さびしいまる、くるしいまる。 (角川文庫 な 34-11)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044125264

作品紹介・あらすじ

会いたくて、電話があればすぐに飛んでいった。ありがとうって言ってほしくて、百万円のブランデーもポンと入れた。滑稽で哀しい叶わぬ恋愛の顛末…、笑って幕を引いたはずだった。あの日、真実を知るまでは。十五歳年下のホストとの恋を綴ったエッセイに衝撃の書き下ろし後日談を加え、今とあの日、引き裂かれた時間の中で立ち竦む己の姿を偽りなく書き尽くす。これがうさぎの落とし前。

感想・レビュー・書評

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  • 私はきっと一生この本を手放さないと思う
    どんな恋愛小説よりも純粋なものが、ここにある気がした
    でもやっぱり、文庫版のあとがきも含めてこの小説は成り立つと思いますね

  • 中村うさぎがホストに狂っていた頃のエッセイ。元々だめんずうぉ〜か〜でちょうどその頃の話が掲載されていて覚えていたんだけど、あのダックスフンド春樹の話だったとは。
    そして現在の春樹のブログを発見したんだけど髪の毛がうすーくなり、おっさんになっていて悲しくなったw

    これは文庫版あとがきまで読むべき本。「これも含めてめっちゃ分かる」と思ったから。この人の、「手に入らない相手を崇拝の対象にしちゃう」っていうのすごく分かるんだよな〜。その崇拝の対象がただのクズに成り下がって行く様も含めて。

    文庫版あとがきから10年経ってるけど、この人は幸せになれているのだろうか。

  • ゲイ相手のノンケのウリセン。確かに。


    別の本での下記セリフもかなり衝撃でした。


    この話(「ミニスカ―トを履いてるのは、男に見せる為なんだから、太ももくらい触ったっていいだろう」と言われた)を聞いて、男性の理屈を正しいと感じた貴君は、たとえば自分がブティックで一目惚れして買ったお洒落なショートパンツを穿いていたら隣に座ったホモに太ももをなでられた、という場面を想像していただきたい。
    世の中には男の身体に欲情する同性愛者が存在するという事実を知っていながら無防備にショートパンツなんか穿いてる自分が悪いのだ、と、はたしてあなたは思えるか。思えないのなら、ミニスカートを穿いてる女の理屈も理解していただけよう。

    「ノリちゃんから奪った純情を、ホストはどうしたのかしらねぇ?」
     「ゴミ箱に捨てたんじゃない?ホストは女の純情なんか欲しくないんだもん、。あいつが欲しいのは、金。だけど、女は金を純情でラッピングして捧げるから、仕方なくラッピングごと受け取るのさ。で、純情をベリベリと剥がしてゴミ箱に捨てて、中の金だけ懐に入れる。プレゼントの包み紙を捨てて、中身だけ、いただくようにね。何が悪いの?皆、そうしてるじゃない?」」

    この世界が用意するのが、思考停止のハッピーエンドだ。静かな諦観とともに人生を受け入れ、無為な戦いを放棄する。

  • 非現実的な散財をしながら、やっていることはひたすらな自己分析・・・なんでしょうか。不毛さと壮絶さがどことなく自己破滅型な感じもします。
    軽めの文章のおかげか、不思議と悲壮感が無く読みやすいですが。
    「決して報われる事のない片思い」がきれいごとでは終わっていないのが現実的。読むのであれば文庫版あとがきが追加された方をおすすめします。

  • 「ねぇ、私を必要として。」

    「それは悲鳴にも似た耳障りな愛の告白だ。
     男たちにそれを求めすぎて、ぎゅうぎゅうに追い詰めて
     私は、いくつもの関係を壊してきたのかもしれない。」

    一夜に何十万も何百万もお金が動く世界。ホストクラブ。
    通い続けるうさぎさんのギリギリな感じが
    読んでいてなんとも言えなくなります。
    出版社に前借までして。
    口座差し押さえまでされて。
    残高0になるまで。

    “花も実もない人生だけど”では、面白おかしく書いていましたが
    こちらは、かなり読んでいて苦しくなります。

    なるほど、
    景気が良い訳でもなく
    今にも奈落に落ちるような
    自分の血肉を捧げるような
    ギリギリな状況で
    ボトルをあけていくのかあ。

