クドリャフカの順番 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.01
  • (944)
  • (1333)
  • (789)
  • (53)
  • (11)
本棚登録 : 11007
感想 : 789
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044271039

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 古典部シリーズ第3弾。本作でついに伝統の文化祭・神高カンヤ祭を迎え、古典部は制作文集「氷菓」の販売にあたって、当初30冊販売予定が発注ミスで200冊となり、どうにか完売を目指し奔走するメンバー。

    その文化祭で、事件が起きると言うドタバタ青春ミステリー。

    文集を必死に売ろうとする中で、文化祭で発生した連続盗難事件も相まってもはやドタバタ文化祭。これが私自身の高校時代の文化祭を思い出したりしてニンマリ。


    だがしかし、だがしかしだ。

    市川憂人著者作品【ジェリーフィッシュは凍らない】のレビューでも綴った、ミステリーの女王・アガサクリスティの作品が、またしてもモチーフにされており、作中でも事件が模倣されている旨が明記されている。

    彼女の作品を未だ未読の私からすれば「勿論知ってるよね」のテイで読まされている気がして、途中から冷めてしまった。いや、もとい、拗ねてしまったため、ラストの種明かしパートを流し読みにて読了となった。


    だがしかし、だがしかしだ。

    前の2作は、主人公目線の独白形式で展開していたのだが、本作は初めて古典部メンバー4人の視点が交差しつつ展開していくところは、連読してきた私としては非常に楽しめた。

    それぞれが持つ悩みや、抱くコンプレックス、妬みや羨望。それでも最後は諦めずに自分の役割を果たしていく姿は微笑ましく、総じて本作品は読み応えがあって良かった。

    登場人物に血肉が通う姿を感じられることが、私の読書の楽しみなのだから。

    著者の積読書はまだある。
    また読みたくなった頃合いで会いたいと思う。

  • 古典部シリーズ3作目。
    今までとは違い、部員全員の視点から物語が進んでいく。
    なので今までわからなかったみんなの内面がわかる。
    事件としては個人的なことにしたら規模が大きめ。
    お姉ちゃん登場。
    期待って言葉は簡単に使っちゃいけないね。

  • 米澤穂信 作 謂わゆる「古典部」シリーズの
    第三作目。文化祭の全三日程を描く内容で、
    これまでと違い、古典部メンバーそれぞれの視点
    から物語られている。
    (主人公たる折木奉太郎が安楽椅子探偵的な素養があるからかも?と思えるが)

    発注ミスで山と積まれたアレを如何とする
    流れから、クリスティの名作風な事件へと進む
    展開は面白い。
    古典部メンバーの心の機微さえ、
    そこに絡めながら深掘りされているので、
    ただただ折木奉太郎が事件に関係しました感より、味がある話に仕上がっている。

  • 第1作の「氷菓」、第2作の「愚者のエンドロール」とは違い、今作は主人公折木奉太郎の視点だけでなく、他の古典部員の視点でも語られる作品になっている。個人的には今まで通りの最初から最後まで折木奉太郎視点の方が好きなのだが、今作は主人公が安楽椅子探偵ポジションだったということもあり、これはこれでアリだなと感じ、新鮮に読めた。

    トリック自体は第2作の「愚者のエンドロール」のほうがスッキリしたものとなっていたが、これはこれで米澤穂信らしい少しビターな青春ミステリという感じでらしさが出ていたかな。米澤穂信好きで、まだ2作目の「愚者のエンドロール」までしか古典部シリーズを読んでいない人は読むのをオススメする。

  • アニメ「氷菓」は一度も見たことがないのですが、この作品はその「氷菓」シリーズ3作目らしいです。
    文化祭を迎え、張り切る生徒たち。しかし古典部では「氷菓」の発注ミスで大赤字の危険発生中。
    さてどうやってこれを捌くか。

