詩的私的ジャック (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061819412

感想・レビュー・書評

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  • 何もかもが格好いい一冊。まず今作で特に魅力的なのは、人間の心の推移や変化、感情など人間の内的な部分を、非常に理系的な視点から描いているところ。自己分析の場面が多く、その人間の価値観を基に自己を論理的に定義しようと努める場面や、人間の(もしくは自ら)の心情や思考、感情や感受の仕方に対して、理由や根拠を常に考察しようとする場面が多い。自分にはない発想や、逆にあてはまると思える心理的な考察が登場人物各々なりに整頓されて明確に描かれているため、読んでいて息を呑むフレーズばかりだった。特に今回は、萌絵が20歳前後ならではの悩みや、アイデンティティがモラトリアムにぶつかる場面がリアルに描かれており、天才の多い作品の中で人間味や心の奥深さを味わえる。犀川先生との関係も見どころ。いつの間にか家に行く関係になっていて驚いた。
    トリックも面白い。ダイナミックな装置やあまりに専門的な分野に踏み込んだ前作たちとは異なり、今回は工学部に属する彼らにぴったりの「工学」らしい事件だったので、もちろん分からない知識はたくさんあったが、それでも萌絵の視点に立ってリアルに感じながら楽しんで読み進められる。表面は意味不明なのに蓋を開けてみれば単純、といった推理が本当に面白いし、犯人の動機もわたしは個人的に好きだった。言葉の使い方、表現方法、登場人物たちの独特な個性。すべてが素敵。
    「英語で言える?」はもう秀逸。

  • 既読
    文庫版

  • 面白さは体感してナンボ。「人間だけが非生産的な行為に価値を見出す」わけです。

  • S&Mシリーズ第4作
    これまでの3作と違っていきなり遺体発見でびっくりした。
    萌絵ちゃんの葛藤と奮闘の回…かな?
    二人の今後の展開が気になる。

    犀川助教授の“一番計算の速い人格”が今回出てこなかったのがちょっと残念。個人的にあのくだりが好きなんだけどなぁ。

  • 下世話な言葉で言えばこういうのをヤンデレというのか……あと読み返してて思い出したのが、巻末の解説が最悪ってこと。本作までのネタバレを含みます、的なことが冒頭に書いてあるけど、シリーズ通してネタバレの要素があるので、完結まで読んでない人は解説は読まない方がいいと思う。

  • 「いいかい、気持ちなんて伝わらない。伝えたいものは言葉でいいなさい。それが、どんなに難しくても、それ以外に方法はない。」

    確かに。

    日本は「察する文化」とも言われるけども、

    それはそれで日本人の美徳。

    でも、言葉っちゅうのはホント不思議な力持ってるよなー

  • ダブってるけど。。。
    私ほんとはノベルスでしか読んでないから。

    再読。

    この本は手元に置くべき。
    歌詞が殺人に関係していることもあってか
    言葉に関する名言がかなり出てくる
    雰囲気も好き。

    「甘えているね。相手の思考を楽観的に期待する状況。これを甘えているというんだ。」

    「言葉は言い回しじゃない。内容は伝えないとね。それが言葉の役目だから。」

    個人的には
    「英語でいえる?」
    も好き。
    それにしても篠崎さんも頭いいなぁ・・・

  • S&Mシリーズ4作目。相変わらずの密室殺人です(笑)まぁ、本当はミステリーファンじゃない僕なので、事件より主人公二人の会話を楽しんでます。しかしまぁ・・文系なので理系的考察って分らん(^^;
    かなり無責任な決め付けが多いのに、騙されて納得してしまう。さすが、国立大助教授・・まだ教授に昇格してないのかな?
    今回は萌絵ちゃんが素直だったので、評価アップ(笑)

  • S&Mシリーズ 4

  • 「すべて、素敵なイーコールのために」

    何がすごいといって、この犯人には明確な「密室を作る理由」というのがある。
    ミステリファンならばすぐに察しがつく「ジャックになった理由」との組み合わせ方も美しい。

著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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