イスラームとは何か〜その宗教・社会・文化 (講談社現代新書)

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  • / ISBN・EAN: 9784061492103

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  • 【メモ】
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    “クルアーンが語る、神と使徒と共同体の根本原理と、その実践。イスラーム理解が拓く、世界への新たなる視点。”

    【目次】
    序  「イスラーム」の発見へ 008

    第1章 新しい宗教の誕生 013
    1.1 イスラーム登場の衝撃
    1.2 イスラーム以前のアラビア半島
    1.3 無明時代
    1.4 ムハンマドの誕生
    1.5 ハーシム家の保護
    1.6 ムハンマドの家庭生活
    1.7 掲示の始まり
    1.8 預言者としての召命
    1.9 掲示の現象をどう考えるか
    1.10 マッカ期の布教
    1.11 移住の決断
    1.12 イスラーム国家の成立
    1.13 マディーナ憲章
    1.14 軍事的な対立
    1.15 最初の戦役
    1.16 続く戦役
    1.17 アラビア半島の統一

    第2章 啓典と教義 047
    2.1 自然の象徴
    2.2 詩人への挑戦
    2.3 言葉の魔力
    2.4 クルアーンの構成
    2.5 啓示の下り方
    2.6 聖典の確定
    2.7 クルアーンの構造
    2.8 イスラームの根本原理
    2.9 諸予言者たち
    2.10 天と地の間で
    2.11 宗教共同体
    2.12 垂直軸と水平軸
    2.13 五行
    2.14 カーバ正殿
    2.15 神と人間をつなぐもの
    2.16 六信
    2.17 使徒の役割

    第3章 共同体と社会生活 087
    3.1 イスラームの町並
    3.2 預言者のモスク
    3.3 アザーンの始まり
    3.4 礼拝の方角
    3.5 アカバの誓い
    3.6 社会革命
    3.7 ムハンマドの妻たち
    3.8 結婚制度について
    3.9 ムハンマドの死
    3.10 リッダ戦争
    3.11 正統カリフの治世
    3.12 マディーナ時代の終わり

    第4章 第二の啓典ハディース 117
    4.1 学者の対決
    4.2 ハディースの重要性
    4.3 偽造の背景
    4.4 ムハッディスの反撃
    4.5 伝承者の人物調査
    4.6 「七教友」
    4.7 大学者の時代
    4.8 「真正集」のハディース
    4.9 暗記の文化
    4.10 ハディースの総数

    第5章 知識の担い手たちと国家 145
    5.1 教会組織のないイスラーム
    5.2 「知識を持つ人」
    5.3 教友の中のウラマー
    5.4 ウンマ(共同体)の力
    5.5 共同体の合意(イジュマー)
    5.6 「類推」解釈と「一般規定」解釈
    5.7 法学派の始まり
    5.8 四台学派の祖たち
    5.9 私人としてのウラマー
    5.10 大法官アブー・ユースフ
    5.11 剣の人、筆の人、職の人
    5.12 法学派の役割

    第6章 神を求める二つの道 177
    6.1 「宗教」について
    6.2 神学者たち
    6.3 ヘレニズム的な正義論
    6.4 アシュアリーの登場
    6.5 中興の祖
    6.6 ガザーリーの悟り
    6.7 神を求める道
    6.8 現世的傾向への反発
    6.9 神秘家たちの系譜
    6.10 教団組織の発達
    6.11 伝統的イスラームの形
    6.12 ブハラの情景から

    第7章 スンナ派とシーア派 207
    7.1 分派と指導者
    7.2 ムハンマドの後継者たち
    7.3 「立ち去る者たち」ハワリージュ派
    7.4 アリーの党派
    7.5 カルバラーの悲劇
    7.6 シーア派の誕生
    7.7 アッバース朝の登場
    7.8 アッバース朝カリフの位置
    7.9 シーア派の主導権争い
    7.10 「正統派」スンナ派
    7.11 指導者原理と平等主義
    7.12 シーア派のイマーム論
    7.13 歴史と真理の関係
    7.14 隠れたイマーム
    7.15 その後のシーア派

