今夜、すベてのバーで (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061856271

感想・レビュー・書評

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  • 7/8 読了。

  • らもさんの本は、巻末の山田風太郎先生との対談で山田先生がおっしゃったように、きちんと資料に基づいて書かれていて、真面目だ。尚且つ、ヘソ曲がりで、物凄く頭がいいのに、ダメ人間の匂いがプンプンしていて、ダンディで、面白い。
    私は読みながらフムフムと、らもさんの本特有のウンチクを楽しめるタイプなので、この本もとても楽しんだ。
    自己の体験を語るだけでもリアリティ溢れるものだけど、ああいうウンチクが楽しめるのは、単に説得力持たせの意味合いだけではなく、らもさんがそのウンチクを理由はともかく(笑)必要として、自ずと文献を調べて自分のものとしていた事を感じるからだと思う。
    自分はまだ大丈夫だと笑う為に、アル中について勉強して、それを肴に酒を呑むって!!(笑)衝撃。
    「中毒者でないものが薬物に関して発言するとき、それは「モラル」の領域を踏み越えることができない。」
    中毒者としてのプライドが所々かいま見えて、それもまた面白い。
    アル中および、アル中になりかけている人、アルコールや何かに依存することで自分の中でぽっかり空いた何かを埋めようと、中毒者になっている人に読んでほしい本。

  •  退屈がないところにアルコールがはいり込むすき間はない。アルコールは空白の時間を嗅ぎ当てると迷わずそこにすべり込んでくる。あるいは創造的な仕事にもはいり込みやすい。創造的な仕事では、時間の流れの中に「序破急」、あるいは「起承転結」といった、質の違い、密度の違いがある。(p.52)

     アル中の要因は、あり余る「時間」だ。国の保障が行き届いていることがかえって皮肉な結果をもたらしていることになる。日本でもコンピュータの導入などによって労働時間は大きく短縮されてくる。平均寿命の伸びと定年の落差も膨大な「空白の時間」を生む。
    「教養」のない人間には酒を飲むことくらいしか残されていない。「教養」とは学歴のことではなく、「一人で時間をつぶせる技術」のことでもある。(pp.131-2)

    アルコールに依存している人間なんてかわいいもんだ。血と金と権力の中毒になった人間が、国家に依存して人殺しをやっているじゃないですか。連中も依存症なんですよ。たちのわるいね。依存のことを考えるのなら、根っこは、“人間がこの世に生まれてくる”、そこにまでかかっているんだ。(pp.237-8)

  • 実体験から生み出されたアルコール依存症のお話。
    肝臓がやられるまで飲み続ける本人の背景や、周囲の人の苦悩。
    最後はスッキリできる終わりだった。
    いつか、私もバーで牛乳を頼めるのだろうか。

  • 作り話かと思いきや巻末で半分は体験記だと知る。
    アルコール中毒の詳細な説明が不要だった。人が壊れる様と復活する様は読んでいて面白い。

  • 「教養」とは学歴のことではなく、「一人で時間をつぶせる技術」のことでもある。

  • お酒って恐い

  • 日本一面白いエンタメ小説の1つ、「ガダラの豚」の中島らもによるアル中小説。
    つまり半自伝小説。

    アル中、ドラッグ、心理学のウンチク満載。
    自説語って、雑学こんだけブチこんで、なんでこんなに面白いのか。
    間違いなくダメ人間小説なのに、青春映画のような爽やかな読後感。
    なぜだ。なぜなんだ。
    いいか、面白いから。素晴らしかった。

    そしてお酒には気をつけようってなる笑
    いや、ぼくも弱性アル中ですね。
    反省します。

    飲み方まちがったら、酒なんてドラッグとおんなじだ!
    ってのが、らもさんの主張です笑

  • もう一度読みたいと思う本が時々有る。この本もその一つ
    奇才中島らも氏の自伝的アルコール依存の本だが、我々も日常何か負の物に依存することが有るが、それから脱却するのは大変だと思う。主に、意志の弱さからなのだが.....
    もう一冊著者の作品で再読したいのが有る

  • 共感した。でも読み進めるのが少しだるい部分もあった。

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞を、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年、転落事故による脳挫傷などのため逝去。享年52。

「2021年 『中島らも曼荼羅コレクション#1 白いメリーさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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