刺繍する少女 (KADOKAWA新文芸)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048729437

感想・レビュー・書評

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  • (2012.11.03読了)(2004.07.02購入)
    【10月のテーマ・[女性作家を読む]その④】
    短編集です。「野生時代」1994年11月号~1995年8月号に連載。
    平凡な日常の一部が切り取られたようで、特に事件やドラマがあるわけでもない。
    だからと言って、つまらない読み物というわけでもありません。手持無沙汰で、なんか読んで時間をつぶそうかというときに、いいかもしれません。
    「アリア」「ハウス・クリーニングの世界」といったあたりが、好もしいかな。

    【目次】
    刺繍する少女
    森の奥で燃えるもの
    美少女コンテスト
    ケーキのかけら
    図鑑
    アリア
    キリンの解剖
    ハウス・クリーニングの世界
    トランジット
    第三火曜日の発作

    ●ぜんまい腺(61頁)
    「その人が生まれた時授けられた、時に関わりのある情報を、ぜんまい腺はつかさどっているの。時刻、曜日、日にち、期限、時代、過去、寿命、未来……。それらからあなたは解放されたのよ」

    ☆小川洋子さんの本(既読)
    「猫を抱いて象と泳ぐ」小川洋子著、文芸春秋、2009.01.10
    「小川洋子の偏愛短篇箱」小川洋子編著、河出書房新社、2009.03.30
    「カラーひよことコーヒー豆」小川洋子著、小学館、2009.12.01
    「原稿零枚日記」小川洋子著、集英社、2010.08.10
    「妄想気分」小川洋子著、集英社、2011.01.31
    「人質の朗読会」小川洋子著、中央公論新社、2011.02.25
    「言葉の誕生を科学する」小川洋子・岡ノ谷一夫著、河出書房新社、2011.04.30
    「最果てアーケード」小川洋子著、講談社、2012.06.20
    (2012年11月4日・記)

  • 小川洋子独特の、静かで心地良い文体で書かれた短編集。大事件ではない、けれど忘れられないような物事を、とても綺麗に描いている。

  • 勝手に長編だと思っていて、
    なんとなく敬遠していた作品。
    小川さんの長編って、結構怖いので。
    (「ミーナの行進」とか「博士の愛した数式」は好き)

    小川ワールドをほどよく堪能できる 短編集がいいなあ(´▽`)

  • 『森の奥で燃えるもの』には、ぜんまい腺っていう不思議な言葉が出てきます。

  • 日常に潜む狂気と倦怠を描いた秀逸の短編集・・・なんちって。鋭くて残酷で悲しいものがたり達・・・かな?

  • 2007.04. 小川さんの小説と病院は、なんだかとてもよく似合う。静かな空気、消毒液の微かな匂い、隣りに横たわる死。怖くはなくて、読んでいるとひっそりした気持ちになる。

  • 「刺繍する少女」
    これは、ちょっと分からなかったんですけど
    刺繍する少女はもう亡くなっていたという事?
    それとも・・・・
    「森の奥で燃えるもの」
    これはラストがぞくっとしますね〜
    針の光り輝く光沢が、すごく残酷にきらめく
    そんな作品。
    「美少女コンテスト」
    小川さんらしい作品。
    壊れる美少女人形。
    狂気。
    「ケーキのかけら」
    狂った女王さま
    「図鑑」
    寄生虫は寄生が完了すると、目を捨てる。
    そんな一体感の幸せと
    目を捨てるという行為のグロテスクさが光る作品。
    「アリア」
    懐かしさと、人生の無情さをファンタジーに加工した作品。
    叔母の歌声が悲しくやさしく響きました。
    「キリンの解剖」
    これは好きな作品。
    巨大なキリンが朝焼けをバックに見えた気がしました。
    「ハウス・クリーニングの世界」
    クリーニング作業をじっと見つめる女主人。
    近くの部屋から響いてくる赤子の泣き声。
    『この床のシミは・・・のしみ』そのつぶやきが怖い。
    「トランジット」
    これも好きです。
    回転木馬を運ぶ男の隣に空港で座った話。
    私は、祖父の弔いと昔話を確かめに行った帰り。
    人間の思い違い、勘違い、そして思い出の詰まった話。
    「第三火曜日の発作」
    ぜんそくと言う獰猛な動物を飼っている私の義務は
    『ひまわり通信』への投稿。
    そういう毎日の中での、男性との出会い別れ。

    小川さんは長編ももちろん素敵ですが
    こういう、短編は狂気さが光ってすばらしいです。
    ギャーッと叫ぶ訳ではなく
    どろり・・・ゾクリ・・・という感じ。

    そして、ファンタジー色も作品にまんべんなく振りまかれて
    少しグロテスクさが緩和されてはいる。

    でも、それはオブラートでくるんでいるだけなので
    すぐに中身が出てくる。
    グニャリと。

    つくづく面白い作家さんだとおもうし
    興味が尽きないです。

著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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