋めるため
    黒髪の乙女を終始追いかけるが
    その先々でトラブルに巻き込まれ、
    なかなかうまく会えない様や、

    そんなアホウの想いに気付かない故に
    ちぐはぐな、
    天然乙女との会話が
    また面白い(笑)


    まるで大正ロマンを思わせる
    ハイカラでノスタルジックで
    奇妙キテレツな世界観と、

    森見節炸裂の
    文語調の独特な文体と
    (ここは好き嫌いあるかなぁ〜)


    そして
    想像力を掻き立てる
    数限りない素敵な言葉に、

    終始映像が浮かんできて
    ドキドキワクワクしながら
    読み終わるのが勿体無いくらい
    幸福感に満ち満ちた作品です♪


    京都を舞台に
    実際の地名や
    四季を彩る風景描写が
    これでもかと風情豊かに描かれているので
    京都のはんなりした空気感が好きなら
    たまらないと思います。


    『諸君、異論があるか。
    あればことごとく却下だ!』

    『恥を知れ。しかるのち死ね!』

    『なむなむ!』

    『偽電気ブラン』

    『学園祭とは青春の押し売り叩き売り、
    いわば青春闇市なり!』

    『ハッピーエンドだ!!誰もが赤面することうけあいだ!!』

    『ビスコを食べれば良いのです!』


    など
    名言に迷言、
    印象的な言葉のオンパレードに
    思わず声に出して
    読みたくなってしまうこと間違いナシ(笑)(^O^)


    読んでいると自然とニヤケてしまうので
    外で読むには
    それなりの覚悟がいります(笑)♪


    さて、『先輩』の
    届かぬ想いは
    成就するのか?


    黒髪の乙女の可愛さと
    先輩の間抜けぶりに
    杏仁豆腐の味にも似た人生の妙味を
    とくと御賞味あれ〜(^_^)


    なお文庫版に収録された
    漫画家・羽海野チカによる
    イラスト入り解説は必見!


    高橋留美子の
    『めぞん一刻』
    『うる星やつら』の世界観や、

    『ハチクロ』の漫画が好きな人、

    そして大正や昭和ロマン、
    文学やお酒が好きなら
    必ずハマる作品です♪
    (個人的には
    羽海野チカ監修で
    アニメ化を希望!)

  • 「奇遇ですね」
    「たまたま通りかかったものだから」
    そんな外堀?から生まれる幸せな物語でした。

    「夜は短し歩けよ乙女」を図書館で借りようとして、2回ほど受け取りできなかった。2年ほど経ったかな。
    手にしたのは「有頂天家族」の次。
    なんというめぐり合わせなんでしょう。
    森見登美彦さんを連続して読んだからこそ、さらに楽しめた感いっぱいです。

    黒髪の乙女が、かわいい、かわいすぎます、幸せを振りまきすぎです。
    巻末にある羽海野チカさんの解説イラストがさらに魅力をまき散らしてます。

    先輩と黒髪の乙女が交互に語り部となって物語が進行し、李白さん(有頂天家族に出てますね)、樋口さん(天狗ですね、きっと)などおもしろ愉快な人達とともに京を舞台に、観るもの(わたし)を魅了していきました。

    最初から最後まで、黒髪の乙女が語り出すだけで気持ちが温かく、思わず笑みが溢れてしまう良き小説なり!

  • アニメ映画を観る前に原作を。
    夜の先斗町から下鴨神社の古本市、学園祭、恋風邪、どのエピソードも印象に残った。何ヶ月も跨いで長い期間を掛けて読んだけど登場人物を一人も忘れなかった。濃い。
    京都に行って偽電気ブランを飲みたいし古本市にも行きたい。同じ町を一晩中歩いてみたい。
    四畳半神話大系の登場人物が出てくるのも良かった。
    黒髪の乙女の言葉が好きで真似したくなった。かわいい。
    濃密でファンタジーでオモチロかった!なむなむ!

