ナラタージュ (角川文庫 し 36-1)

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043885015

感想・レビュー・書評

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  • 高校時代に好きになった先生を想い続けるという話。
    好きという気持ちの描写が的確で自分の遠い昔の恋愛時代のことを思い出した。
    結末は少しがっかりした。

  • 「子供だったから愛とは違うとかじゃなくて、子供だったから、愛してるってことに気づかなかったんだよ」
    「教え子にものすごく似ていたから別人だってわかっていたけど見ていた」
    昔の自分が救われる文章
    いつでも読めるように最後のこのシーンのところに栞挟んでます。

  • 本当に個人的に印象に残った描写
    「陽炎の向こうに、公園に咲いた向日葵が見える。どこかの家の窓で鳴っている風鈴だけが、ほんの少し気持ちに潤いを感じさせた。」

    この表現がこの小説のリアルさ、切なさ、美しさを表しているように思いました。

  • 葉山先生と泉はとうとう一緒になることはなかった。

    それでも確かに通じあっていた、だから
    またあの薄暗い雨の日の廊下を思い出し
    何度でも出会える。

    2人の想い合う気持ち、一緒になれない切なさがとても苦しかった。でも、確かに通じあっている·····幸せな話だったんだなぁと、読了後はとても温かい気持ちになりました。

    高校時代に、葉山先生が泉に対して言ったセリフには心を打たれました。

    長野での描写は綺麗な景色と楽しそうな泉たちの姿が目に浮かびました。

    数年後にこの2人にもう一度出会って欲しい。どちらかがすごく傷ついた時に、また出会ってしまう気がします。

  • とある高校で出会った教師「葉山」と生徒「泉」の話。

    単純な恋愛とは違い、双方が精神的には惹かれてはいるものの実際に行動を起こすわけでもない。
    しかしながら、ふいに起きた出来事などを通してお互いの境遇で抱える「心の隙間」を埋める存在となっていく。

    葉山は教師としての立場や複雑な家庭事情などから直接的なアクションは控え、在学中の泉からの告白も断った経緯もあった中、時折泉を求めるようなシーンも散見する。
    泉の好意を知った上でそういった行動をする葉山には個人的に憤りを感じる点も往々にしてあった。
    (彼の存在が在学中の泉の救いとなっていた点も事実としてはあるが)

    しかしながら、泉も同様に葉山に応えてもらえない点を他の誰かで埋めようとしてしまうシーンなどもあり、元は葉山が蒔いた種であるにせよ堂々巡りとなり他人を犠牲にしてしまう。

    私はそんな二人のズルさや精神的に先に進めない感じに少し苛立つような思いで読んでいたが、これが作者が読者に対して感じてほしいポイントなのかなとも思った。

    読者によって「結局何が悪かったのか」というポイントは分かれると思うし、賛否のポイントも様々違うと思うが、答えのない恋愛小説として本書を手に取ってみるのは面白いと思う。

  • 最後、なぜか自分のことの様に思え、涙が出てきました。
    2年前の恋愛を思い出しました。私も、どこかの縁で彼と間接的にでも繋がったなら同じ様に涙を流すと思います。2度とつながることができないからこその涙ですね。

  • ・確かに面白い小説だった。
    ・葉山先生、ずるいよ
    ・小野くん=若い男の性的な衝動が生々しい。作者は女性なのにすごい。
    ・ラストシーンがよかった。電車の中で泣きそうになった。

  • いろいろと激しく間違っている関係性だと思うけど、互いが正しく生きていくために必要な愛、いうことなんだろうな。
    なかなか現実では起こり得ない設定だと思うが、特に後半はなぜかものすごい感情移入できてしまったくらい、感情や情景の描写が繊細な作品。
    心乱されたい時に読み返したい。

  • もしも今そばにいる人が遠くに行っても
    心から幸せを願えるような、
    そんな気持ちで愛したいと思った。
    また読み返したい。

  • 何度読んでも、島本理生さんの表現の感度に圧倒されてしまいます。
    未熟な若者の恋愛物語、として読むか? それとも、きっと自分も体験したことがあるであろう心の傷として読み解くか?
    主人公や登場人物一人ひとりが自分の心に真っすぐでいようとすればするほど、自分が傷つき、また相手を傷つけてしまう。
    またその傷に心が痛み、もがき苦しむ様が言葉になって見事に表現されています。
    好きな人を思う瑞々しい気持ちの揺れ動き、心の動きと風景が溶け合い、温度や風まで表現されてくる。
    やり直しができるなら、少しでも時間が戻せるなら、そんな緊張感の中で物語が進み、読む側を夢中にさせてくれます。
    本作「ナラタージュ」はそんな島本さんならではの秀作だと思います。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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