七年目の脅迫状 (講談社文庫 お 35-2)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061837553

感想・レビュー・書評

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  • 1年振りに競馬場へ現地参戦。往復の車中の友をこの本にする。
    「焦茶色のパステル」「あした天気にしておくれ」と読んできた岡嶋二人の競馬三部作の三冊目(出された順番は前出の二冊の間)。

    中央競馬会に不正レースを強いる脅迫状が届き、これを看過した結果、北海道の牧場でサラブレッドが馬伝染性貧血(伝貧)の犠牲になった。
    犯人を見つけ出すべく密命を帯びた中央競馬会保安課員・八坂心太郎は北海道へ飛んで…といったお話。

    伝貧については、私はテンポイント(の祖母のクモワカ)の物語で初めて知った(競馬ファンの多くがそうでないかと思う)。
    JRAのサイトによれば2017年に国内の清浄性が確認されたと書いてあり、発病馬の出現も中央競馬の現役競走馬に限れば1978年が最後のようだが、それでも全馬5年に一回は検査が義務づけられているというから、今でも恐ろしい病気には違いない。
    この本が書かれた1983年当時としては結構な脅迫の材料であっただろう。

    お話はと言えば、八坂と保険会社の調査員・佳都子がひょんなことから協力し真相を探っていくことになるが、脅迫状と7年前に起こった伝貧騒ぎが絡んで背後関係や人間関係がとても複雑で、おかしな人物がウロウロしていたり関係なさそうな人物が挙動不審だったり犯人でも気づいていないことがあったり、最後にはそれら簡単ではない伏線がきれいに結びつくのだが、正直、二人の行動について行くのが精一杯だった。
    競馬の場面や折角の北海道なので牧場の風景がもっとあったら良かったなぁ。

  • 競馬馬が故意に感染症に感染させられていく事件を追う話。

    岡嶋二人なので内容はソツないんだけど。
    事件を追いかけるうちに浮かび上がる7年前の事件、こういう「実は○年前の事件が」っていう展開が個人的に好きじゃない。読者からするとなんかアンフェアだから。
    あと、主人公の非の打ち所のない有能さ、なのに見合い写真で見ただけの女と偶然顔を会わせたら超親しげに近づいていく感じも、好ましくなかった。

    主人公が警察でもないのに関係者に事情聴取して、結構情報を引き出せるのも、なんだかな~、と思ってしまった。ま、まだ個人情報にうるさくない時代だからね。

  • 2012年4月16日読了。岡嶋二人の2大テーマ「誘拐」「競馬」のうち「競馬」を取り上げたミステリ。競馬協会が何よりも恐れる「伝貧」(馬の伝染病)をネタとした脅迫状が届き、保安部の八坂は北海道の放牧場の調査に入るが・・・。「競走馬への保険」とその詐欺にからむ殺人事件、とは知識のない身には思いつかない素材だ。競馬のうんちくに謎の女とのロマンスなど器用にまとまってもいるが、人物の関係が若干つかみづらいのと、結局主人公が聞き込みを繰り返してうろちょろしている間に事件が解決してしまった、という印象をストーリーから受けてしまうのが残念か。

  • 珍しく途中から犯人がわかり、かつお見合い相手といっしょに事件解決、という設定があまりにも出来過ぎていて、岡嶋作品としては今一つの印象。

  • 競馬三部作の二作目。知識が無くても楽しめるのは前作と同様です。様々な人物の思惑が絡んだ複雑な事件の構図が緻密で、良く出来ていると思います。意表を突く真相も驚きがあって、最後まで読ませる作品でした。

  • 岡嶋の競馬者の馬に対する愛着みたいなものが感じられない作品。面白いのだけど、必死さとか好感とかが無い感じ。

  • デビュー作に続き競馬ミステリです。
    おうまさん好きやったらもっとおもろいんかしら。
    デビュー作のがおもろかったです。

  • 2004年1月18日読了

著者プロフィール

岡嶋 二人(おかじま・ふたり)
徳山諄一(とくやま・じゅんいち 1943年生まれ)と井上泉(いのうえ・いずみ 1950年生まれ。現在は井上夢人)の共作ペンネーム。
1982年『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。86年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞を受賞。89年『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞を受賞。同年『クラインの壺』が刊行された際、共作を解消する。井上夢人氏の著作に『魔法使いの弟子たち(上・下)』『ラバー・ソウル』などがある。

「2021年 『そして扉が閉ざされた  新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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