ペンギン・ハイウェイ

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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048740630

感想・レビュー・書評

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  • 森見作品は大好きなんですが、これは合わなかった。
    ひねくれた私は、純真な少年より屁理屈をこねるヘタレ大学生の話の方が好きだ。
    でも「世界の果てが見たい」という少年の気持ちは本当によく分かる。
    私もいまだにそう思っているから。

  • 研究者肌の小学生男子の成長物語。尊敬する父親と、歯科医院で働く大好きなグラマーお姉さん、物静かで気の合う友達ウチダ君、小学生なのに確固たる個性を持った女子ハマモトさん、ジャイアン的な憎みきれないいじめっ子鈴木君、など魅力溢れる登場人物に加え、ペンギンやシロナガスクジラ、空中に浮かぶ水の玉(海)までワクワクするものがたくさん出てきて、とても楽しいお話です。小学校四年生のアオヤマ君の、その世界観がすばらしかった。すばらしかったので、物語のその後とか結着のつけ方は何やらウームと不完全燃焼だったとしても、まぁいいか、と思ってしまいました。森見さんということでちょっと期待し過ぎた自分に反省。

  •  少年の研究に興味をそそられる。
    研究だから記録をする。その視点がなかなかなのだ。
    少年にからむお姉さんがステキ。

     いや、でもものすごくがんばって読み進めた。
    その分は最後の最後で報われた。
    切ないよ!少年。

     きみはどんな大人になるんだろうね。
     

  • なんて素敵なボーイ・ミーツ・ガール...いや...
    ボーイ・ミーツ・お姉さん...な作品なんでしょう!
    そしてなんて素敵なペンギン小説なんでしょう!
    ド名作なんじゃないでしょうか!? 正直言って
    今作が書店大賞じゃなかった事に、大きな疑問を
    感じてしまいます。内容、装丁(表紙のペラも外して
    確認してね)も合わせて本当に素晴らしい!!
    自分は特に森見作品に特別な感情がなかったのですが
    今作は凄い! はっきり言って...全てがチャーミングで
    そして切なく、そして前向きで強い。全てのページから
    夏の匂いや情景を感じられ、この世界観に引き込まれて
    いる自分がいました。

    主人公のボクとお姉さんとの切ない関係とラストが
    最初から漂っていながらも、ボクの精一杯の強がりと、
    その強がりを支える努力と成長が涙ぐましくて、
    可愛くて堪らないです。そんなボクを支えてくれる
    シャイだけど心優しい「ウチダくん」、大人びているけど
    お茶目で可愛い女の子「ハマモトさん」、そして何よりも
    最高に頼りになるし、ボクの全てを理解してくれる
    「お父さん」達を持つ「ボク」は幸せ者だよ。
    「ボク」の初恋にして最大の恋は終わっていない。
    人生を賭して成就させるその恋の為に日々を大切に、
    そして目標を持って、文字通りに一日づつ大人になっていくんだね。

    そして...
    ペンギンの可愛さは神がかってますw。
    ペンギン・イズ・ルール!

  • 森見作品では賛否わかれるようだけど好き
    四畳半〜 夜は短し〜 とは違った淡々とした文体も非常に魅力的。それはきつねのはなしからも分かっていたけど今回も引き込まれた。
    もっと早く読んでおけばよかった

    --------------------
    すこしネタバレ





    森見さんがひと夏の純粋な恋を描くとこうなるんだと感動
    生きていくことや死んでいくことについて考えてたこどものころを思い出した
    アオヤマくんはきっとこの先の人生でお姉さんをとても好きなこと、また会いたいと思っていることについて嬉しくなったり悲しくなったり果てしない虚無感に襲われたり暖かい気持ちになったりするんだろう
    アオヤマくんがこれこらの人生の友として道連れにしていくもの。そしてなお広がる人生への希望が輝かしくて、がんばれと言いたくなる。

