占星術殺人事件 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.81
  • (661)
  • (685)
  • (926)
  • (65)
  • (19)
本棚登録 : 5157
感想 : 634
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061833715

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 裏表紙のレビューには「怪事件は、ひとりの画家の遺書から始まった。その内容は六人の処女から肉体各部をとり、星座に合わせて新しい人体を合成するというもの。画家は密室で殺された。そして一か月後には、六人の若い女性が行方不明!奇想天外の構想、トリックで名探偵御手洗潔をデビューさせた、衝撃的傑作。」と書かれています。

    と、まあ 文体としては読みながら、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ調だと薄々感じながら、巻末には著者がシャーロック・ホームズに書かれている とあります。やっぱり、と思いながら読了しました。
    乱歩・横溝といい、海外の古典本格推理小説の手法を踏襲しています。なんだか、初めて読んだ作品なのに懐かしい感じがしました。「ベーカー街に住むイギリス人は・・・」なんて出てくると、おのずと連想されますね。
    勿論、古典探偵小説をざっくり読んだ経験から分かることかもしれないが、初めて読む人にも十分楽しめる作品だと思う。

  • 画家の梅沢平吉が自宅のアトリエで密室のなか殺された。その遺書には若い処女から体を一部分づつ切り取り、それらを合成して完璧な肉体を持つ女性「アゾート」を作成する旨の内容が書かれていた。その後梅沢の娘である6人の姉妹が体の一部を切り取られた状態で遺体となって各地で発見される。猟奇的かつ怪奇的で不可解な点も多い「占星術殺人事件」。数多くのミステリー好きが40年来真相が解けず、迷宮入りとなっていたこの事件に、占星術師の御手洗潔とその親友の石岡和己が挑む。

    1つの事件を中心に謎が謎を呼び、どこか鬱蒼とした重苦しさに包まれた全体と、事件が交錯したような怪奇な事件の数々に、頭を整理しつつも先の読めない展開が続く。なんといってもみんな怪しい。そんな暗然とする事件に挑むのは変わり者の御手洗と生真面目な石岡の2人。憎まれ口を叩き合いながらも少しづつ核心へと迫っていく2人は作品のなかで良いクッションになった。
    テレビドラマなど他作品にも影響を与えたミステリー。切なさもあるが、最後の最後まで気が抜けない。
    島田荘司氏デビュー作。

  • 島田先生は読者に一緒に謎を考えてほしいみたいですが、推理する気のまっくない私には、前半の長さは正直辛かったです。が、後半のトリック解決では、なるほどね!と納得。あんなの絶対思い付かない!!この解説のために300ページがあったのね!と前半の辛さが一気になくなりました。犯人当てたるぞと思って読む人はもっと楽しめてるんじゃないかと思います。めげずに読みきってよかった。探偵役の御手洗さんの奇人っぷりもよかったです。犯人当てとかできないけど、続きも読みたいです。

  • 今更ながら、島田荘司の名作を読了。
    もう20何年前の作品ながら、トリックは圧巻でした!
    「え〜〜〜っ」と言いながら、トリック解説のページを何回も読んじゃいました。
    ホント、名作です!

  • 序盤の手記は読みづらく、その後も長々と続く状況説明がまどろっこしいので少し苦戦した。
    犯人はなんとなく分かったけど、一連のトリックに気付けなかったのは悔しい、、

  • ある男の六人の娘が行方不明となり、体の一部が切り取られた惨殺遺体となって発見されました、、、

    純粋なトリックを使ったミステリーです。

    ミステリー好きの私にはたまらない作品です。
    (読プロ現役学生:ポール)

  • デビュー作でこの内容というのは、その後の作品を読むまでもなく凄い作家だ。とにかく、裏をかかれ続けている。話の展開だけでなく、歴史や地理、はたまた怪しげな占いまで網羅しているのには、厭きれてしまう。

  • 現代ミステリーの人気投票では必ず上位に来る作品。私も『十角館の殺人』からのAmazonさん紹介で購入。

    発刊当時、隆盛を極めていた社会派サスペンスに一石を投じる形でトリック重視のミステリーという新たな潮流を作った。こうした超名作ミステリーの宿命として漫画『金田一少年の事件簿』で「アゾート殺人事件」のトリックがオマージュ(まんま?)されていたので衝撃は少なく、むしろ世間の評判で期待値が上がってしまっていたため「これがトリック?」とやや物足りなさを感じてしまった。(本作品のせいではない)

    本書は御手洗の(一瞬だけの)鋭い切れ味もさることながら、石岡の素っ頓狂な行動描写に多数を割いているところも面白い(御手洗が「それは関係ない」と言い放つ件は石岡と我々読者の努力を一蹴する小気味よさがある)。またプロローグとエピローグの構成が良く、最後はミステリー特有の哀愁で締めくくられる。

    トリックが有名になり過ぎた弊害は否めないが、ミステリー作品として非常に面白かった。

  • 『こうやって毎日星の動きを追っかけながら暮らしてるとね、この惑星の上でのわれわれのささいな営みのうちには、虚しくなってしまうような種類のものが、いかにも多いのさ。

    その最大級のやつが、他よりも少しでも所有の量を増やそうとするあの競争だ。あれにだけは、どうにも夢中になれない。

    宇宙はゆっくり動いている。ちょうど巨大な時計の内部みたいにだ。われわれの星も、その隅っこの、目だたない小さな歯車の、そのわずかな歯の一山だ。

    僕ら人間なんてのはそのてっぺんに住みついているバクテリアといった程度の役どころだよ。

    ところがこの連中ときたら、つまんないことで喜んだり悲しんだりしながら、ほんのまばたきみたいな一生を大騒ぎしながら送ってるのさ。』

    もはや古典的名著となっているが、ようやく読んだ。想像以上に素晴らしい作品だった。
    御手洗シリーズ、読みたいなぁ〜。

  • 「異邦の騎士」に続く御手洗潔作品。やっぱり御手洗潔はいい。
    40年前に起きて、今まで誰も解くことができなかった「梅沢家・占星術殺人事件」の謎を石岡さんと解いていこうとする御手洗さん。威張った態度の竹越刑事に1週間で謎を解いてみせると言ったものの、強度のうつによりスタートでつまずいていた御手洗さんはなかなか推理が進まず・・・。
    梅沢平吉の手記が読みにくくて時間がかかったけど、二人の友情がよくわかり、犯人にまた竹越文次郎氏に対する御手洗さんの優しさもよくわかる素晴らしい作品でした。

全634件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島田荘司の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×