    大人気らしいアニメ「氷菓」をまず知らないので各キャラクターの性格を把握するまで戸惑いましたが、多視点から語られる文化祭実況中継は学生時代に戻ったようで懐かしく楽しかった。
    お料理研での料理対決とえるちゃんが上手な依頼の仕方を教えてもらうシーンが個人的には好きでした。
    製菓研に入りたいな。パンプキンヘッドになりきって「トリック オア トリート!さもなくば・・・」って言いながらジタバタしたいです。

    それにしても奉太郎の姉が何故あの本を持っていたのか…
    「私、気になります!」。

    • まろんさん
      おお!私もこの本、ちょうど読み終えたばかりなのです!
      hetarebooksさんとほとんど同時に読んでたなんて、なんだかうれしくてほんわかし...
      おお!私もこの本、ちょうど読み終えたばかりなのです!
      hetarebooksさんとほとんど同時に読んでたなんて、なんだかうれしくてほんわかしてます♪
      文科系部活がとてつもなく充実してる神山高校の文化祭、いいですよね~!
      奉太郎のお姉さんは、シリーズ1作目の『氷菓』から
      電話もマトモにつながらないような外国からでも
      まるで全ての動向が見えているかのように奉太郎を操ってしまう
      神がかった存在で、私も、気になります!
      2012/09/11
    • hetarebooksさん
      まろんさん

      コメントありがとうございます❤なんと、まろんさんも同時に読まれていたとは!
      こちらまでうれしくなってほんわかしてきました...
      まろんさん

      コメントありがとうございます❤なんと、まろんさんも同時に読まれていたとは!
      こちらまでうれしくなってほんわかしてきました♪
      わらしべプロトコルをはじめ、いつもひょうひょうとしている奉太郎をたやすく操ってしまうお姉さん、最高ですよね。
      周りの友達を見ていても世間の男の子たちは皆、姉には頭が上がらないのかとも思いましたが
      姉を「ブタさん」と呼ぶ三浦しをんさんの弟さんみたいなケースもありますし・・・
      弟と姉の関係、私も、気になります!
      2012/09/11
  • 息子が古典部シリーズが好きなので私も読んでみた。
    アニメの「氷菓」は何度か家族でも見たことがあり、そこでの「カンヤ祭」あたりがこの「クドリャフカの順番」がもとになっているようだった。

    息子はABC殺人事件が好きなので、それになぞらえたこのミステリが好きなんだろうなと思う。あとはアニメの「氷菓」でいうところの1話で完結しない、ちょっと長めの謎解きが面白いらしい。

    私としては、古典部メンバー個性が存分に発揮されていてとても楽しく読めた。
    折木は相変わらず省エネ、千反田は相変わらず好奇心の塊・・・。
    文化祭の描写も懐かく読めて楽しかった。
    ただ今回はそれぞれが内に秘めたコンプレックスみたいなものが描写されており、けっこうここは共感度高いのかもしれない。
    自分がもしリアルに高校生くらいのときにこれを読んだらすごく共感できたかもなと思う。

    この氷菓シリーズを読むのは初めてだけど、それぞれの視点で物語が進んでいくところもおもしろいなと思った。(スペード・折木、ハート・千反田のように記されているのもまたよい)

    ストーリー全般としては、古典部で起こった解決しようがなさそうな問題を、部員の知恵と努力&部外の協力でなんとか乗り越える、というハッピーな展開で満足。
    最後には全ての謎も明かされて、スッキリできて良き。

    その中で私が気に入っているのが、千反田が入須に「頼み方」を教えてもらうシーン。

    ・見返りのある頼み事
    相手を信用してはいけない
    長い付き合いにならないことが予想される場合、相手は十中八九やらずぶったくりを考える、考えなかったとしても労力を最小限にしようとする
    日程と作業量に十分に余裕を持たせ、予備の計画を準備する

    ・見返りのない頼み事
    精神的満足感(カリスマ性、伝統性、信仰、愛、正義感、使命感、プロ意識、自尊心、期待、優越感)
    問題をあまり大きく見せてはいけない(自分には些細なことだが相手にはそこそこ大事らしい)
    人目のないところで異性にたのむ