  • ずっと積読だった一冊を、ようやく手に取り読み終えることができた。

    語り部は2人。
    大学のサークルの先輩と後輩にあたる男女である。
    舞台は京都。
    大学や様々な通りの名、先斗町などが次々と登場する。
    実際の京都を知っている人には、馴染み深い場所ばかりであろう。
    その中に織り交ぜられた虚構がうまく混ざり合って、見事である。

    主な主人公は一回生の女性であるが、語り部の2人を巡る
    様々な登場人物たちとの1年間。
    春夏秋冬それぞれを代表するお話1話ずつで物語が進む。
    短編集でもあり、全体で一つの大きな流れもある物語である。

    くるくると変わる語り部と、様々な登場人物たちの想いが巡り巡って、一つの終着点へと向かう。
    あぁ、ここであそこと繋がった。と一つ一つ拾い集めるのが非常に楽しい作品だった。

  • 素晴らしい森見ワールド。独特な雰囲気を作り出す天才か。言葉回しが面白く、一文一文にセンスが溢れている。諸君、異論があるか。あればことごとく却下だ。
    それと、ヒロインが可愛らしすぎる。緋鯉を背負った女の子に心奪われるとは思わなかった。なむなむ!を私も使いたい。「のんびりしていたら醒めてしまいます」のセリフもかっこ良い。
    全体の雰囲気もふんわりしていて、ポップで気持ちの良い空間に浮かんでいるよう。いつまでもこの空間に滞在していたくなる。恋愛ファンタジーであるから、突拍子も無い展開も出現する。それに浸れるかどうかでも評価は変わりそう。他ではありえない、文と世界を味わえる事必至。
    少し熱っぽいのです。風邪を引いたかもしれません。には想像妄想が膨らむ膨らむ。
    最高に楽しめた。面白いのはもちろん、「楽しめる」作品。他の森見作品も読んでいくことを決意。
    神様の御都合主義に従って、これからもこんな楽しい作品に出合えることを願って。なむなむ!!

  • 初森見作品。

    真面目くさいというか
    ちょっと癖のある古風な文章なのに、
    内容は(いい意味で)ふざけた恋愛ファンタジー。

    活字だけど、漫画っぽいというかアニメっぽいというか…
    個性派すぎるキャラたちの言動・行動がいちいちおもしろい。

    樋口さんと羽貫さん、すごく好き。
    あと古本市の神様と事務局長のキャラも好き。笑

    先輩の"ナカメ作戦"は、
    ストーカー行為となんら変わりないし、
    他の登場人物もズレてる人多いけど、
    とにかくみんな“まっすぐ”。

    季節、天気、夜明け、夕暮れ時の
    情景の書き方というか、表現がよかった。

    ものすごい無茶ぶり展開だったけど
    なかなかおもしろかった。

    巻末の羽海野チカの解説もかわいかった。
    文庫の解説がイラスト形式なのは初めてかも。

  • なんだこれ時代背景がようわからんふむふむどうやら京都が舞台の学生ものだなややファンタジックで時代がかった


    んんん…一体作者はどんなおじさまであろうか

    いやまてしばし
    若者なような気もするぞ

    なぜって『彼女』の描写がとてもみずみずしい



    イキイキと可愛らしくもあり
    通り一遍でないナゾの芯が通ってるがゆえに、
    素っ頓狂であぶなっかしいその行いが
    たまらなく愛らしくうつるのだ。

    「おともだちパンチ」⁇
    「二足歩行ロボットのステップ」⁇?



    方や間抜けを絵に描いたような、だがしかし誰もが共感せざるを得ない。(主に男性陣からか。)
    学生にあるまじき情熱で、彼女との外堀を埋め立て続ける永久機関と化した。(その想いむなしく…)



    そんな愛すべき『先輩』が、
    彼女とのシアワセなキャンパスライフを送るのをただひとつの願いとして、
    迂遠で迂遠で迂遠で迂遠なストーキング活動に全精力を傾けるのだ。





    2人の目線で交互に描かれる一年間は、脇を固める奇人・変人・御大の存在抜きには語れない。


    鯨飲美女の羽貫さん、ほぼほぼ天狗・樋口くん、
    夜の御大・李白翁。


    酒は木屋町先斗町。古本の神に学園祭。
    スペイン風邪ならぬ李白風邪。
    偽電気ブランとジュンパイロ。

    ああ登場ヒトモノよ。なにゆえそんなに御活躍?


    京都の街並みにいささかでも見覚えのある方ならば、楽しめぬ訳がない。




    個人的見解ではあるが、
    『彼女』目線で語られるなんとも言えぬ女性らしさ。いや待てオンナノコらしさ?
    『彼』目線で語られるオトコノバカさ?

    なるほど女性名詞や男性名詞は日本語にはないでしょう。なかったですよね確か?

