タテ社会の力学 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061455009

感想・レビュー・書評

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  • 105円購入2011-04-09

  •  先行する『タテ社会の人間関係』がスタティックなら、こちらはダイナミックな視点だと著者。なお、巻末には短めの対談も収録している。
     ゆくゆくは、(本書をベースに)韓国社会との対比を考察した本を読みたい。
     2009年には文庫化。
    http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000211436


    【簡易目次】
    はじめに
    第一部 個人と集団――小集団の特性 011
    1 個体認識について 012
    2 小集団所属 021
    3 類別集団における個人と集団 040
    4 ネットワークと個人 052
    5 小集団における特色ある人間関係 078
    6 小集団的思考と行動様式 094
    第二部 集団と集団――隣接する諸集団のメカニズム 
    1 軟体動物的構造 110
    2 権力でなく圧力 125
    3 エスカレートする隣接集団間の動き 138
    4 性能のよい連続体 147
    付記1 理論と変化の過程――社会的諸現象の理解とその方法について 168
    付記2 タテ社会論からクラゲ論へ 177


    【目次】
    はじめに(一九七八年一月五日 ニューデリーにて 中根千枝) [003-006]
    目次 [007-009]


    第一部 個人と集団――小集団の特性 011

    1 個体認識について 012
      民間信仰的な個人主義
      生物にとって個体とは何か
      個人は細分化される――インド
      一体化の強調――日本

    2 小集団所属 021
      場を共有する小集団
      小集団の構成
      理想的サイズ
      変動する関係
      註
      個人参加ではない
      かたく閉ざされた家の枠
      恒久的な血縁集団
      一戸から一人
      悲劇的な「仲間はずれ」
      セクションごとの孤立性
      集団間のルール

    3 類別集団における個人と集団 040
      派閥・系列の発生
      リーダーシップの差
      ルールの重み
      「なんだって俺だけが――」の論理
      破戒僧への制裁
      註
      あくまでも小集団帰属
      限られた「二つの顔」

    4 ネットワークと個人 052
      タテのネットワーク
      限定されたネットワークの範囲
      中国人的ネットワーク
      「甘え」と「信頼」
      日本人に対する違和感
      家族関係の位置づけ
      東南アジアにみられるネットワーク
      脆弱ながら安定
      すべては個人プレー
      排他性をもつ地域社会のネットワーク
      システムとしての大きな違い
      ネットワークとタテ関係の対照
      紹介状の濫発が意味するもの
      紹介状の重み
      潜在意識の中の「タテ」

    5 小集団における特色ある人間関係 078
      人物評価の基準
      大きな意味をもつ職場での接触
      全人格的参加を要求
      小集団ではリーダーの権力行使はできない
      儀礼的な序列
      タテ組織の潤滑油
      人と人とのなじみ合い
      トップも小集団を形成している
      側近政治はなぜ起こるか
      一番強い現場監督
      タテ社会と服従

    6 小集団的思考と行動様式 094
      非礼と慇懃無礼
      わがままと辛抱強さ
      許容される自己顕示欲
      反論を楽しむインド人
      形式主義の適用
      中間形態のノーマルな行動様式
      無差別平等主義
      集団のかくれ簑


    第二部 集団と集団――隣接する諸集団のメカニズム 

    1 軟体動物的構造 110
      諸集団統合のカテゴリー
      相対的順位
      潜在的なタテ関係
      隣接し、なじみあう集団関係
      同質の部分から構成される連続体
      ヒトデに似た運動法則
      刺激への反応と伝達のプロセス

    2 権力でなく圧力 125
      責任を明確にしえないメカニズム
      意思決定のプロセス
      権力は存在するか
      権力は「悪」か
      権力ではなく圧力
      権力ではなく権威
      
    3 エスカレートする隣接集団間の動き 138
      選挙違反と法
      接待行政の根
      悪の許容限度
      法的ではなく力学的な規制
      
    4 性能のよい連続体 147
      観念と現実のあいだ
      ファッションとしての評論
      じゅずつなぎの連続体
      中流意識の実態
      法意識の対比
      法規制ではなく社会的規制
      小集団規制の効用
      変化に強い社会環境
      原則のない国
      動的法則性


    付記1 理論と変化の過程――社会的諸現象の理解とその方法について 168

    付記2 タテ社会論からクラゲ論へ 177

  • 『タテ社会の人間関係』(講談社現代新書)が日本的集団主義の特質をスタティックに記述したのに対して、本書はそのダイナミズムを分析することに焦点が当てられています。

    著者は、日本人の「タテ社会」が、ルールに基づいて誰もが入ることのできるような集団ではなく、小集団における「タテ」の関係に基づくパーソナルな関係が積み重なって更生されていることに目を向けます。その上で、全体の頂点に立つリーダーは、その成員の全員に対して命令を下すことのできる権限は持っておらず、むしろ小集団同士の力学を調停する役割が期待されていることや、一部の小集団の動きに引きずられるようにして全体の意思決定が進んでいく独特の運動法則が明らかにされます。

    いくつかの興味深いエピソードが語られていますが、どちらかと言えば抽象的なモデルについての議論に終始しており、やや具体性を欠くような印象を持ちますが、集団主義の一つのモデルとして、それなりにおもしろく読めました。

  • (1997.07.23読了)(1982.06.19購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    日本では法よりも社会的規制によって人々の行動は律される。『タテ社会の人間関係』で著者が提示した「タテ社会」というモデルを動かすメカニズムを、全人格的参加、無差別平等主義、儀礼的序列、とりまきの構造など、興味深い事例で解明、日本社会のネットワークを鮮やかに描き出す。外的変化に柔軟に対応する軟体動物的構造の再認識に国際化の扉は開く。

  • 小学生の頃から、国語の(授業ではなく)テストが好きで。評論の文章が好きなんですね。「ああ、大人のテストする側の人は、こういう文章が面白く感じるんやね」とか余計なことを考えていたかも知れない。

    そんな子供が大人になるとやっぱり本質は変わってないようで。四択から正しいものを選びなさいという長文問題の出典を、いやらしく覚えておいて前後の文章も見てみたい的なリファレンス。

    てっきりこの評論は男性が書いたものだとばかり思っていましたが著者は1926年東京生まれの女性。ロンドン大学で社会人類学を出ておられるというのを見て納得。凄く科学者然としてるもんな。

    昭和53年の内容ですが古臭さは皆無。世代間と甘え、慇懃無礼と非礼、集団隠れ蓑、反論を楽しむインド人など、テーマのフレキシブルさからは、マルコム・グラッドウェルを彷彿させてくれる一冊でした。驚き。

  • クラゲ。わかる気がする。70年代からそれを思った人が居たのか。

  • 500

  • 「日本のさまざまな集団は、不必要になった成員を排除していくオートマティックな方法を持っている。」

  • 日本人の大集団は小集団の集まりである、というのが印象に残った。

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