    上記のようなことを聞いた千反田は「こ、これはすごいことを聞いてしまいました。考えもしなかったことばかりです。長い付き合いにならない相手にはやらずぶったくりを逆用で愛と信仰が期待な優越感は人目につきません。」をつぶやくのが面白い・・・。(うわすべり感)

    さらにその後、上記の教えを遠垣外に使うシーンも面白い。
    真面目に忠実に教えを守ろうとするところも、できなかったところを悔やむところもかわいい。千反田、好感度が高い。

    この話、最終的に謎は解けてスッキリはしたものの、読後感としてはちょっと寂しさ&切なさが残るかな。
    自分へのコンプレックスや伝わらない思いは寂しくて切ない。

  • 文化祭を疑似体験できる。いろんなところに仕掛けが散りばめられており読み進めていくのが楽しい。

  • 古典部シリーズ第3弾「クドリャフカの順番」
    これまで第1弾、第2弾でも物語の中心であったカンヤ祭こと神山高校文化祭でのお話。文集「氷菓」を作りすぎてしまいこれを何とか売り切ろうと、古典部メンバー4人が奮闘。そんな最中事件は起きる。様々な部活で盗難事件が発生。よく見るとそれは五十音順に起こっている?果たして犯人は?そしてその真の目的とは?
    ざっとあらすじはこんなところだろうか。個人的にはこれまでのシリーズの中で一番題材としてはおもしろいと感じた。また、第3弾ともなると各メンバーの個性、今まで知らなかった意外なパーソルな部分が判明したりでそこら辺もまた面白い。
    このシリーズは人が死ぬとかそういう部類のものではないので好きですね。続けて第4弾「遠回りする雛」を早速読み始めることにする。

  • ★わらしべプロトコルは、モノにばかり適用されてはいなかった(p.386)

    【感想】
    ・今回もせつなく感じる。
    ・クドリャフカという名称に記憶はあるけど意味がわからん。順番は多少は関わってくるけど。
    ・奉太郎は頑張って「省エネ」であろうとして却って省エネでなくなってるなあ。本当の省エネはただ流されるだけやろうと思う。抵抗するにもエネルギーはいるんや。というより省エネってことじたい常にエネルギーを必要とするんやけどね。ぼくらの現実世界もそうであるように。

    【一行目】
     眠れなくて、そっと家を出ました。

    【内容】
    ・文化祭開始。思えばここまでのストーリーはすべて文化祭がらみだった。
    ・うっかり文集「氷菓」を二百部も刷ってしまった。どこまで売ることができるのか?
    ・各所でなにやら他愛ないものが盗まれ「犯行声明」が置かれていた。えるは気になるがとりあえずそれどころではなく『氷菓』販促のため校内行脚。
    ・地学講義室から動けない(動くつもりのない)奉太郎だが、わらしべ長者(?)にはなる。