    しかしですね。この作中には『女性形容詞』『女性感嘆詞』ってのがあるのではないかと。
    そんでそのみずみずしさが、男の馬鹿さでより引き立つ気がするのです。

    そこいらへんに注目していただくととてもいいなー、と思う次第であります( ´ ▽ ` )ノ


    読んでない方々。

    「恥を知れ!しかるのち死ね!」

    ですよ。


    以上、長文失礼しました。

  • 読み進めればますます昏迷に襲われるが、そこを乗り越えた時に気付く。 この不可思議がとてつ もなく巧知に描かれ、ノスタルジックな世界に深く誘われて行くではないか。李白翁にいたっては紛う方なき妖怪である。空中に浮遊する樋口、ジジ臭い語りで神出鬼没の少年ほか、いずれも李白翁に劣らぬ魑魅魍魎の一味なのだが、奔放極まる乙女の前では無力なり 。遅疑逡巡に浸りつつ彼女を追い求める先輩あり。お よそ結ばれないと想定した二人に施された結末に乾杯。 百鬼夜行の世界にすっかりはまった。実にオモチロイ

  • 何とも分類しがたい「奇怪な」小説(^ ^;

    別に妖怪変化が出てくる訳ではないが、
    奇妙な登場人物たちが繰り返す怪しい言動の数々(^ ^;
    「んな、アホな」と突っ込みたくなる荒唐無稽な話だが、
    変な細かいところがこれまた妙なリアリティで、
    何とも摩訶不思議な世界観を醸し出している。

    この世界観に、登場人物たちの
    妙に「大正浪漫」を感じさせる言動・発想・ダンディズムが
    絶妙にマッチして、不思議さに輪をかけている(^ ^;

    もちろん設定事態は現代なので、コンビニもメールも
    普通に出てくるのですが(^ ^;

    主人公の「先輩(かわいそうに最後まで名前を与えられない)」の
    あこがれの君である「黒髪の乙女(こちらも名前がないな)」への
    一途な想いと姑息な策略と逡巡と懊悩が微笑ましい(^ ^
    それにまったく気づかぬ黒髪の乙女の天然大物ぶりも良い(^ ^

    それでも、奇々怪々なる登場人物たちと交わり、
    夢と現を行き来しながら、寛恕の心境にも少しずつ変化が。
    ラストのほのぼのとした高揚感は、読むものを幸福へと誘う。

    「これは何だろう」と思っても最後まで説明されなかったり、
    一度も登場しないが大きな影響を及ぼす黒髪の乙女の姉とか、
    謎をナゾのままほったらかしているところもまた良い(^ ^

    この本の魅力を言葉で伝えるのは無理だ(^ ^;
    ただ「一読の価値はある」「絶対に損はさせん」
    とだけ伝えておく(^ ^;

    思わず一気読みしてしまった(^ ^

  • 魔術的学生生活の始まり。
    それは『ハリー・ポッター』のような系統だった魔法ではなく、青春という名の若さによって生まれた魔法だった。憧れの黒髪の乙女を追いかける先輩と、そんな先輩の熱い視線並びに熱い思いに全く気が付くことなく天衣無縫に京都の町を駆け抜ける乙女のお話。これを読むと自分の学生生活を思い返すと共に、学生時代特有の「なんでもできそう感」を思い出してしまうよね。

  • 森見登美彦さん。初読み。
    ブクログのレビューをみて手に。

    まさに軽妙洒脱!
    どんどん読める。黒髪の乙女がズンズン歩いていくかのように。
    時に二足歩行ロボットダンスをまじえて。

    終わりかたも好きだなぁ。
    これこそまさに大団円!
    私もみんなと一緒にお酒が飲みたい。
    詭弁論踊りを踊って偽電気ブランが飲みたいです。

  • 読書家の友人に勧められて読みました。

    言葉の使い方がとても上手いなと感じました。
    電車で読んでいてもにやりとしてしまいます。

    ストーリーも一度出てきた要素が思わぬところで再登場し物語を進めるなど意表をつかれることが多くとても楽しめます。

    軽い気持ちで楽しく読める本。

  • 「ビスコを食べれば良いのです!」

    いいこといった主人公!大好きだ!

    読み始め、現代の女子高生あたりのお話かと思いよみはじめちゃった為に
    半分くらいまで時代感に違和感をもち ん?んん?となる場面が多かった
    いや、私が悪いのだけども。

    ASIAN KUNG-FU GENERATIONのCDジャケットを担当する人の表紙がとても素敵!

