心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」 角川SSC新書 (角川SSC新書 98)

著者 :
  • 角川SSコミュニケーションズ
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047315211

感想・レビュー・書評

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  • メッセージの核心にあるのは、自分の心に対する観察力とそれに伴う集中力を高める訓練をしましょう、ということ。

    「感情表現が豊かな人」というのを日本人は礼賛する傾向にあるけど、感情に振り回されることで人間の精神は容易に崩壊する。人間の心は、放っておくと未来への不安、過去への悔恨に引き裂かれ「心ここに在らず」になってしまう。

    人間の心が、如何に無節操なイマジネーションを同時多発的に、そして絶え間なく生み出しているか、どれほどそれに振り回されエネルギーを徒らに消耗しているか、という指摘に首肯することしきり。

    仏教にも通ずることだけど、結局のところ人間を苦しめてるのは外界の出来事というよりは、人間が心の中で暴走させてしまう内的なイマジネーションなんだという問題意識を、この本を読んで改めて強くした。

    天国も地獄も、結局人間の心の中で作り出されるんだ。

    心を今ここという一点に集中し、イマジネーションの野放図な暴走を抑制すること。その為の自己観察力と集中力を高めること。

    今ここへ、24時間100パーセント集中するのはやはり難しい。しかし、歩くときは右足左足を交互に前に出すという事に集中するとか、息を吸うときに、体内の空気の流れに意識を集中するとか、そういった小さな実践から始めてゆけば良いのだと思う。

    図書館で軽く手に取ったが、予想以上に良い本だったので購入した。

  • 根本的な生き方をどこかで見失っているかも知れない日本人。
    そんな気がすると思ったら、是非一読の一冊。

    心理学に偏りすぎず、精神論にも偏りすぎずの
    バランスの良いアドバイスを見つけ出すことが
    できるはず。

    未来の不安、過去の後悔ではなく「今、この瞬間」を生きる。


    そのヒントが得られた。

  • 精神的に不調で休職していたときに読んだ。作者の考え方のいくつかは、すごく気持ちを楽にさせてくれた。備忘録として下記に記しておく。

    ・過ぎ去った過去やまだ来ていない未来にばかり気を取られず、今に集中すること
    ・心という部屋にはいくつものジャックがあって、どこにつなぐかで気分は全く変わる

  • 2017年43冊目。

    前半のなぜ自殺が増えたのか?論は仮説を並べただけで根拠にかけ、読むに耐えなかったが、中盤から語られる心を軽くする方法はアドラー心理学に精通するものが多く理解できる内容だった。
    次から次へとネガティヴな思想や妄想が頭をかき乱す時は、集中していない時。
    集中力を高め、「今、ここ」に意識を集中させることができれば、ネガティヴな妄想にとりつかれることはなくなるだろう。

  • コミュニケーション自体が人とつながることだというのは大きな誤解である。
    会ったことのない人物、例えばジョン・レノンやガンジーとさえ心の中で対話できる。
    本を読んだり音楽を聴いたり映画を見る、これもつながりであると。

    まさしく金言である。
    絆というものを考えさせられた。

    コミュニケーションを取らなければならない、という強迫観念を捨てる勇気。

    これこそが今を生きる力になる。

  • テレビでおなじみの精神科学者の名越氏が、うつなどにならないように文字通り心を軽くする方法を指南する一冊。

    「言うはやすし、行うは難し」の部分はあるものの、実践的でとても勉強になった。

  • 瞬間瞬間を大切にすることで、心がふっと軽くなる方法をアドバイスする精神科医の先生による一冊。今の時代を生き抜くのに必要な考え方や捉え方が学べるのではないかと読んでみた。本書全体を通して、とにかく「いま、この瞬間」を大切に生きることが大切なのだということ。遠い未来や遥か過去にとらわれすぎてはいけないこと。目の前のことに集中すること。そして、すべては心の中で起こっているということ。それらの大切さを改めて感じることができた。何かとメンタルヘルスが叫ばれる今の時代・社会にあって、目には見えない心のあり方について対話形式で語っていただき、生きるヒントをもらえた気がする。

  • 過去を悔いてひきずるでもなく、未来が不安だと怖がるでもなく、「今、ここ」に集中することが大事。

  • 読んでいると、なるほどね と 納得するところが多い。
    良書。

  • 後ろ向きな意味ではなく私たちは本能や真理みたいなものには逆らえないと思う
    正解を持っているから教えます、という不遜な態度ではなく、生物や真理というものに寄り添い、どうしたらいいのかなと名越先生自身も考えられているように思いました

    特に面白いと思ったところは、
    “幸福は絶対に過ぎ去るもの(それは苦悩も同じ)”
    →これが受け入れられるとだいぶ楽になるなと思いました

    “感情の虜になっている自分を素敵だと大肯定している”
    →感情的であることは素晴らしいという讃美にうんざりしがちなので大納得です

    “大人になっても「相手の視線から、態度から、潜在的に愛情を得たい」”
    →確かにそうだなと 求めるだけではなく与えられる様になれたら素敵

    心理を語る人は自分の作った箱に相手を振り分ける傲慢な印象でしたが
    名越先生は観念に話が及んでいて、観念的な話はどこか宗教のにおいがします
    宗教の本質が徳の理解だとすれば、理由が抜け落ち、形式にすがる姿が
    宗教そのものの価値を暴落させているのだな、宗教自体は本質的には面白いもので
    人間にとって必要なものなのかもしれないなと思いました

著者プロフィール

1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業。大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。主な著書に『驚く力』(夜間飛行)、『自分を支える心の技法』(医学書院)、『どうせ死ぬのになぜ生きるのか』(PHP新書)などがある。

「2015年 『日本の反知性主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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