    ▼古典部についての簡単なメモ

    【アカペラ部】実力派。
    【アニメ】アニメの「氷菓」は全部観ていてよくできてたなあと思ったがじつはほとんど覚えていない。覚えているのは最初の回で窓際の千反田えるが振り返るシーン、先輩(女性)と奉太郎が喫茶店らしき場所で話しているシーン、ヘリコプターが立山連峰っぽい山を背景に飛んでいるシーン。運動会かなにかのイベントのさなか料理をつくっているシーン。えるが祭りかなんかでお雛様みたいなかっこうをして牛車みたいなのに乗って高山っぽい町並みの中しずしず移動しているシーン。それだけ。ストーリーはまったく記憶にないなあ。録画はしてるのでもいちど観ようかなあ。ま、全部読んでからね。
    【糸魚川養子/いといがわ・ようこ】司書教諭。
    【伊原摩耶花/いばら・まやか】→摩耶花
    【入須冬美/いりす・ふゆみ】冷厳さをかもしだす美貌の先輩。あだ名は「女帝」。「桁上がり」の四名家に並ぶ名家、恋合病院の経営者一族。「エンプレス」と言ったら「絶チル」の紫穂を思い出した。他者を操るタイプ。「必要な技術のない人間にはいい仕事はできない」愚者のエンドロールp.103。そらそうや。どうやら奉太郎の能力をそこそこ高く評価しているようだ。《誰でも自分を自覚するべきだ。でないと。》愚者p.183
    【映画】二年F組の体育会系部員が自分たちも文化祭に参加したいとつくった映画。仮称「ミステリー」。登場人物は海藤武雄、杉村二郎、山西みどり、瀬之内真美子、勝田竹男、鴻巣友里の六人と、名前は出ていないが撮影している誰かの計七人。
    【える】→千反田える
    【江波倉子/えば・くらこ】入須冬美が寄越した案内役。
    【大出/おおいで】古典部の顧問。
    【尾道/おみち】厳格で鳴らす数学教師。
    【折木供恵/おれき・ともえ】奉太郎の姉。海外にいる。古典部のOGで奉太郎に古典部救済のため入部を命じた。特技は合気道と逮捕術。痛くするのは得意。
    【折木奉太郎/おれき・ほうたろう】→奉太郎
    【神山高校】奉太郎が入った高校で、主要な舞台となる。多彩な部活動を誇る。アニメでは立山連峰っぽい姿が描かれていたことがあるから富山県か岐阜県。祭事のときの町並みが高山っぽい感じやったんで場所的にはその辺かなと思う。生徒数は一千人。ウチは二千人弱やったんでこぢんまりしたイメージ。
    【神山高校五十年の歩み】書籍。革張りで細密な装飾が施されており黒ぎりぎりの濃紺という色合いが重厚さを醸し出している校史。五人の二年生女子生徒が金曜日の昼休みに借り、その日の放課後に返却している。重しにでも使う必要があるのだろうか?
    【カンヤ祭】神山高校の文化祭、通称「カンヤ祭」は有名でこの地域では若者文化の華といえるほど盛大。えるの発案で古典部はそれに向けて文集を出すことになった。教師は「カンヤ祭」とは呼ばない。
    【期待】里志いわく《期待ってのは、諦めから出る言葉なんだよ》《時間的にとか資力的にとか、能力的にとか、及ばない諦めが期待になるんだよ。》p.347
    【クイズ研究会】文化祭でかなりの集客をした部活。
    【陸山宗芳/くがやま・むねよし】生徒会長。
    【桁上がりの四名家】荒楠神社の十文字家、書肆百日紅家、豪農千反田家、山持ちの万人橋家。ちなみにえるは千反田家の一族。それに並ぶのは病院長入須家、教育界の重鎮遠垣内(とおがいと)家。ちなみに「桁上がり」というのは里志の造語。
    【工作部】古典部のライバル。なんの?
    【河内亜也子/こうち・あやこ】漫研の一年先輩。
    【郡山養子/こおりやま・ようこ】「氷菓」第二号で関谷先輩のことを書いていた、おそらくこの時点での古典部部長。養子という名は司書の糸魚川先生と同じなので同一人物だろう。えるの疑問は彼女に聞けばほぼ解決すると思われるが、たどり着けるか? まあ、ストーリー上たどり着くのだろう。
    【古典部】新入部員がなく廃部のピンチだったが姉の命で奉太郎が籍を置くことになった。部室は地学講義室で特別棟四階、神山高校最辺境の地にある。何をする部活かよくわからないがとりあえず文集はつくっていたもよう。
