作品紹介・あらすじ
人間は空を飛べるはずだ、と日頃主張していた幻想画家が、四階にあるアトリエから奇声と共に姿を消した。そして四日目、彼は地上二十メートルの電線上で死体となっていた。しかも黒い背広姿、両腕を大きく拡げ、正に空飛ぶポーズで。画家に何が起きたのか?名探偵御手洗潔が奇想の中で躍動する快作集。
感想・レビュー・書評
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奇想天外!
謎解きは、可能性が全く0でなければ、「あり得る!」と僕には面白く読めてしまう。
現実界でそれが本当に実現可能か?
そこまで僕には分からない。
読んで、「おおっ!」と思えるかどうか、それが総て。
【謎の概要】
①山高帽のイカロス
地上数十メートルの電線の間で飛ぶような格好で死んでいた画家と・・・。
②ある騎士の物語
秋元静香と4人のバイク便の男たち。大雪で交通手段が遮断されていた夜、彼らの恨みを買う1人の男が十数キロ離れた場所で射殺されていた。
③舞踏病
家族に頼まれ老人に二階を間貸ししたが、この老人が夜になると狂ったように踊り出す。
○近況報告(4話目)
これはミステリーではなく、御手洗潔シリーズを愛読する人へのファンサービス。
フォロワーさんのレビュー「斜め屋敷の犯罪」を読んで、週1程度は無意識に眺めているこの作品の背表紙を思い出し、19年ぶりに手に取った。
面白かった。
フォロワーさん、ありがとうございました。すみません。
本作はシリーズ6作目(あゝ・・・)なので、次、島田荘司さんを読むときは、「占星術殺人事件」(1作目)を読むことにします。
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御手洗シリーズ5作目。
解説の話も含む、4つからなる短編集。
今の時代じゃ鑑識でわかるレベルの謎が多い。
最後の話は御手洗ファンブック的な内容でした。
やっぱりホームズっぽいな。
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想定外のトリック満載の短編で楽しかったです。御手洗と石岡くんの家の間取りが紹介されていて笑えました。
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山高帽のイカロス
ある騎士の物語
舞踏病
近況報告
の4編からなる短編集。あぁ、やっちまった。短編集だった(-"-;
短編集はとても苦手で、なかなか進まない・・・。
御手洗潔ならいけるか!?と思ったが、やっぱり私には短編集は合わなかった(^-^;
しかし、彼の謎解きは短編でも鈍ることなく、快刀乱麻の手腕は健在!
余りに鮮やか過ぎて、あっけなさを感じてしまう程(^-^;
やっぱりダメだ。短編では謎解きのスピードも速すぎてついていけない。。。
長編でじっくり堪能したい。
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完成度とトリックの面白さが抜群な傑作集。日本のホームズだなぁ、と個人的には思いました。
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おもしろかった。
タイトルの「御手洗潔のダンス」、どんな意味があるのかなと思ったらほんとに踊ってて笑ったわ。
どれもおもしろかったけど、「山高帽のイカロス」と「ある騎士の物語」が島田荘司らしい派手なトリックで面白かったな。
派手でギョッとするようなトリックに物語をつけて面白く読ませるの、島田荘司ならではって感じ。
「山高帽のイカロス」
電線に引っかかった「空飛ぶ男」の死体が見つかって…っていう話。ロープ!電車!「疾走する死者」を彷彿とさせる。
「ある騎士の物語」
バイクの使い方!妙にローカルな話だなと思ったけど、なるほど武蔵野線…。あの手紙の臨場感、冒険感おもしろかった。すごい。
御手洗の女性観みたいなものは興味深かった。
それにしても石岡君は美人が好きだね。既婚者でも、自分に気がなくても、年齢が幾つでも、ただ「美人」を拝めるだけで嬉しそうなのが面白い。「自分のものにしたい」みたいなのがあまりないからいやらしさを感じさせないのかな。
「舞踏病」
よく歯に詰め物ってわかったなぁ!いやすごいわ御手洗。やっぱ天才。
浮浪者へと浅草署の2人への接し方との違いとか、また御手洗の人となりがわかったかな。
最後の医療界への見解とかもなるほど御手洗らしい。
「近況報告」
びっくりした。え? 薄い本とか笑ったわ……こんな……すごい。間取りとか、まさかだわ。
犬との付き合いなんかはなるほどね!