  • SFだけど童話のように無垢で不可解。でも怖いこと、心配なことは起こらず、具現化された不可解もペンギンとか可愛い形でしか現れないので、誰にでも安心して薦められる本。

    あと終わり方が綺麗だし感動的、小説のお手本のようだ。
    冒頭をリフレインしつつお姉さんだけを失ってしまった町。そこで語られる主人公の希望に満ちた決意。頑張れよ少年…!とぐっと来た。
    また同時に、ここを読むまであくまで一少年の物語としか捉えていなかったのが、急に普遍的な男性の人生の壮大なメタファーなのかもしれないと思えた。
    もしかしたら男は皆少年時代に憧れた理想のお姉さんを胸に抱きながら生きているのかも、と。

  • 最後がいい。なんか小学校ってどんなだったかなって思い出したりして懐かしくなった。宇宙の果てとか、家族も自分もいつか死ぬこととか、最初の生き物はどうやってでてきたのかとか、無ってなんなの、とか小学校の頃いっぱい考えて違和感を持っていたことを思い出させてくれた。夜中に宇宙の広がりの番組を見て怖くなってお父さんとお母さんを起こして理由も言わず大泣きした日を思い出しました。頭でっかちに知識をつめながらも無理矢理納得してきたことをもう一度子供の視点でかき回されてすごく不安になったけれど、ひとつひとつ読んでいくうちにすっきりしていく。アオヤマくんのお母さんとお父さんが偉大です。

    世界の果てを見るのは悲しいことでもある。

    世界の果てなんか知らないけどそれでも、すとん、と落ちてくる言葉。泣かないと決めた大人びた少年がお別れのときさえ泣かない様子はなんだか代わりにこちらが泣いてしまいそうになった。歯医者さんも海の街も海辺のカフェも素敵だなぁ。

  • とてもカシコイ小学生と歯医者で働いているお姉さんの物語。
    ある街に突如ペンギンが現れる。なんでペンギンが?僕はペンギンの謎を解く研究を始める…という話。

    すごく良かった。
    と言っても、森見さんらしい空想、妄想がてんこ盛りなので
    じっくり読み込んだ!
    というよりもふわふわと不思議な空想の中を漂っていた感じ。
    僕(アオヤマ君)のキャラクターも好きだし、登場人物がみんな好きになった。
    飄々としていて、別に悲しい終わり方じゃないはずなのに、読了後に胸をきゅっと、やさしくつかまれたかのような切なさがこみあげてきた。
    他の人にもお勧めしたい。
    この本の良さが分かる人とは仲良くなれそうな気がする。

  • ソーダ水越しに見る景色みたいにキラキラした夏のお話。
    ふわふわしたファンタジー要素と少年たちのかわいさで
    女の子ウケが良さそう。
    私も女だけど、イライラしたらおっぱいの事を考えよう。

    思ってたより切ないラストにきゅんとなった。
    アオヤマ少年が大きくなったら、「黒髪の乙女の研究」を
    やりだすんじゃないかとちょっと心配。

  • 森見登美彦節を残しつつ、でも小学四年生らしく、らしからず、風景や風やその情景が伝わってくる丁寧な描写がとても柔らかく、好きな文体です。
    好奇心旺盛で努力家でそして少し鈍い小学生の男の子と、不思議で、ずるい大人で、魅力的なお姉さんの間に流れる時間が羨ましくてたまらないです。
    アオヤマくんは実に素敵な仲間に恵まれていて、ラストのシーンなんて映画みたいで疾走感がすごくつたわってきてスズキくんが「走れ!」っていうところなんて!映画のジャイアンがいい奴になる展開じゃないか!と(笑)
    少年よ、そのまま大きくなれ!とおおきな声で叫びたくなるすがすがしさ、そして恋の、純粋な想いの無垢な気持ちがひしひしと伝わってくる最後の文章にぐっと胸が苦しくなりました。

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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