    【古典部員】奉太郎、える、里志、摩耶花が一年生のときに入部。なんとか存続。里志は手芸部と、摩耶花は漫研とかけもち。
    【里志/さとし】福部里志。奉太郎の旧友にして仇敵。いつも微笑みを浮かべ背が低く遠目には女の子に見まがうルックスで、なんでも出てくる巾着袋をぶら下げ口が減らず不要な知識をいっぱい持っているデータベースと言える普通の男子高校生だ。奉太郎いわく似非粋人。楽しげなことを追求する。モットーは「ジョークは即興に限る、禍根を残せば嘘になる」氷菓p.24。興味を抱いたことは追求し、必要なことを二の次にできる肝のすわったヤツ。手芸部と掛け持ちで古典部に入った。スポーツはサイクリング一本。意外にも文章を書くのが苦手なようだ。シャーロキアンではなくホームジストに憧れているらしい。
    【沢木口美崎】二年F組の映画の広報。撮影にはタッチしていない? 「別にいいじゃない、鍵ぐらい」愚者p.168。ミステリ好きすべての敵という考え方。犯人はめちゃくちゃ脚が速かったとか、立ったまま十メートルジャンプできるとか、いたらすべてが無効になってしまう。というようなことをぼくもよく考える。このミステリすごく細かいけど特殊能力持ってるヤツがいたら意味ないなーとか。部活は天文部。
    【清水紀子/しみず・のりこ】文化祭クイズ研究会のイベントで優勝した。
    【十文字かほ】荒楠神社の娘。えると親しい。里志いわく「図書館の新しいヌシ」で一目置いている。クラスメートのようだ。碩学。占い部唯一の部員でもある。いずれ重要な役割になるかもね?
    【手芸部】カンヤ祭では曼荼羅絨毯を縫う。なんか、凄いぞ。
    【ショッキングピンク】里志の基本属性らしい。他の色に染まることはない。
    【女帝】→入須冬美
    【新聞部】神山高校には新聞が三つある。隔月発行で各教室に配られる「清流」が新聞部。不定期刊行の「神高生徒会新聞」が生徒会。八月と十二月を除く毎月昇降口前に貼られる「神高月報」が壁新聞部。壁新聞部には四十年の歴史がある。
    【シンボル】入須冬美のあだ名が「女帝」だったのにつられて里志が考えた古典部メンバーのシンボルは、摩耶花が「正義」、里志が「魔術師」、えるが「愚者」、奉太郎は、里志は「力」だと言い、えるは「星」だと言う。うーん、星のほうが近い気はするけど?
    【関谷純/せきたに・じゅん】千反田えるの伯父。母の兄。十年前マレーシアに渡航し七年前から行方不明。三十三年前「コテンブ」にいた。
    【田名辺治朗/たなべ・じろう】総務委員長。里志も一目置いている。
    【谷惟之/たに・これゆき】クラスメート。囲碁部。なぜか里志をライバル視してる?
    【頼みごと】女帝によると頼みごとには見返りがある頼みごとと見返りのない頼みごとがある。頼みごとがある場合は相手を信用せず余裕と予備が必要で、見返りのない頼みごとには精神的満足感を与える必要がある。
    【千反田える/ちたんだ・える】隣のクラスの「女学生」。「楚々」とか「清楚」とかいう言葉を体現し観察力と記憶力にすぐれており家がとてつもない名家であり時折好奇心の申し子となり「わたし、気になります」が決め文句で大きな目のチカラが半端ではない普通の女子高生だ。背はけっこう高い。暑さに強く日焼けもしないらしい。《パーツではなくシステムを知りたいんです》氷菓p.87。彼女の好奇心をクリアするために奉太郎は省エネを捨てねばならないが逃げようとするともっと多大なエネルギー消費が必要になってしまう。
    【千反田庄之助】えるの祖父。農地改革で土地は手放したが近代化をすすめ収益で買い戻していった。
    【チャットルーム】愚者では最初と最後にチャットがある。そこに登場するのは入須冬美、本郷真由、奉太郎の姉(たぶん)、千反田える、奉太郎。
    【遠垣内/とおがいと】先輩。壁新聞部の部長。教育界の重鎮、遠垣内一族。部室は特別棟三階の生物講義室で数年前の古典部部室。
    【トラブル】里志いわく《乗り越えるべきトラブルがあるなんて、なんて素敵なことだろう!》クドリャフカp.17
    【中城順哉】二年F組の映画の助監督。
    【灰色】里志いわく奉太郎の基本属性らしい。他の色には染まらない。貶めて言っているのではない。