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御手洗潔という人物とその性格を知るにはちょうど良い1冊
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2018.5.12
御手洗シリーズ5作目。短編2作目。
まだ5冊目か・・・っていう気分。読み疲れ。
御手洗シリーズぶっ通しで読んできたけど、一旦脱線して、森博嗣を読んでみたら、まあスラスラ読めること・・・。ミステリは総じて読みづらいと思っていたけど完璧勘違いだった。御手洗シリーズが読みにくい部類ということがここにきて判明した。言い回し?説明の長さ?とにかく森氏は会話が多くて文章も短いことに比べて、島田氏は圧倒的に文章が長かった。社会派色が強いことも要因。
今作を読み終えて、うっすら気づいていたけど私はその社会派な部分を御手洗シリーズに求めいていることがわかった。
バカミスと呼ばれているけど、御手洗の性格や感性を発揮するには奇妙奇天烈な事件が必要。御手洗を通じてガツンと来る島田氏の社会的思想を読みたいから、読みにくいことを承知で次作以降も読まざるを得ない・・・。
前置きが長くなった。以下本書内容。
★山高帽のイカロス
空飛ぶ人間の絵を描く画家が空中で死んでいた(電線に乗って)。電車に引っかかっていた片腕。結局犯人の犯行不手際による偶然の重なりで複雑になってた。散らかった要因が回収されるところが気持ちいい。
★ある騎士の物語
オタサーの姫。姫の敵討ちにトンネル内線路をレースカーで爆走。犯行時間のアリバイとなる。姫は犯人を知らず(感づいてるかも?)。悲しませる系で微妙。このシリーズたまにこういうのあるな。異邦とか数学錠とか。感動雰囲気好きじゃない。
御手洗が最後、姫に言う辛辣な発言は好き。レビューでこういう女嫌い意見多かったけど私は姫別に悪くないと思った。
★舞踏病
夜になると踊りだすおじいちゃん。事件の説明が難しい。歯に隠したダイヤモンドを探すため、息子と偽った犯人が痴呆じいちゃんに探りを入れる。ホームレスと戯れる御手洗にドン引きしてる石岡くんの描写が可愛すぎた。本気で萌えた。石岡君に。
医療現場に対する社会派発言あり。薬の過剰摂取。
★近況報告
島田氏のあとがきだと思って読み始めたら違った。石岡君の近状報告だった(笑)。普段の御手洗の様子。とはいえ期待のあとがきと同じく、島田氏の社会派発言炸裂で楽しめた。戦争、国家間問題など。とにかく話長くて難しい。読みづらいわあ。
舞踏病が一番好きかな。2人の御戯れが微笑ましくて(笑)。
ところで前作まで石岡君のことをボロクソ言ってたと思うけど、今作で一気に株爆上がり。石岡君かわええ・・・
石岡君の態度が変わったわけではないと思うけど・・。急に。ここまで読んでよかった。
御手洗シリーズは今作まで根気よく読んでもらいたい。
刑事の相変わらずの胸糞っぷり。イカロスと舞踏病に出現。
シリーズ一旦休憩。
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この本を読むのは2回目だが、「舞踏病」以外の他の3編は内容を憶えていた。実はよく考えるとこれは凄い事で、これは如何にこの短編集が自身にとって印象深かった事を須らく証明していることになる、のだが、「今」読み終わった感想としては、いささか荒唐無稽に過ぎる内容だなと認めざるを得なかった。
しかし、「ある騎士の物語」のセンチメンタリズムは今なお健在だった事、「近況報告」の難解さは久方振りの頭脳労働を楽しめた事を付記しておこう。
これは偽らざる感想なのだから。
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名探偵御手洗潔の活躍を描いた短編集。詳しくは知らないけど初期の作品との事。
一発目から空を飛ぶという奇想な不可能犯罪で興味を惹かれた。最後のオチも良い。
2作目のトリックも豪快だが、こちらに関しては女性のサガみたいなのを描きたかったのかなと思わされる。1番読みやすく印象的だった。
著者プロフィール
1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。
「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」
島田荘司の作品