    猪突猛進、わが道を突き進む彼女がオモチロイ
    一緒にビスコ食連合を立ち上げたいものです。

  • はじめは、なんだこのテンションと思ったけど30ページくらいで慣れた。60で掴んだ。120で染みた。こんな本があるんだなぁ。

    ひどくクドい文章だけど、補って余りあるだけ女の子が可愛い。
    いや、「かぁいぃ」
    受け付けない人多いと思うw
    自信は無いけど、例えば三姉弟の長女とかは嫌いそう。
    みんな末っ子丸出しな感じ。

  • 表紙と、名前が気になって読みたい一冊。

    ~追記~
    しかし!色々調べれ見れば、なんと『sweet blue age 』という本に載っているではないか!
    しかも、それは有川浩さんの作品があったので読んでいる。。

    ああ・・・記憶にないぞ~(+o+)


    しかし・・・いざ読んでみると、設定も現代なのか、それとも大正頃?なのだろうか。。謎に包まれた、作品。

    どこか、夏目漱石の「こころ」に似ていると、感じた。


    しかし、この「黒髪の乙女」と「先輩」の関係が、甘酸っぱくて好きだー

  • 面白かった!私も登場人物と同じように春の先斗町を豪遊し、夏の古本市で本を探し、秋の学園祭を楽しみ、冬に李白風邪に苦しんだ。この作品…ジブリで見てみたいな〜

  • 2006年(平成18年)。
    堪能いたしました。古の都・京都を、かくもアヤしく甘酸っぱいスラップスティックコメディ的青春恋愛ファンタジーの舞台に仕立てあげてしまうとは。感服しました。往年の名作漫画に例えるならば、さしずめ「めぞん一刻」或いは「グリーンウッド」といったところでしょうか。ファンタジーであるのだからして、「そんな奴ぁいねぇよっ」的突っ込みは無粋と申せましょう。エセ近代文学めいた胡散臭い語り口も、また楽しからずや。願わくは、若き2人の未来に幸あらんことを。青春万歳。京都万歳。なむなむ!

  • 森見登美彦作品の中で初めて読んだ本。
    最初は独特の言い回しについていけるか心配だったけど、すぐに慣れたし、とても心地良い文章だった。
    京大生としては知っている場所やイベントが目白押しで面白くないわけがないという感じ。
    文量が少なめで一気に読めるのも自分の中で評価が高い。でもそんな少ない中でもたくさんの情報や感情が伝わってくるのは本当にすごかった。
    大好きな作品になった。

  • 源ちゃんが先輩役をやる事になって知った本。
    これは得意不得意ある話、というか本かな。
    先輩と黒髪の乙女が交互に語る形なんだけど…
    「どこまでも暴走する己のロマンチック・エンジンをとどめようがなく、やがて私はあまりの恥ずかしさに鼻から血を噴いた。
    恥を知れ。しかるのち死ね。
    しかし私は、もはや内なる礼節の声に耳を傾けはしない・・・・」
    とか。
    文章がとても独特でムツカシイ字も多い。
    でもそこに慣れるととてもオモチロイ。
    (読んだ人なら分かる)
    私はこの世界観が大好きだった。
    乙女や先輩や樋口さんや李白さんの様子がありありと目に浮かぶし、一緒に不思議な体験をしているような、そんな楽しい気持ちになれる本だった。
    これがアニメとしてどんな風に映像化されるのかとても楽しみ。
    映画を観ようと思ってる人で時間のある人はぜひ原作を読んでから観に行ってほしいな。

  • 古風でかしこまって使われがちな言葉や言い回しが、ちっともかしこまらずにはじけ飛んでいる感じ。
    ストーリーも京都を舞台に縦横無尽、生活臭たっぷりの冒険ファンタジーともいえそうに散らばり広がってゆく。
    ベースは恋心ではあるものの、アマアマやドロドロの恋愛物が苦手な方にもひと味違う世界が楽しんでもらえるかも…。

    「ナカメ作戦」が「なるべく彼女の目にとまる作戦」とは、ついDAIGOか!とつっこんでしまった(笑)
    コメディタッチの青春学園恋絵巻。

  • 現代の恋愛成就物なのだが、あえて大正の頃の言葉遣いをする事により「ロマンス」に昇華させている。お互いに男女の機微に頓着しない者が、いつのまにやら互いの心に住み着く。美しきかな青春。