    【パイナップルサンド】喫茶店。焦げ茶を基調とした色合いの静かな店内と酸味を利かせたキリマンジャロが奉太郎のお気に入り。ぼくは酸味のあるコーヒーはちょっと苦手、苦味の強いほうがいい。
    【羽場智博/はば・ともひろ】二年F組の映画の小道具班のひとり。でしゃばりらしい。ミステリ好き。
    【氷菓】古典部の文集の名前。作品名になっているくらいだから当然なんらかの意味が含まれているのだろう。カンヤ祭に向けて発行していたようだ。新たな氷菓の内容は、摩耶花がミューとかナンバーズとかが出てくる古典的マンガについて。おそらく「地球へ…」のことだろう。サトシはいるけどポケモンではないと思う。里志はゼノンのパラドックスについてのジョーク。まあ、それ自体ジョークみたいなもんで言った本人も茶化すつもりやったんやと思うし。。奉太郎は今回たどり着いたことについて書いたようだ。えるが何を書いたのかは不明。
    【フロルベリチェリ・フロル】摩耶花が文化祭でコスプレしたキャラクタ。言われないとコスプレとわからんやろなあ。
    【文化祭】→カンヤ祭
    【ベナレス】葬式の街でひっきりなしに葬式が行われている。ここで死ぬと仙人と同格になれる。土地の言葉ではバナーラシーという感じなんだとか。
    【福部里志/ふくべ・さとし】→里志
    【奉太郎/ほうたろう】主人公で語り手。折木奉太郎。ちょっと賢くて省エネを信条とし動くよりはまず考えようとしやらなくていいことはやらずにすませたい普通の男子高校生だ。
    【奉太郎のわらしべ長者】文化祭で奉太郎が交換したもの。姉からの壊れた万年筆→被服研の演し物の招待券(ワッペン)についていた安全ピン→園芸部の焼き芋の火を消す用の水鉄砲→製菓研の訪販からビスケット二袋と薄力粉→摩耶花がコスプレで使ったハート型のブローチ→姉に戻って『夕べには骸を』。
    【ボディトーク】摩耶花の推す二作品のひとつ。僅差で『夕べには骸を』が勝る。二頭身の猫が随所に登場する。タイプ的にはスラップスティック。
    【本郷真由】二年F組の映画の脚本を書いたが途中で倒れてしまい結末がわからなくなった。
    【摩耶花/まやか】伊原摩耶花。奉太郎とは小学校以来九年間同じクラスになったことがある。ルックスはよく七色の毒舌も爽やかな普通の女子高生だ。「あれ、折木じゃない。久し振りね、会いたくなかったわ」p.49。ちなみに里志に求愛しつづけている奇特な女性でもある。漫画研究会所属だが里志を追っかけて古典部にも掛け持ちで入部。図書委員もやってるようだ。
    【摩耶花のコスプレ】一年生の文化祭の漫研のイベントで摩耶花のしたコスプレは初日が「11人いる」、二日目が「エスパー魔美」、普通の服でコスプレと言い張れるタイプ、三日目が…ちょっとわからない。これまでのからするとけっこうメジャーなんやろうと思うけど?
    【漫画研究会】摩耶花が古典部とともに入っている。河内先輩の周囲に集まる派閥は人数は多くないが発言力はある。摩耶花の周囲には河内先輩に違和感を感じている者たちが集まる。そして少数派の人畜無害な男子部員たちがいる。少数派の男子部員たち。
    【万年筆】奉太郎が姉からもらったおまもり? ペン先が割れて使えなくなっている。
    【ミステリの原則】十戒とか九命題とか二十則とかあるらしい。
    【森下】声が大きく竹刀を藻ったら似合いそうな教師。
    【夕べには骸に】摩耶花が絶賛する漫画短編集。主人公たち入学の前年に文化祭でひっそりと売られていた。
    【湯浅尚子/ゆあさ・しょうこ】漫研部長。猫と縁側が似合うような人。おっとりしてるように見えてなかなかやるー。でも実作はできない。
    【吉野康邦/よしの・やすくに】放送部部長。

  • 「夕べには骸に」の現物の登場から個々の断片だった話がまとまっていくのが気持ちよかったです。作中の「クドリャフカの順番」がどんな話だったのか 私、気になります。

著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

米澤穂信の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×