武器としての決断思考 (星海社新書)

著者 :
  • 星海社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385016

感想・レビュー・書評

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  • 僕が普段から思っていることをそのまま言っていて、『そうだそうだ!』と共感しました。

    最後の引用はその通りで、自分で考えて行動し、結果をフィードバックして、それを基に再考して行動に移す……この循環が大切なんです。
    でないと、自分の人生なのに、他人任せの人生になってしまいます。『それって本当に自分の人生なの?他人の奴隷じゃん!』って言いたくなります。
    そうならないためにも、独り善がりにならず、他人との距離感をいい具合に取って、自分の行動に責任を持たなくてはなりません。
    けど、大人になったら勝手にそんな思考になるはずもないわけで、小さい頃から訓練していかないといけません。何となくですが、そういった自己の意思決定は、日本では浸透していないように思えます。
    長渕剛の曲『Captain of the Ship』にあるように、
    『お前が舵を取れ!』
    『お前が決めろ!』
    という場面で、つい他人の顔色を窺ったりその場の雰囲気に流されたりして、自分の主張ができない人が多い。
    だけど、自己主張が強すぎると周囲との関係が悪くなるので、そのさじ加減を忘れないようにしなければならないのは当然です。

    ロジカルシンキングの強みは根拠があるから、ですが、それを上回るのが感情で、『だって嫌いなんだもん!』とか、『やりたくない気分だからやらない』とか言われてしまうと、理性ではとても太刀打ちできません。

    『根拠のある自信は、根拠が無くなると自信も無くなるが、根拠のない自信は根拠がないので、自信が崩れることはない!』
    『成功率なんてただの目安だ。あとは勇気で補えばいい!』
    の名言のように、時に理性に頼らず感情に任せる方が良いこともあります。ロジカルシンキングは重要ですが、一方でパッションも忘れてはなりません。
    僕の評価はA-にします。

  • 武器としての決断思考とは、物事の決断を行うにあたり、ディベートの手法を取り入れるというものである。

    ディベートとは、ある命題に対して個人的見解に関わらず、肯定側・否定側に別れ、肯定側は命題を是とした時のメリットを第三者に論証し、それに対して、否定側はデメリットを論証していくゲームである。

    本書は、ディベートの基礎的なルールの紹介から始まり、「就職活動を続けるべきか否か」を命題として肯定側のメリットに関する立論・否定側のデメリットに関する立論及び肯定側のデメリットに対する反論・否定側のメリットに対する反論を例題として展開させ、最終的にそれらを比較することで、ディベートを意思決定に役立てるための、プロセスを判りやすく説明している。
    ****
    2020/01/02再読
    [本を読むことの効用のうち、考え方を学べる本]
    本書は、決断するための思考法をディベートという手法を使って学ぶことができる本である。

  • 「僕は君たちに武器を配りたい 」の著者による新書。
    「僕は君たちに武器を配りたい 」と同時に刊行されたらしい。
    あまりに「僕は君たちに武器を配りたい 」がよかったので、
    こちらも読んでみました。

    本の内容は、自分の頭で考え決断できるようになるように
    ディベートのやり方を説明した本。
    右と左のどちらに進むのかを考える「武器」を通じて、
    自分の頭で考え決断する力を養います。

    本の中にある例題を通じて、自分なりの答えを考えながら読めば、
    結構、頭に汗をかく思考の訓練になります。
    2011年にクリティカルシンキングの勉強をしたので、
    こういう「考える系」の本も毎月少しずつ読んで、
    頭が錆びないようにしていきたいと思っています。
    日々、練習あるのみ。

  • 道筋はロジックで。
    でも最終的な決断は主観に宿る。
    だから人間は個性的でいられるのかな。
    AIが人間を超えるとしたらそれはAIが主観を持ったときなんだろう。

  • 論旨明快。
    演繹、帰納、因果関係がわかっただけでも充分な価値があった。

  • ディベートという言葉は知っていましたが、どういうものがディベートなのかを知るのに良い本。これを身に付けられれば武器になると思う。
    特に議題を決めるためのプロセスはなるほどと思えた。

