ゆめつげ

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 939
感想 : 140
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048735599

感想・レビュー・書評

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  • 長編にしては、短い、数日の間の出来事を、濃密に描いたお話。

    幕末の江戸に暮らす、小さな神社ののんきな跡取り息子、弓月は、あまり当たらないが夢告げといって、夢で占いをすることができる。ある日、突然大きな神社の神官が訪ねてきて、夢告げを依頼したことから、得体の知れない出来事に巻き込まれて行く。

    のんきな主人公が、逼迫した事態に真剣にならざるを得ない、という構図は、「しゃばけ」シリーズを思い出させる。
    真面目な弟との対比もよくあるが、ほほえましい。

    幕末の不穏な空気、狂気と、主人公の体を蝕む夢告げの力、両方の不安と緊張にドキドキしながら、あっという間に読み切ってしまった。

  • ただ、夢占いが出来る神官の話だと思ったのだが、殺人事件や隠し子騒動、あげくには政治がらみの紛争へと巻き込まれていく。なんとも以外な話でした。しかし、歴史小説に慣れてないので、名前がいきなり変わる(弓月のことを禰宜と書いたり、彰彦は権宮司とか)のにあたふた。前述した川上さんのように読み慣れないとだめだな。。

    それでも十分楽しく読めた。歴史推理小説のようでとてもよかった。

  • シリーズものでは無い新しい作品。夢告げができる若い宮司が主人公。落としどころが良かった。
    時代の過渡期、それぞれ自分たちはどうしたいのか、信念に基づき行動する人びとが暴走する中「夢告げ」が告げる現実、未来を見せられどうするのか。

  • 神官兄弟の話。夢を告げる事の出来る兄と、それを支えるしっかりした弟。いつも大した夢告げは出来ていなかったのに、その才能を見いられて、本当の跡取りを探すことになる。人間の欲望みたいなものがはたらき、うまく結論を導き出せるのか・・・・、と思いながら読みました。

  • 面白かった。最初はほのぼのしたファンタジー系のお話かと思ってましたが、複雑に思惑が絡んで最後には時代が変わる時の混乱にまで繋がって、一気に読んでしまいました。

  • ニューヒーロー登場?

    弱々しいキャラクターは畠中氏の時代物のお得意でしょうか?
    一応、完結した感はありますが、このまま続いてくれたら楽しいなぁと思っています。

  • 2014.12.6

    文庫版のかわい〜表紙に騙されました

    夢告の出来る "かわい〜幼い神使いの妖?兄弟"が繰り広げるほのぼの楽しい話だと思ってたら、主人公の能天気さで緩和されてるけど、めっさサスペンスだったよ!

    夢告 苦しいよ〜

    お兄ちゃん 頑張ります!!

  • 神官兄弟の兄は夢占いをする。大店の一人息子の行方を占ったことから事件に巻き込まれ・・・幕末の世相も反映して物語は展開していく。

  • 今まで私が読んできた、畠中恵さんの著作の中で、今作が一番緊迫していた気がする。
    江戸から明治へ変わろうとする時代。多分武士も町人も関係なく、この話のように時代の流れに巻き込まれていったんだろうなぁ。

  • 畠中恵作品9冊目

    江戸が東京へと移り変わるさなか、宗教の下にある神職の者すら時代に翻弄される。
    京にある古い社家、神代家の血を遠く引く川辺家の弓月もその神官の一人。
    彼の夢告げの力を頼って、白加巳大社の権宮司である佐伯彰彦が現れる。蔵前の札差をしている青戸家の夫婦が昔火事で見失ったわが子・新之助を探しているという。3人候補が存在しているのでどれが本物か当ててほしいという依頼だった。
    渋る弓月だが、自らの家の傷んだ社を慮り依頼を受け、辻きりに襲われながら江戸にある白加巳大社に参上する。二度三度と夢告げを行う間に、新之助候補の親が二人殺されていく。続いて消えた岡っ引きを探すうちに皆がとらわれてしまい、犯人が辻きりたちであった事を知る。しかも辻きりは新時代を望む浪士だった。それには「望み」を果たさんとする彰彦も加担しているという。
    しかし、新太郎を清吉と見破った弓月が代わりの『約束』を守るという条件で彰彦の助けも使いつつ逃げ出すことができた。彰彦の頼みとは、ともに京へ上り夢告げの力をお上に披露することによりて、官吏に神道を任せようとするのをやめさせるのに助力してほしいらしい。彰彦はお上の都合で神道から手を引けとされるのには我慢がならないのだ。その後の浪人たち攻防の中、弓月は周囲を夢告げに巻き込んで遠い現代までを見通す。その大きな変動を知り、それでも彰彦や弓月の血を引くものが神職に携わっているのも見て彰彦は変化を受け入れようと考える。
    他人をも巻き込む夢告げのせいか、弓月は夢告げをするたびに消耗することがなくなり準備なしに夢告げを行うことができるようになるが、それは秘密にして墓まで持っていこうと決めるのだった。



    …というはなし。
    しゃばけシリーズの作者さんだからと言う事で借りてみたけど、意外や意外しゃばけシリーズより面白かったかも。大社から逃げ出したところで残りページ僅かなのに、京に行こうってどうなるのかと思ってたら、急転直下の展開で驚きだった。夢告げがうまい具合に物語に絡まっていて面白い。軽い推理物のようなかんじが好きだった。

著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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