    第8章 黄金期のイスラーム世界 241
    8.1 黄金期はいつか
    8.2 領土の広がり
    8.3 バグダートの栄華
    8.4 カリフ制と官庁
    8.5 分派の黄金期
    8.6 カイロの建都
    8.7 スンナ派の確立期
    8.8 イスラーム世界の拡大
    8.9 オスマン朝の隆盛

    第9章 現代世界とイスラーム 261
    9.1 黄金期の喪失
    9.2 前例のない危機の様相
    9.3 自己を問う
    9.4 『固き絆』の輝き
    9.5 行く手を照らす『灯台』
    9.6 自身の回復
    9.7 スルターン・カリフ制の崩壊
    9.8 アイデンティティーの分裂
    9.9 植民地の独立と脱イスラーム
    9.10 領土国家の問題
    9.11 クルド人の悲劇
    9.12 パレスチナ問題
    9.13 聖地をめぐる戦い
    9.14 イスラーム復興の背景
    9.15 法学者の統治
    9.16 不幸な過剰反応
    9.17 イスラーム復興の諸段階
    9.18 新しいイスラーム的諸制度の模索
    9.19 イスラーム民主主義
    9.20 クルアーン解釈の革新

    あとがき 299

  • 借りたもの。
    初心者がイスラームを知るための入門書として、歴史から紐解いている。
    同じセム系一神教であるユダヤ教、キリスト教との違い、相互の認識についても簡潔に書かれ、分かりやすい。そして読み応えがある。
    読み進めると、イスラームは宗教でありながら現実主義で、教養溢れるものだった。

    当初口承であったというコーランに、正しく継承されているか疑念があった。しかしアラビア語が音の言語(表音文字)であり、耳と口で安定して伝わる文化であるという指摘は、目から鱗だった。

    イスラーム原理主義の過激派によるテロリズムの影響で、排他的な一神教のイメージを強く持ってしまっていた。この本を読むと、かつてイスラームの国家には法律にも他の宗教を認め、共存する共同体精神があったようだ。
    それを読むと現在のテロに一層の嫌悪感と、共存への希望を抱く。

  • イスラームとは何かが詰まりに詰まってて結構疲れるのでゆっくり読みました。イスラームについて私は超初心者ですがそれでもすごくわかりやすかった。

  • イスラームとはなにか。それがコンパクトにまとまっている一冊。なぜイスラム過激派が出るのか?イスラーム圏を旅行した人が言う、その旅行者への一般の人からの優しさはどこから来るのか?わかるとおもう。

    本書ではイスラムの成り立ちから、現在の問題点まで書いており、新聞やTVニュースではわからないイスラームの側面を深く掘り下げた上で、知ることができる。

    イスラーム=テロという間違った視点を捨てることができた上に、ユダヤ教から続く一神教という新しい視点を得られて、良い本だった。

    また、イスラームを知ることで日本の宗教性を自覚することもできた。読了後しばらく日本の神社の鳥居が異質なものに見えた。比較することは重要であると認識。

  • イスラームの成立から現代に至るまでを生き生きと描いて感動すら覚えさせる書

    [配架場所]2F展示 [請求記号]080/K-4 [資料番号]2001100713

  • 911前だが、非常に基本的な知識が得られる。実は大学の講義のテクストで買ったものだが、当時よりもずっと興味深く読める。

  • イスラームについて成り立ちや、現代(といっても書かれたのは20年前ですが)までの歴史的な経緯など、かなり詳しく深い内容が、コンパクトに平易に書かれています。データを並べるだけの本と違い、印象的なエピソードが挟まれていてとても読みやすかったです。

