警視の隣人 (講談社文庫 く 32-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061859616

作品紹介・あらすじ

ジャスミン・デントの死体からは多量のモルヒネが発見された。前の晩、自殺を思いとどまることを、そして残された時間を肺癌と闘いながら生きつづけることを、仲良しのメグに誓ったばかりなのに。多額の生命保険金を狙った犯罪か。だとしたら全員に動機がありそうだ。大好評キンケイドシリーズ第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公ダンカンの隣人が死体となって発見される。致死量を超えたモルヒネが検出され肺癌末期で余命いくばくもない彼女が何故?ダンカンの人に対する気持ちの優しさが沁みます。

  • ジャスミンの孤独が自分と重なって、深い海の底に沈んでいくような感じだった
    謎解きがそのまま人物の人生を解き明かしていくような〜
    このシリーズはどれもそんな気がする

  • 警視キンケイド・シリーズの第二作。

    2作目で警視の私生活を明らかにしてしまって、
    今後の展開は大乗なんだろうかと、
    余計な心配をしてしまったが、
    とても面白かった。

    (前作も休暇中の事件だったので、
    私生活と言えば、私生活だったが)

    2階の部屋のテラスからは北部ロンドンの街並みが見え、
    半地下の部屋の老人が手入れしてくれる美しい庭があり、
    1階の病身の女性ともプライバシーを保ちつつ交流する。
    素晴らしいお住まいだ。

    女性は肺がんを患っており、キンケイドは度々見舞っていた。
    その死は病死かと思われたが、大量のモルヒネが体内から見つかり、
    キンケイドが捜査をすることになる。
    自殺なのか、殺人なのか。
    弟や、元仕事仲間の女性やその恋人、階下の老人との関係が、
    明らかになっていく。

    仕事仲間の女性が悪い男を手を切って、
    弟と付き合う展開は全く予想していなかったが、
    良かった。

    若い頃、老女と働いていた女性が、
    ロンドンに行って仕事で成功した彼女を妬んでいたが、
    田舎で平凡な生活を送っていた自分の人生を見直すところも。

  • 警視の誠実な人柄に惹かれる。ジェマとの恋愛も少しづつ進展しそうな気配が感じられた。イギリスの景色が目に浮かぶような描写に引き込まれる。ジャスミンの部屋の佇まいも居心地が良さそう。このシリーズは大切にゆっくりじっくり読むことにしよう。

  • キンケイド警視シリーズの2作目。1作目を読んだときにはとてもクラッシクな感じと現代的な雰囲気が巧く融合した作品だと思ったが、今回は作家の円熟を感じる。通常このような展開はシリーズが回を重ね定着してきたところで、趣向を変えてといった感じで出てくるような展開。キンケイドの隣人が死亡してその過去から現在まで関係者たちの背景が丁寧に描かれている。ミステリでなくてもこういった展開で作品が成り立つのではないかと思えるほどだ。逆に推理や最後の謎解きは本当に付け足しのように最後の15ページ位くらいで決着してしまう。3作目ではどんな展開を見せてくれるのか楽しみだ。

  • ジャスミン・デントは、病に冒された身体と長い間、向き合ってきた。病気が自分にもたらす苦しみや痛みから逃れる術を求めながらも、アパートメントの窓から見える、美しい一日の終わりに、心動かされる。隣人のダンカンは、今日も部屋のドアをノックして来てくれるだろうか? 彼の訪問を心待ちにしている自分に気付く。こうして、静かに自らの時間を過ごしていたいと思っていたはずが、彼女には、再び、目覚める朝は来なかった・・・。ジャスミンの遺体を発見したダンカン・キンケイド警視は、彼女の死が、病死ではない思いを強める。では、いったい、誰が何のために、余命短い彼女を死に至らしめたというのか? キンケイド警視は、早速、捜査を始めるが・・・?◆キンケイド警視シリーズ2作目です。シリーズの中で、私が一番好きな作品です。隣人として付き合っていた女性の死に向き合い、その死をきっかけに、彼女の過ごしてきた人生とも向き合うことになったキンケイド警視。1作目では、まだ表現されていなかった、彼の優しさが滲み出ている作品だと思います。キンケイド警視とともに、ジャスミンという女性の人生を探り、彼女の記した日記を元に、彼女の過去に触れていくにつれ、切なさが溢れそうになります。こういう細やかな描写は、女性作家ならではかな、と思います。切なくて、哀しい、そんな味わいのミステリです。

  • 警視キンケイド・シリーズ第2作。

    末期がんに侵されていたキンケイドの隣人が亡くなった。病死と思われたが、遺体から致死量のモルヒネが見つかる。自殺か他殺か判然とせず、捜査が始まる。

    この著者は女性の描き方がうまい(男性は類型的)。特に印象的なのがジャスミンで、冒頭で亡くなってしまうものの、彼女の日記や人々の思い出話のなかに鮮烈な足跡を残している。前作ではそのよさがわからなかったキンケイドだが、本書では優しい人柄がにじみ出ていて好感度アップ。

  • シリーズ二作目。
    キンケイドの階下に住む孤独な女性が亡くなる。末期がんだった彼女は自然死だと思われたが、不自然さを感じたキンケイドは独自に捜査をはじめる。

    あいかわらず女性全般に優しい警視ですが、1作目よりは控え目で紳士的でした。ジェマとの関係は進展なし。

    古本で続刊をもう1冊入手してるのですが、あいだにもう1冊続きそうなので調べてから読む予定!

  • 三月は深き紅の淵を

  • 尊厳死を望んでいた末期癌患者である隣人の死に疑問を持ったキンケイドはジェマと共に捜査に乗り出す。

    死者の関係者は少ないものの、誰もが動機を秘めているように思える。
    関係者一人一人と話をして、そして死者の残した日記を読み、その人生をなぞっていく。その様子が丁寧に書かれている。
    偶然に頼りすぎているところもなくはないけれど、それが気にかかるほどではない。
    前作に比べてジェマの描写が増えていて、彼女が生き生きして見える。それがキンケイドとの関係にも興味を持たせることに。
    このシリーズはきっと謎解きではなく捜査過程を読ませるものであろうから、犯人と動機がおまけのようなのは仕方ないかな。
    それがわかっても十分面白かった。

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著者プロフィール

米国テキサス州ダラス生まれ。後に英国に移り、スコットランド、イングランド各地に住む。現在は再び故郷・ダラス近郊で暮らす。代表作のダンカン・キンケイドとジェマ・ジェイムズのシリーズは、米英のほか、ドイツ・イタリア・ノルウェー・オランダ・ギリシア・トルコでも翻訳され、人気を呼んでいる。

「2023年 『警視の慟哭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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