宇宙のみなしご (角川文庫 も 16-8)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.68
  • (171)
  • (354)
  • (325)
  • (57)
  • (7)
本棚登録 : 3637
感想 : 294
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043941087

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 担任を途中で投げ出してインドへ行ってしまった先生のことばがいい。
    「ぼくたちはみんな宇宙のみなしごだから。ばらばらに生まれてばらばらに死んでいくみなしごだから。自分の力できらきら輝いていないと、宇宙の暗闇にのみこまれて消えちゃうんだよ。」

  • 中学2年生の陽子と1つ歳下の弟リン
    ふたりのヒソカな楽しみは夜中に
    他人の家の屋根にのぼることだった。
     
    やがて仲間いりする2人のクラスメイト

    思春期の優しさ、切なさ
    ジリジリするようなじれったさ

    忘れてしまった気持ちを思い出させてくれる1冊

  • 森絵都の宇宙のみなしごを読みました。

    ヒロインの陽子は中学2年生、中学1年生の弟のリンと2人姉弟です。
    両親が仕事で遅くなることが多い二人はいつも二人だけで生活しています。
    この二人は性格が正反対なのに、仲が良く、いたずら好きです。

    二人の新しい遊びは、深夜他人の家の屋根にのぼること。
    この二人とリンのガールフレンドで陽子の同級生の七瀬さんが他人の家の屋根にのぼっているところを、クラスのいじめられっ子キオスクに見られてしまいます。

    性格の違う4人の関わりがほのぼのとした筆致で描かれています。

  • 夜中に近所の家の屋根にのぼる、そんなことを楽しみにしている姉弟、陽子とリンの青春物語。

    ジュブナイルは、作者の思い入れが強すぎたり、クサくなりがちなのであまり得意ではないのですが、これは自然に入りこめました。

    表現しづらい世代特有のもどかしい感覚や瑞々しさの表現が美しく、後半に向けて物語も盛り上がって一気読み!
    子供達にもオススメできます。


    そして友達が迎えに来る

  • 私が小学生の頃。たまに帰っても親がいない時があって、そういう時は事前に鍵を持たされるんだけど、たまにその鍵を家に置きっぱなしの時があった。
    さて、どうやって家に入ったものか。とドアの前で立ち尽くすのだけど、ある時「二階の窓は開いているんじゃないか?」と思い、雨どいを伝いながら屋根に上り、そのまま窓からただいましていたのを思い出した一冊だった。
    屋根って気持ちいいよね。

  • >なにかにときめいて、わくわくして、でもそれを我慢したら次からは、そのわくわくが少し減ってしまう気がしていた。なにかしようよと足踏みをする、わたしの中の千人の小人たちが八百人に減ってしまう。二回我慢したら六百人に。三回我慢したら四百人に。そうして最後にはわたしよちっぽけな体だけが残される。空っぽのこの体だけ。暗いところにひとりきりで。

  • 心のひだを柔らかくなでる。描き切るのが近代ならばこのさらりと撫でるのが平成文学なのかも。秀逸!カラフルもよいがこれの方が好き。
    オードリーコルンビス?の『屋根にのぼって』を思い出しました。

  • 森絵都さんの、児童文学。
    可愛らしい話だと思った。
    屋根の上から、夜の空を見て、夜の風を感じて、取り残されたような、それでいて安心するような…そんな感覚は、とても尊い。

  • 森絵都さんらしい話だった。
    姉弟で屋根に上る遊びを思いついて、
    2人だけの秘密だったんだけど、弟のリンが
    姉の同級生に話してしまい、七瀬さんとキオスクも
    加わり屋根のぼりをするんだけど、
    その屋根のぼりに「一歩踏み出したい」とか、
    中学生特有の思いが込められていたりして
    やっぱり森絵都さんはこういうのが上手いなと!
    宇宙のみなしごっていうタイトルがピッタリの話でした

  • 陽子とリン、二人とも幼い頃から退屈が苦手な姉と弟だ。それは中学生なっても変わらず、仕事で帰らない両親の目を盗んで数々の自己流の遊びを考えてきた。ある日の夜中、ひっそりとした街中を歩いている時、陽子は新しい遊びを思いつく。それは真夜中に他人の家の屋根にのぼることだった。しかしこの遊びにクラスメイトも参加することになり──。
    再読。デビュー作『リズム』から一貫して中学生の不安定な心を描いていた森絵都さん。本作は友情、そしてあと一歩を踏み出す勇気がテーマかな。後に刊行され出世作となる『カラフル』はテーマが重いので、こちらの方が読みやすいと思う。陽子に煙たがれていたキオスクや、何事も受け身だった七瀬さん。最後はそれぞれ自分の嫌らしさから目を逸らさず前を見つめようとする姿を見て、読者も前向きな気持ちになるはず。陽子の成長や、伝聞でしか登場しない富塚先生の言葉も良い。小学高学年から中学生の時期に読むと、きっと心に深く残ると思う。大人になった今でも心に響く名作。

全294件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

森 絵都(もり・えと):1968年生まれ。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞及び産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞等受賞。『この女』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あしたのことば』『生まれかわりのポオ』他著作多数。

「2023年 『できない相談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森絵都の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×