    それは、もう救いを求めてるのに
    自ら破滅に向かってるような、真摯で健気な姿。

    ホストに求めていたのは「自分」であり
    ホストに投影していたのも「自分」だった。

    くるしいまるは、うさぎさん。
    さびしいまるは、春樹。

    そう言ってたけど、
    どちらももしかしたらうさぎさんなのかもしれない。

    そして、それは私自身なのかもしれない。

    お客がホストを支配している関係だったのに、
    「いつの間にか支配関係が逆転する」のには驚きました。
    ホストから連絡があれば、
    駆けつけてしまうお客さん。なんかわかる気がする。
    だからこそ近寄れない。

    ホストクラブという私にとって未知の世界を
    興味深く書いてくれています。
    月末は勝負なんですね。
    売り上げとナンバー入りかあ。
    プライドって人の中のいろんな場所にある。

    「身を削って稼いだ金は、私の血肉だ。
     その血肉を春樹に分け与えるのだから、
     これが“愛”じゃなかったら何なんだよ。」

    やっぱりカッコ良いし、
    ブルブル震えながら愛を求めてるのに
    噛み付いていくうさぎさんは素敵すぎる。
    そして、
    ダンナさんも素敵。

    あとがきのあとがきも文庫のこちらには書かれているので
    かなり贅沢です。
    春樹さん・・・・・もー!!怒泣
    手の届かない星でいてほしかったよ。でも人間だもんね。
    いつまでも「神」でいてほしかった。

    装丁もキレイでした。

  • とあるホストへ一千万超を貢ぎながら自分の心の奥を見つめていた中村うさぎが、
    自分の心の有様を赤裸々に描いたエッセイ。
    一般的な目で眺めれば、彼女がどのように言おうとも、
    15も下の「春樹」という名のホストへ彼女が「ハマった」その姿を覗き見ているようなものだろう。
    しかし私は、この本のそこかしこに溢れている、
    「私は『私』を欲している」という彼女の悲痛な声にフォーカスしてしまう。
    実際、言い訳ではないのだ、と似たような道を歩んだ私はひとりごちる。
    勿論私はホストに貢ぐという形ではなかったし、買い物依存症にもなりはしなかった。
    それでもこの本を読んでいると、
    まるで暗がりの中に光る小さな鏡の中に映った、
    もうひとりの自分を、
    うっかりと見つけてしまったようなそんな気分になった。

    「それは私の「他者」探しだったのです」

    そう綴る彼女の言葉は、
    まるで荒野をからからと乾いた草が転がるような、
    もはや寂寥という言葉ですらないほどに乾いた裂け目のようだ。
    この裂け目から私は這い出し、もう随分と旅をしたのだ。
    光る眼をして暗がりを覗きこむ私は、今は遠い空を見つめている。

    この本に限っては、あとがきはやはり最後に読むのをお勧めする。
    そして本編とあとがきの間に流れた時間が、奔流となって溢れてくるのをどう感じるのかは、また、読む人それぞれの心の有様を浮き彫りにするだろう。

  • なんかねー、これ読んでて、



    「ん?」って思うホストの発言があって、



     何なんだろうって思ったら、





      そういえば彼氏はその昔ホストのバイトだった




     ってことを思い出したw








     ホストの人って、 恋愛できるのかなぁって
     聞いてみたら、



     
    「客と結婚した人ならいたよー。」と彼氏。





     擬似恋愛から本物に発展するのはかなりの例外で、



     よほどその職業に理解のある人でないと、


     ホストさんと本気の恋愛って

     難しいきがするなぁ、なんて思ってしまいました。


     職業差別でしょうか…。ごめんなさい。

  • うさぎの気持ちがわかるなんて思いたくもない
    悔しい

  • 片思いとはそんなもんです

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著者プロフィール

1958年2月27日生まれ。
エッセイスト。福岡県出身。
同志社大学 文学部英文学科卒業。
1991年ライトノベルでデビュー。
以後、エッセイストとして、買い物依存症やホストクラブ通い、美容整形、デリヘル勤務などの体験を書く。

「2017年 『エッチなお仕事なぜいけないの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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