- Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048735735
感想・レビュー・書評
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久々に読んだ恩田作品。以前からタイトルは気になっていたのだがようやく。
読みはじめたらストーリーにひきこまれ一気に読んでしまった。冒頭の情景描写でまるで金沢みたい、と思ったら、舞台は金沢だった。
多少不満があるとすれば、語りで構成されているのに全て標準語であるという点と、ラストの解りにくさ。少々モヤモヤとしたまま。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
白い夏、白い日、熱にうかされた街で、わたしは死の使いに会った。端正な男。遠い地下の国からやって来た使者に──。
丸窓の屋敷で催された、米寿をはじめとする親子三代の誕生祝い。
その日配達されてきた毒入りのビールやジュースを飲んで、屋敷の住人と親族、近所の人々と子供たち17人が死んだ。
現場に残された白い便箋に記された謎の詩、「ユージニア」。
犯行を告白する遺書を残して自殺した孤独な青年。
ただひとり毒を飲まずに生き残った盲目の美少女。
あの日、見たもの。聴いたもの。知っていた事。それは、忘れられない記憶。誰にも言えない秘密。
歳月を経て語られる、事件に関わってしまった人々の証言が、そうとは知らずに事件の真相に迫ってゆくかにも思えたが、真実は立ちのぼる陽炎のようにゆらめき、事件を追う人々を眩惑する……。
全編を強烈な夏とその色彩のイメージで描くサスペンス。 -
図書館のポップに釣られて借りてしまいました!!
梅雨のような小説
作品から漂ってくる湿った空気みたいなものが、背筋をゾクゾクさせる感じでページをめくる指が止まりませんでした。「ユージニア」
くり -
2011年11月
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「ユージニア」再読了しました。
そんなに期待せず図書館で手にとった本なのですが超没入しました。理由は超シンプル=舞台が金沢だったから。
よっちんの生まれ故郷金沢がステージだったから夢中で読めたというわけではなく恩田睦氏のその文章に引きこまれました。
言葉ってあくまで論理的なもので記号でしかなく、自分の中で記号をイメージとして再構築するという作業が必要なんだけど…。
恩田氏の文章はとても感覚的な文章で引きこまれます。
男は視線で恋をするいきものでセックスなども目が非常に重要な要素を占めますが、対して女性は視線のみならず五感=聴覚・味覚・触覚・嗅覚といったもので感じる生き物だとききますが「ユージニア」はまさに五感に訴えかけてくる文体でした。
金沢の空や空気をしる人間には共感できる表現がちりばめられていました。
犀川・浅野川・武蔵ヶ辻の古書店街など目に浮かぶようです。
よっちんが浅学菲才なだけかもしれませんが
かつて金沢を舞台にしてここまで金沢を表現しきった小説に未だ出会えていないです。
在りし日の金沢の空気感がそのまま文章から再現され、加えてミステリーとしての面白さに引き込まれて結論が早く知りたくて読み急いだら最初肝心なことを読み落としてしまい再読しました。
内容は十七人毒殺という無差別大量殺戮事件です。
さて、ミステリーとしては白黒がつかず「ふわ~」とした謎が残ったまま終わってしまいます。
犯人・動機・事件の経緯が決着はしていないです。
実はまだちゃんと読み切れていないのでもう2回くらい読もうと思っています。
感想としては極めて不完全だよね?
でも最後の一文を引用します。「あの日から続く長い夏を、彼女の、終わらない永遠の夏を」 -
☆3.6
なんだか歪んだ話だった。読めば読むほど、歪みの中に取り込まれていくような。
結局あの事件の真相は・・・?もやもやしたまま終わるので気になる~!個人的には、きっちりはっきり暴いてほしいんだけどなぁ・・・。 -
あの夏、青沢家で催された米寿を祝う席で、 十七人が毒殺された。
ある男の遺書によって、一応の解決をみたはずの事件。町の記憶の底に埋もれた大量殺人事件が、年月を経てさまざまな視点から再構成される。
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久々に読んだ恩田陸の本。
かつて起きた、大量毒殺事件を中心にした物語。まるで誰かと話しているかのような文体。そして章毎に様々な人々によって語られる、事件の裏側。
読後感は、恩田さんの作品らしく、不安定。結局、彼女の死は、事故だったのか事件だったのか。
一気に集中して、ほぼ一日で読了。
ブックデザインをしたのが祖父江槙さんということもあって、全体的に凝ったデザイン。
物語の不安定さを出すために、活字を斜めにするとかフォントを数種類使うとか、紙を薄くして厚さの割に重く仕上げるとか。
恩田さんの作品も、祖父江さんの作品も好きだな。 -
恩田ワールド炸裂といった作品。現実とファンタジーが入り交じった世界感にやられました。恩田さんの作品の中でもかなり読みやすいので、初めて著者の本にふれる人にもお勧めです。
ただ、著者の作品は基本、落ちが弱いというかもやっとした感じが残ります。最後に全ての謎がとけて、点と点が繋がった!という本が好きなかたには合わないかもしれません。