  • 高校の読書感想文の題材として、当時ちょうど父親から読むように薦められていたため読んだ本。決断方法について、ディベート方法を駆使しながら指南する内容。これを実践すれば、裸の利益衡量的な行き当たりばったりの選択は避けられるかなとは思う。人生の岐路における選択が、結局のところ直感や感情によって選ぶこととなること自体は否定されていない。ただ、その前段階における、順序だてて物事を考える上での指針となる内容であったから、後々振り返った時に決断に後悔することはなくなりそうだし、自分の選択に責任と自信を持つ根拠となりえそう。

  • 決断がどうこうではなく、良くできたディベートの解説本という印象。

    前作をすっ飛ばして読んでいるので、次はそちらを読もう。


  • 第一章 問題を具体的にする。
    →イシューを明確に定める。

    ★イシューの条件
    - [ ] 二者択一の問題
    - [ ] 結論が出せる
    - [ ] 本質的な問題


    第二章 メリデメを比較する

    ★メリットの条件
    ①内因性
    →その行動によってメリットが生まれる
    ②重要性
    → 真に解決しなければならない理由
    ③解決性
    →行動によって解決するのか

    ★デメリットの条件
    ①発生過程
    →選択によってデメリットが生まれる過程
    ②重要性
    →真に解決しなければならない理由
    ③固有性
    →選択前には起きていない問題


    第3章 反論する
    →相手側の主張に反論する。

    ★反論の極意
    反論は提示されたメリット(デメリット)に対して、本当にそうなのかを問う。


    第4章 正しい主張

    ★正しい主張とは
    ①主張に根拠がある
    ②根拠が反論に耐えた

    ★根拠の3タイプ
    ①演繹法
    ②帰納法
    ③因果関係
    →因果関係の注意点
    ・因果が逆(時系列で判断すべき)
    ・相関関係との混同
    ・特定の原因だけを見る

    第5章 情報収集術
    →一次情報、原典にあたれ。

    ★情報収集の注意点
    ①全てはポジショントーク
    ②根拠に着目する

    第6章 決断する

    ★決断の比較要素
    質×量×確率

    ・自燈明
    自分の意見と考えを持ち、自身で行動を決めること。

    ・修正主義
    現時点での仮説を経て、検証の上、修正していく思考法。

    ・必要条件と十分条件
    事象に必要な個別要素が必要条件。必要とする全体を十分条件という。

    メモ
    ・インタビューは舐められたもん勝ち
    インタビューでは、バカを装え。
    なぜなら、知的ぶると相手は警戒して、情報を開示してくれないから。

  • ディベートのハウツーを通して、不透明で変化の激しい未来を生き抜くのに必要な、自分で答えを出す方法を教えてくれる本。
    ディベートのハウツー部分はさらっと読んでしまいましたが、個人的には以下のような前置きとなる部分に共感。

    ・エキスパートではなく、物事を俯瞰して見て価値を提供するプロフェッショナルを目指せ。
    ・「計画の時代」は「カードの時代」にシフト。最大のリスクは変化に対応できないことであり、変化に応じたカードを切れるようにしておきべき。
    ・この世に正解はないけれど、議論によって複数の視点を取り込むことで、「いまの最善解」を出せ。
    ・刻々と状況やルールが変わる世界において、「ブレないこと」自体に価値はなく、修正主義でいけ。

    ディベートの手法を用いた意思決定もぜひ取り入れてみたいと思う。

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著者プロフィール

京都大学客員准教授、エンジェル投資家、教育者。1972年生まれ。麻布高等学校、東京大学法学部を卒業後、大学院をスキップして直ちに助手に採用。専攻は民法。任期終了後は学界に残らず、マッキンゼーへ入社。3年で独立し、多額の債務を抱えていた日本交通の経営再建などを手がけながら、エンジェル投資家として極めて初期段階の企業を15年以上にわたって支援し続ける。京都大学では教育、研究、産官学連携活動に従事。「意思決定論」「起業論」「交渉論」の授業を担当し、人気NO.1若手教官として「4共30」講義室を立ち見に。各界において意思決定を先導するリーダーを育てることを目標に、選抜制の「瀧本ゼミ」を主宰。著作物やディベートの普及活動を通して、次世代への教育に力を入れていた。2019年8月10日永眠。

「2022年 『瀧本哲史クーリエ・ジャポン連載集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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