帝国の娘 下 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 396
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043944842

作品紹介・あらすじ

カリエは病に臥せる皇子アルゼウスの身代わりとして宮殿に入り、教育を受け始める。それは事実上、皇位継承レースの始まりでもあった。優秀で冷静沈着なドミトリアス、優しく明晰なイレシオン、最も王に近い血筋だが、傲慢で感情的なミューカレウスの3人の皇子。秘密の匂いがする美貌の神官サルベーン、そして相変わらず冷徹な教育系エディアルド…役者は揃い、次なる陰謀の幕が開く。魂の少女大河ロマン急展開の下巻。

感想・レビュー・書評

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  • 上巻は世界観に入るので精一杯だったけど、下巻はその世界観の中で一気に話が動く。
    須賀さんはどの作品も世界観を丁寧に表現するから、前半は入りにくい節がある。でもそれが後半の面白さに繋がる。須賀さんの手法ですね、最高です。

    主人公カリエの目線で話は進むけど、他の皇子たちの心情、それぞれの立場や苦悩がわかりやすく、ラストはほんとに切ない、、。
    須賀さんの作品はどの女の子も強く、元気をもらえるから好き。ただの幸せ者とかではなく、ちゃんと挫折を経験し、努力を重ねる姿が最高にカッコイイ。
    エドのカリエに対する思いは完全に愛情ですよね、素敵です。宝塚とかでやったら面白いだろうなぁ。
    角川で新装版が出たのが10年以上前みたいだから、この先はコバルトで読むしかないか〜
    続きが気になって仕方ない。あと20巻以上あるけど、、がんばります。

  •  アルゼウス皇子としてほかの皇子と対面し、彼らと生活を共にするカリエ。
     それぞれ毛色の違う四人の皇子が揃い、陰謀が動き始めます。

     皇子四人とも、それぞれ違う部分で皇子としては理想的で、また問題も抱えていて、彼らが切磋琢磨していく姿が好きです。
     母親の家柄が低く、継承争いからは脱落している二人の兄。カリエ扮するアルゼウス皇子の登場によって、確実だった未来を揺るがされ刺激を受ける弟のミューカレウス。
     特に、周囲にちやほやされてきたミューカレウスの、のちの成長ぶりがすごかった。それだけに、その努力を裏切られるような展開が切ない……。
     長兄ドミトリアスは誰よりも厳しく、彼と交流を持つ民衆の支持も篤い。弟たちからも理想の兄として慕われているある意味完璧な皇子だけれど、皇帝になるという未来はあまりにも現実味がない。それを知ってなんとか兄を皇帝にという次兄のイレシオンの心のうちには胸を締め付けられます。

     また、身代わりとしてそれ以外の生き方を奪われたカリエが、その存在価値を失い危機に立たされます。
     皇子の従者としてカリエを守ってきたエディアルドが、今度はカリエの命を脅かす存在となる展開に……。
     負けん気の強さでひたすら前に進んできたカリエだけに、その先に明るい未来がないと悟る場面は、この小説の重さを感じさせる一番のシーンです。

     著者さんがあとがきで語られるように、少女小説としてライトノベルレーベルから刊行されるには、政治色や宗教色は破格に強い。でも、それがいいんです!
     女性を主役に据えた大河小説ということで、もっと大々的に売り出していってほしいです角川さん!
     続刊の復刊も期待したいです!(あとできれば装丁をもうちょっとどうにか……)

  • 読みやすい文章と素晴らしいストーリーで一気読み。少女大河浪漫はやはり良いものだ。

  • 上下巻で終わると思ったら全25巻じゃないですか!しかも角川から出てないw シリーズ読み切るのに今年いっぱいかかりそう♡

  • 帝国の娘上と同じくさくさく読めました。やはり主人公にがっつり感情移入できなくてどうかな、と思ったけれど最後まで読むとすごく勢いのある本だと思えた。

    田舎で暮らす平凡な少女が実はお姫様だった?!なんて単純ことではない、いい意味で期待を裏切られる展開。

    自分の知っていた少女小説とは違う雰囲気の持つ須賀しのぶ作品、続編もある様なので読んで見たいが、角川文庫から出るのを待ってみよう…

  • 【ひとり須賀しのぶ祭り実施中】
    うわーー怒濤の下巻!
    くそガキと思ったミュカも他の皇子たちも、皆それぞれに信条があり(須賀さんの作品はだから好き)よかった。
    続きが読みたい!!
    角川版ってこれ以降の予定ないんですか!!!ひどすぎる…。
    カリエ(アル)・エドの主従も最高でした。
    つづきかもーーーん!ふんがふんが。

  • これで終わっても物語として成立するくらいのボリューム。このシリーズのすごいところは、ここからが始まりというところ。
    初読のときはここで終わりと思って、続きがあると知ったときは歓喜した。
    戻ってきたカリエを抱きしめたときのエドといったら、、、もうたまんないよね。
    どんどんエドのことが好きになるよう仕組まれてる。ミューカレウスといい、グラーシカといい、ドミトリアスといい、キャラが本当にいい。
    そしてカリエは強い。

  • うーん、最後よく分からなかった。
    エドはカリエをカリエとして見るようになったから助けようと思ったのかな?エドの皇子一筋!がどこで変わったのかがよく分からなかった。あと、カリエは結局王族の血が流れているの??なんか中途半端な気がして…

    これ、ラノベで続いてるんだ…

  • 国民の意見を聞き国を健全に維持、発展させることの難しさや、どういう人生を求め歩むか、尽きない苦悩がしっかり描かれていたところが良かった。登場人物たちの人間らしさにも好感を持った。自分の弱さに気づき、それが成長に繋がっていると感じられた。
    ミュカが登場してから、カリエの本来の性格がよく出ていて笑ってしまうことが増えた。この4兄弟の生活がずっと続けばいいのにと、切なかった。
    つい涙してしまったのは、意識の戻ったミュカとカリエで皇子宮に戻り、エドに抱きしめられたシーン。裏切られたわけではなかったと確信するところがたまらなかった。読者としても、みんながギスギスしているのは辛い。それほど感情移入してストーリーを追っていた。
    可哀想な皇子、シオンの選択も切ない。この立場に生まれてしまった以上、本当の意味での幸福は訪れないのだろうと不憫に思う。
    読み終わりたくなかったな。

  • 上巻よりも内容が深まった。
    2巻で終わる世界観ではなさそうだなと思ったら、案の定続きがあるとは…
    しかも、かなり長い…
    ゆっくりと楽しんでいこうかな

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著者プロフィール

『惑星童話』にて94年コバルト読者大賞を受賞しデビュー。『流血女神伝』など数々のヒットシリーズを持ち、魅力的な人物造詣とリアルで血の通った歴史観で、近年一般小説ジャンルでも熱い支持を集めている。2016年『革命前夜』で大藪春彦賞、17年『また、桜の国で』で直木賞候補。その他の著書に『芙蓉千里』『神の棘』『夏空白花』など。

「2022年 『荒城に白百合ありて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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