宇宙のみなしご (角川文庫 も 16-8)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年6月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043941087
感想・レビュー・書評
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担任を途中で投げ出してインドへ行ってしまった先生のことばがいい。
「ぼくたちはみんな宇宙のみなしごだから。ばらばらに生まれてばらばらに死んでいくみなしごだから。自分の力できらきら輝いていないと、宇宙の暗闇にのみこまれて消えちゃうんだよ。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中学2年生の陽子と1つ歳下の弟リン
ふたりのヒソカな楽しみは夜中に
他人の家の屋根にのぼることだった。
やがて仲間いりする2人のクラスメイト
思春期の優しさ、切なさ
ジリジリするようなじれったさ
忘れてしまった気持ちを思い出させてくれる1冊 -
森絵都の宇宙のみなしごを読みました。
ヒロインの陽子は中学2年生、中学1年生の弟のリンと2人姉弟です。
両親が仕事で遅くなることが多い二人はいつも二人だけで生活しています。
この二人は性格が正反対なのに、仲が良く、いたずら好きです。
二人の新しい遊びは、深夜他人の家の屋根にのぼること。
この二人とリンのガールフレンドで陽子の同級生の七瀬さんが他人の家の屋根にのぼっているところを、クラスのいじめられっ子キオスクに見られてしまいます。
性格の違う4人の関わりがほのぼのとした筆致で描かれています。 -
夜中に近所の家の屋根にのぼる、そんなことを楽しみにしている姉弟、陽子とリンの青春物語。
ジュブナイルは、作者の思い入れが強すぎたり、クサくなりがちなのであまり得意ではないのですが、これは自然に入りこめました。
表現しづらい世代特有のもどかしい感覚や瑞々しさの表現が美しく、後半に向けて物語も盛り上がって一気読み!
子供達にもオススメできます。
そして友達が迎えに来る -
私が小学生の頃。たまに帰っても親がいない時があって、そういう時は事前に鍵を持たされるんだけど、たまにその鍵を家に置きっぱなしの時があった。
さて、どうやって家に入ったものか。とドアの前で立ち尽くすのだけど、ある時「二階の窓は開いているんじゃないか?」と思い、雨どいを伝いながら屋根に上り、そのまま窓からただいましていたのを思い出した一冊だった。
屋根って気持ちいいよね。 -
>なにかにときめいて、わくわくして、でもそれを我慢したら次からは、そのわくわくが少し減ってしまう気がしていた。なにかしようよと足踏みをする、わたしの中の千人の小人たちが八百人に減ってしまう。二回我慢したら六百人に。三回我慢したら四百人に。そうして最後にはわたしよちっぽけな体だけが残される。空っぽのこの体だけ。暗いところにひとりきりで。
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心のひだを柔らかくなでる。描き切るのが近代ならばこのさらりと撫でるのが平成文学なのかも。秀逸!カラフルもよいがこれの方が好き。
オードリーコルンビス?の『屋根にのぼって』を思い出しました。 -
森絵都さんの、児童文学。
可愛らしい話だと思った。
屋根の上から、夜の空を見て、夜の風を感じて、取り残されたような、それでいて安心するような…そんな感覚は、とても尊い。