爛れた闇の帝国

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.32
  • (7)
  • (26)
  • (29)
  • (10)
  • (3)
本棚登録 : 181
感想 : 39
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048741385

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2011/03/27読了

  • ああっ!

  • 面白かった!好き嫌いがわかれそうだけど、私は好みだった。深く考えずに勢いで読めるのに、読後の充実感たっぷり。
    異形のものが出てくると聞いて「SFみたいになってしまうのか……?」という懸念があったのだが、その心配は不要だったかなと思うほど、その異形は話のスパイスとなり、最後にその正体が現れた時は魅力的だとさえ思えた。
    どうなるんだろう?という気持ちが終始やまず、一気に読んでしまった。兵士の世界の正体がわかり、2つの世界が重なった時からの流れは実に巧妙だった。
    エログロ、と言われるようなシーンがある。でも前者はまだ耐えられるようなものだったし、寧ろ物語の持つ気味悪さに拍車をかける役割を果たしており、後者は平山夢明「DINER」を読んだ私には大丈夫だった。拷問描写もそこまで痛くない。
    それよりも目を背けたかった――なのに目を離せなかったのは、どんどん展開していく後半、そして終盤、正矢が絵美子の家に行ってからの場面だ。
    ここからネタバレなので注意!そして文体崩れ……
    --------------------------------------------------------------------------
    いやあ滅茶苦茶だった!滅茶苦茶なのに話はしっかりしていて、読んだ後、はあ~っと大きな息をついてしまった。加速して、そのままの勢いでの〈了〉。
    人間が汚すぎてもはや笑えた。関本家恐ろしいオエェ。母親オエェエ。
    晃一にすっかり騙された信じてたのに^^ 私の知っている頭のおかしい登場人物NO.3に入ると思う。私がヒくって相当だぞ晃一^^^^
    兵士の章も良かった。いやまさか現代だとは思っていなかったのでこれもすっかり騙された。尚人の穏やさが安心するような、でも最後はその穏やかさが不気味だった。不気味な穏やかさ好き。
    正矢の爛れた闇の露呈具合も絶妙だったんじゃないかな。尚人に会って目覚めるのではなく、目覚めた所で尚人と出会う……そこからのあのエンド^^^^^^ 読後1日経ってもどうなったのだろうとモヤモヤしてます、が、変に綺麗に終わるより良かった。
    最初にも言ったけれど、勢いで読めて読後充実感たっぷりなので、また読みたい!

  • 粘膜シリーズも読んでますが、相変わらずぶっ飛んだ内容、展開で面白かったです。

  • 「人の体を一皮めくればグロテスクな臓物が詰まっているように、人の心だって一皮めくればグロテスクな感情が詰まっているんだ。後はそれを晒し出せるか出せないのかの違いしかなくて、君のお母さんは晒し出せる人だったってだけさ。人間の心の奥底にはね、必ず爛れた闇が潜んでいるんだよ。どんな偉い人だって、どんな立派な人だって、例外なく潜んでいるんだ。僕も、そして君もね。」

    献本であたりました。
    以前読んだ『粘膜蜥蜴』に比べて、現代に近づいたのと異形のものが現実感薄いだけで、

    結構リアリティのある物語だったかなぁーと。
    その意味では、怖い、かもしれない。
    けれど、なんだか、中途半端感も。
    そもそも、なんで、尚人と正矢の二人の意識が出会うようになったのかとか、あまり説明なかったなぁ。。。
    最後の方は、もう異形のもんが出てきちゃうから、なんだか、リアリティなさ過ぎて、ホラーって言うか、なんだか、笑ってしまいそうでした。

    途中までにあった、人間の恐ろしさ、みたいなのは、そのとおりだと思うし、
    はっきり言って怖かった。
    ゾクリとはきました。
    気持ち悪いのはしょうがないなぁ、と思いつつ、ページを閉じたのでした。

    【1/25読了・初読・個人蔵書】

  • 独房に監禁され拷問を受ける兵士、親が学校の不良と付き合い出した高校生、交互に語られる二つのエピソードが互いに関連しはじめ……。
    粘膜シリーズに比べるとグロさは少し控えめながらも、その鬼畜さは健在。巧妙な語り口や見せ方で演出された意外性のあるラストも見事。

  • 『粘膜〜』シリーズは色んなヒトにすっごくススめられてもあまりの気持悪さに手を出せずにいたのだけど。とうとうこの世界に足を踏み入れてしまった…うげー! 精神と肉体と、いったいどこまで叩きのめされたらヒトは生きていく力を失うのだろうか…時代も場所も異にした二つの出来事。高校生と兵士、二人が受け続ける精神的肉体的苦しみがあまりにも酷すぎて思わず鳥肌が立つ。それでもなお読む手を止めることができない、この特異な世界。これは飴村行ならではのもの。 交互に語られる二つの真っ暗な闇のような、おどろおどろしい恐怖が詰まった話が突然一つに繋がったときの衝撃。ヒトとして生きていくことが恐ろしくなる展開に、のめりこんで読み続けていた。

全39件中 31 - 39件を表示

著者プロフィール

飴村行 1969年、福島県生まれ。東京歯科大学中退。2008年『粘膜人間』で第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞。デビュー第2作『粘膜蜥蜴』で第63回日本推理作家協会賞を受賞。特異な作品世界で注目を集める。著書に『粘膜兄弟』『粘膜戦士』『路地裏のヒミコ』『粘膜黙示録』『ジムグリ』など。

「2018年 『粘膜探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

飴村行の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×