  • 『読者諸賢におかれては、彼女の可愛さと私の間抜けぶりを二つながら熟読玩味し、杏仁豆腐の味にも似た人生の妙味を、心ゆくまで味われるがよろしかろう。
    願わくは彼女に声援を。』

    『「おともだちパンチ」をご存知であろうか。』

    「親指をひっそり内に隠して、堅く握ろうにも握られない。そのそっとひそませる親指こそが愛なのです」

    『私は太平洋の海水がラムであればよいのにと思うぐらいラムを愛しております。』

    『彼の立場を慮って、たかがお乳の一つや二つ、まあ、お乳は二つしかございませんが、ともかくそれぐらい平気で受け流しておくだけの器の大きさをなぜ私は持てないのでしょう。』

    『かくして私は呟いたのです。
    夜は短し、歩けよ乙女。』

    『恥を知れ!しかるのち死ね。』

    『古本市の神よ、我に知識ではなくまず潤いを与えよ。
    しかるのち、知識も与えよ。』

    「そうだ。ずんずん祈らねばならんぞ。なむなむ!」
    「なむなむ!」

    『これは世人に公平に与えられているはずの、好ましく思っている黒髪の乙女をやむを得ず追う権利の明白な侵害である。』

    『諸君、異論はあるか。あればことごとく却下だ。』

    「とにかく幕を引こう - ただしなるべく己に有利なかたちで」

    『今やなんとか彼女の眼中に入ろうと七転八倒している。私はその苦闘を「ナカメ作戦」と名付けた。これは、「なるべく彼女の目にとまる作戦」を省略したものである。』

    「君が来るなんて珍しい。当ててやろう、例のナカメ作戦だろ? - それで、あの子とは何か進展あったの?」
    「着実に外堀は埋めている」
    「外堀埋めすぎだろ? いつまで埋める気だ。林檎の木を植えて、小屋でも建てて住むつもりか?」

    『昼日中から校舎でお酒を飲むなんて…その背徳の悦びが、お酒をいっそう美味しくすることでしょう。』

    『ああ、神様、そんなにもパンツを穿き替えない向こう見ずな彼をお守り下さい、色々な下半身の病気から!』

    「ついに一念発起して吉田神社に願を掛けることにしたのだ。彼女にふたたび出逢えるその日まで、二度とパンツは脱がないと-」
    「そして彼はパンツ総番長の称号を手にしたのだ。じつに良い話だ。男の中の男だな」
    「人間として、力の入れどころを激しく間違っているよね」

    「ハッピーエンドだ。誰もが赤面することうけあいだ」

    「泣いておいでですか、先輩」
    「泣くものか。眼から、いささか塩水が出た」
    「恥ずかしがられることはありません。たいへん良い結末ですねえ」

    「乳の一つや二つ触ってみたいものだなぞと、卑猥なことで頭がいっぱいなのではないか?」
    「たしかに卑猥なことで頭がいっぱいだが、さすがにそれだけではないはずだ。もっと他にも色々あるはずだ! もっと美しいものが!」

    「性欲なり見栄なり流行なり妄想なり阿呆なり、何と言われても受け容れる。いずれも当たっていよう。だがしかし、あらゆるものを呑み込んで、たとえ行く手に待つのが失恋という奈落であっても、闇雲に跳躍すべき瞬間があるのではないか。今ここで跳ばなければ、未来永劫、薄暗い青春の片隅をくるくる回り続けるだけではないのか。諸君はそれで本望か。このまま彼女に想いを打ち明けることもなく、ひとりぼっちで明日死んでも悔いはないと言える者がいるか。もしいるならば一歩前へ!」

    「地に足をつけずに生きることだ。それなら飛べる」

    『こうして出逢ったのも、何かの御縁。』

  • 私が初めて読んだ森見登美彦作品です。
    この本で森見登美彦ワールドに引き込まれてしまいました。

    夜の京都で酒を飲み歩き、下鴨古本納涼まつりで熱い戦いを繰り広げ、大学の学園祭で暴れ周り、云々…という素晴らしい作品です。

    黒髪の乙女の『おともだちパンチ』が好きです。

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夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)の作品紹介

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する"偶然の出逢い"にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)の単行本

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)のKindle版

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