  • やや総花的で読みにくい印象。テーマを絞り込まずに、新書で語ろうとするのはさすがに無理があるか。初期の歴史を辿るには良い本だと思います。

  • 世界史でならった王朝名とか人名以外、まったく知らない世界だっただけに、「発見」が多くおもしろかった。
    日本から見て、イスラームとは、ちょうど地球の反対側にある文明。

    読みやすい文章と読み進めやすい構成で、ラクして勉強になった。
    とくに、イスラーム登場以前のアラビア半島では武力以外に「詩の戦い」が部族抗争の手段になっていた、というのがおもしろく感じた。
    そういった土壌があって、クルアーン(コーラン)の美しい「言葉」がイスラーム勢力の急速な拡大につながった、というのもおもしろい。

  • メジャーな宗教の中身に一度は触れてみたいなーと思い
    聖書を読んだり仏教関連の本を読んでみたりしていたけど、
    イスラム史的な本はとっつきにくく思っていたら、
    この本を薦めてもらった。良書でした。ありがたや。

    政教一元的な世界観、同胞同士の水平軸と神への垂直軸。
    クルアーン(コーラン)のほかハディースと呼ばれる
    おびただしい数の「第二の教典」、詠み上げる文化。
    ユダヤ教、キリスト教から続くセム系一神教の系譜。
    初めて知る視点がたくさんあって面白かった。
    熱いのに客観的な視点とたまにあるユーモアがよかった。

    「後世の学者たちは何か難解な議論に出会うと『アシュアリー派の
    運命獲得論のように難しいですなぁ』と冗談を交わした、という。」
    というくだりには、それ言ってみたーい!と思ってしまった。

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著者プロフィール

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授。専門は、イスラーム学、中東地域研究、比較政治学、国際関係学、比較文明学。
 1953年生まれ。北海道夕張市出身。1983年エジプト国立アズハル大学イスラーム学部卒業。1984年国際大学大学院国際関係学研究科助手、1985年国際大学中東研究所主任研究員・主幹、1990年英国ケンブリッジ大学中東研究センター客員研究員、1997年国際大学大学院国際関係学研究科教授などを経て、1998年から現職。2006年より同研究科附属イスラーム地域研究センター長併任。京都大学・法学博士。1986年流沙海西奨学会賞、1994年サントリー学芸賞、2002年毎日出版文化賞、2005年大同生命地域研究奨励賞を受賞。2005〜2011年日本学術会議会員。
 思想史においては7世紀から現代に至るアラビア語で書かれた史資料を用いた研究をおこない、現代に関してはアラブ諸国とアラブ域内政治を中心に中東を研究し、さらに近年は広域的なイスラーム世界論を展開してきた。また、日本からの発信として「イスラーム地域研究」を歴史研究・原典研究と現代的な地域研究を架橋する新領域として確立することをめざしている。
【主な著書】
『現代中東とイスラーム政治』(単著、昭和堂)、『イスラームとは何か─その宗教・社会・文化』(単著、講談社現代新書)、『ムハンマド─イスラームの源流をたずねて』(単著、山川出版社)、『「クルアーン」─語りかけるイスラーム』(単著、岩波書店)、『イスラーム帝国のジハード』(単著、講談社)、『現代イスラーム世界論』(単著、名古屋大学出版会)、『イスラームに何がおきているのか─現代世界とイスラーム復興』(編著、平凡社)、『現代イスラーム思想と政治運動』(共編著、東京大学出版会)、『イスラーム銀行─金融と国際経済』(共著、山川出版社)、『岩波イスラーム辞典』(共編、岩波書店)、『ワードマップ イスラーム─社会生活・思想・歴史』(共編、新曜社)、『京大式 アラビア語実践マニュアル』(共著、京都大学イスラーム地域研究センター)、Intellectuals in the Modern Islamic World: Transmission, Transformation, Communication(共編著、Routledge)、Al−Manar 1898−1935 (監修、京都大学COEプロジェクト、アラビア語『マナール』誌・CD−ROM復刻版)他。

「2011年 『イスラーム 文明と国家の形成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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