遠まわりする雛 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 9843
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044271046

感想・レビュー・書評

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  • 古典部の1年を描いた短編集。
    男の子ってずるいよね。
    奉太郎にしても里志にしても、プライドみたいな哲学みたいなものが厚い壁となって自分の前に立ちはだかってる。そして、それを乗り越えるべきではないと思ってる。これが青春なのか。
    えるや摩耶花のほうが先に大人になるんだよ、きっと。

  • 古典部シリーズ第4段。
    基本的には今までのような日常系のミステリなのでが、これまで以上に青春のほろ苦さが描かれているような気がした。
    主人公を始め、登場人物たちは皆、自分の立ち位置をすでに決めているように見える。
    省エネ主義のホータローや気楽さを求める福部里志。
    でも彼らを含めた高校生は、これから先、多くの出来事に遭遇し、良くも悪くも変化していく。
    それが分かるのは大人になってからで、学生のうちはまだ気づかない。
    ただ、それこそが高校時代の楽しさでもある。
    自分もそうだった。
    どこかほろ苦い青春時代を思い出させてくれるような、そんな小説だった。

  • 【再読】何回読み返しただろうか。このシリーズ、生産性のなさそうな会話が大好きなんだよなぁ。淡々としてるのに面白い。あと、それぞれの章の名前も好き。"あきましておめでとう"は、そういうことか!という大きな驚きじゃないけど、ちょっと笑ってしまう、好き。

  • アニメの方を見てから原作を読みたいと何度も何度も思っていて、ついにアニメで描かれていた最終話のところまで読み終えることができて嬉しい。他の古典部シリーズもそうだが、文字を追っていると頭の中に奉太郎達が現れて活き活きと動く感じがして楽しかった。
    自分は読書の習慣がないから一度に纏めて読んでしまうことが多いが、これは短編集で自分の読み方にぴったりだった。どの話も短さとは反対にしっかり条件設定された濃いもので、時間を忘れて読んでしまった。キャラクターも、今まで色んなストーリーで描かれたのを読んで隅々まで知ったつもりになっていたから、意外な一面を見せられてひどく刺激になった。もう一度記憶を消して読み直したい。

  • このシリーズ自体何度も読んでいて、遠回りする雛ももう何度目か分からないくらい読んでるけれど、何度読んでもこの物語は私の中にすっと入ってくる。
    自分の心の中の柔らかい部分に何度も触れてきてくれる。

    あとがきにも書いてらっしゃるけど、この作品はゆっくりと時間が進んでいく。
    大きく何かが変わるわけじゃない。
    でも確かに少しずつ他人ではなくなっていく。
    自分のことを知ってほしいと思う相手ができる。
    話したくなかったことを、話さなくてはならなくなる場面もたまには起きる。
    迷惑もかける。
    その一つ一つに青春がぎゅっと詰まっているように思う。

    自分が何かに迷ったとき。
    自分の中の大切なものを探すため、大切に思っていたものをまた見つけるために私はきっとまたこの物語に帰ってくる。

  • 題になっている、『遠まわりする雛』のラスト2ページが気になって仕方ない・・・。

  • 古典部シリーズ第四弾。
    短編七編。
    特に「あきましておめでとう」が面白かったです。
    エルちゃんとホータローくん、いい雰囲気。
    エルちゃんは天然なので真意は分かりかねますが、ホータローくんは、ね。
    古典部の活動は未だ謎だけど、楽しそうな部活です。

  •  前三作を踏まえると、まさかここまで来るとは思わなかった短編集。
    表題作「遠回りする雛」の春めきっぷりが異常で、つまり、388ページの「ただ俺は、ひたすらに、これはしまった、これは良くないぞと思っていたのだ」が決め手で、終盤がもうドキドキして、もう春か!

  • 古典部シリーズ第4弾。古典部を過ぎゆく一年を描いた短編7作。出会ったばかりのぎこちない距離から一学期、夏休み、二学期、冬休み、三学期、春休みとそれぞれの人間関係、価値観、考え方が変化していく本作が古典部シリーズの中で一番好き。
    特に印象深いのは「手作りチョコレート事件」。里志が伊原のチョコレートを受け取ろうとしなかった理由も、チョコレートをバッキリ割った理由も分からない。ただ「こだわらないことにこだわる」ことにした里志は、自分のポリシーに雁字搦めになって、こうした行動に出るしか無くなってしまった。もう少し単純な思考でいいのでは無いだろうかとも思うけど、それが逆に思春期の曰く「難しいお年頃」が出てて良い。

    私が最初にこの本を読んだ高校生の頃は、この日々は際限なく続いて仕舞えばラクなぁと思っていた(今も学生だからあまり変わっていないかも?)けど、そうか、いつかはこの日々も終わるのか…。彼らと共に成長してきた私も距離感も価値観も変化して、それを巷では「大人になる」というのだろう。激変することもあれば緩やかに変化することもある。私はまだ緩やかで「遠回り」な変化を望みたいな…。ダメかしら…?

  •  短編集!インスタントな謎解きがこれまた面白い、とにかく登場人物達のやりくりが可愛いのなんの。良い読書でした。

著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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